深田恭子、綾瀬はるか、石原さとみ、小島瑠璃子などを発掘してきたオーディション『ホリプロタレントスカウトキャラバン』。その41回大会となる2016年の決選大会が9月19日、都内で開催された。
今年は『PURE GIRL2016』と題し、10代でブレイクする「王道」で「主演級」の女優の発掘がテーマ。同タイトルでの開催は3回目で、過去には深田恭子(1996年)、石原さとみ(2002年)がグランプリを獲得している。
今回の応募総数は2万4794人で、そこから書類による選考、各地で開催された予選、熱海で開催された合宿という長い道のりを経て、この決戦大会に進んだ参加者はわずか9名。そのうちの5名が小学生という、過去にないほど年少者が躍進する場となった。
そんな狭き門を勝ち残ってきたファイナリスト9名は当日、全員白いTシャツにホットパンツという姿で舞台に登場。颯爽(さっそう)とウォーキングを披露し、意気込みを語ると、続く1分間の「自己PR」でも各自が個性あふれる姿を披露。
ヒップホップダンスやギターによる弾き語り、和太鼓の生演奏などの他、応援団姿で自分自身にエールを送ったり、舞台を走り回りながらモノマネをしたり、さらにはパンストを被り変顔を披露するなど、思い思いの熱いパフォーマンスで会場を沸かせた。
そして最終選考となる演技審査では、『チョコレート』と題するショートストーリーがお題。バレンタインデー前日、同じ男のコを好きになった3姉妹ーーしっかり者の長女、明るく元気な次女、天真爛漫でちょっぴり生意気な三女を3人ひと組となってそれぞれ熱演。場内は審査であることを忘れ、その見事な演技に釘付けとなった。
最終審査の結果、見事にグランプリを獲得したのは、栃木県出身で史上最年少受賞者となる小学6年生、柳田咲良さん(12歳)。名前を呼ばれると、一瞬、戸惑ったような表情を浮かべ、やがて涙を溢れさせた。
「他のコがすごく美人ばかりだし、元気があって演技もうまい。勝てないんじゃないかとすごく不安だったので、今この場にいることが信じられません」
そう震える声で語ったが、スペシャルプレゼンターとして石原さとみが花束を手にサプライズ登場すると、石原に憧れているという彼女は再び号泣。「これから嬉しいことも辛いこともたくさんあるけど、その時に誰がそばにいて、誰が変わらずに接してくれるのかを大事にしてほしい」と激励されると、「TVで見るより全然キレイ」と嬉し涙の中にも声を弾ませ、会場を和ませた。
「石原さとみさんに追いつきたいです」
今回の選考理由について、ホリプロスカウトキャラバン実行委員長の小菅品世は「“かわいい”路線もできるし、“かっこいい”路線もできる。いろんな色に染まっていける可能性を感じ、今回のPURE GIRLというテーマにぴったりだと思いました。10代で主役を張れる王道路線の女優に育てたいと思います」と評価。
大会後の囲み取材には、今度は喜びを弾けさせながら柳田さんが再び登場。改めて受賞の瞬間について「受かりたかったので、心の中でずっと『9番!(彼女のエントリーナンバー) 9番! 9番!』と呪いのように唱えてました」と語り、報道陣を沸かすと、今後の目標について「“かっこいい”を表現するのが得意なんですけど、それだけでなく“かわいい”“面白い”とかいろんなものを表現できるようになりたい。石原さとみさんに追いつきたいです」と力強く宣言した。
普段はランドセルを背負い通学する、ごく普通の小学校6年生。学校では「女優よりバラエティのほうが似合うんじゃないと、みんなに言われます。面白いことをやってと言われるとついやりたくなっちゃう」とお茶目な姿も告白。女優業だけでなく、バラエティへの出演にも前向きで「いろんな色に染まれて、見ている人に感動とか笑いを届けられるようになりたいです」とも語る。
取材中は笑顔をキープさせようと、両手で顔のマッサージを何度も繰り返し、報道陣を和(なご)ませた彼女。小学生とは思えない、早くも芸能人の風格たっぷりだが、名だたる先輩たちに続き、大きな期待が寄せられる中、これからそのPUREな魅力で、芸能界に新たな風をきっと送ってくれるはずだ。
尚、審査員特別賞には滋賀県出身の三浦理奈さん(12)が選ばれた。
(取材・文/大野智己、撮影/武田敏将)