あのジャスティン・ビーバーが動画をツイッターに投稿したことで全世界に拡散したといわれるピコ太郎の『ペンパイナッポーアッポーペン(PPAP)』。
YouTubeの音楽動画再生回数は世界1位を記録し、ついには全米チャートで松田聖子以来26年ぶりとなる日本人トップ100入りまで…。
タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に独自の視点で斬り込む!
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10月の上旬、東京から戻ってパースの自宅で寛(くつろ)いでいたときのこと。小5の次男が変な鼻歌交じりで宿題を始めました。それが『PPAP』でした。私はまだピコ太郎という名前も知らず。そのときすでに、オーストラリアの子供たちの間では日本発のシュールな動画が大人気となっていたのです。
動画を見て、なるほどと思いました。世界中の子供が歌えるし、短いからすぐ覚えられるし、キモかわいいから癖になる。
中学の英語の先生は「appleにはaじゃなくてanがつきますよ! これからはちゃんとした英語をしゃべれないと国際人になれません」って教えてくれたけど、関係なかった。aappleでも世界で4億回も再生されちゃうんだから!
「ネイティブ並みに」はもう古い、世界共通語はへたな英語だといいますが、まさにそんなグローバルイングリッシュ時代の最先端を行く『PPAP』。
日本人は間違えるのを恐れるあまりなかなか英語が上達しないといわれてきたけど、a appleでも全米ヒットチャートに入れるんだよと、ピコ太郎が背中を押してくれた気がします。…気がするだけかも。
●小島慶子(Kojima Keiko) タレント、エッセイスト。『PPAP』をエモーショナルかつエンドレスに歌い続ける次男をよく観察すると、「uhh!」の部分に言葉にならぬいら立ちを込め、軽いカタルシスを感じているようです