80年代のアイドル界において、「黄金世代」と呼ばれ、いまだに高い人気を誇るのが“花の82年組”。
そんななか、今なお精力的に活躍する松本伊代と早見優が、当時の週プレとアイドル界をふり返る。
■週プレさんの撮影は好きじゃなかったです
―おふたりは、週プレに初めて登場したときを覚えてます?
松本 レコードデビューの直前にフリフリの服を着て、代々木公園で撮ってもらいましたね。グラビアはどこで撮ったのかな。サイパンとか、日帰りでよく行ってたから、週プレさんもそうだった気がするけど。
―海外ロケで日帰りとはすごいですね。早見さんは?
早見 私は週プレさんの撮影で初めて沖縄に行きました。すごく感激しちゃって。ご飯のとき、編集さんがおいしそうにビールを飲んでいるのを見て、なんだか大人の世界を身近に感じた記憶がありますね。
松本 確かに週プレさんは大人っぽい雰囲気がありました。だから私、週プレさんの撮影ってあまり好きじゃなくて。セクシーなのが苦手で。
―水着になるのがイヤだったとか?
松本 水着というよりポーズですね。例えば、寝転がるとセクシーに写るでしょ。それがイヤで。海辺で横になってたら、後ろから来た波にのまれたこともあったし(笑)。
早見 私は事務所の方針もあって、健康的なグラビアが多かったんで、撮り方とかそこまで気にならなかったかな。いつも撮影は外だったし。
―早見さんは太陽やビーチのイメージが強かったです。
早見 水着姿のまま部屋で撮ったカットはほぼないんじゃないかな。でもそのおかげで日焼けで大変でしたけどね。ただでさえ肌が黒いのにもっと黒くなっちゃって。「どうしてそんなに黒いんですか?」って書かれたファンレターをたくさんもらいましたよ(笑)。
テレビ番組でも学校みたいな気分でした
■花の82年組はライバルより仲間でした
―おふたりとも当時、ものすごい人気者でしたけど、普段はどんな生活だったんですか?
早見 日中は学校に行くか、レコードのプロモーションで地方に行くことが多かったですね。夜は毎日テレビやラジオ番組に出てました。で、それが終わったら今度はレコーディングか雑誌の撮影をして、その後、やっとご飯です!
松本 私も同じような感じでした。特に当時は生放送の歌番組も多かったし、かけ持ちもあったから一日中、分刻みで動いてて大変でしたよ。
―超多忙だったんですね。
松本 事務所の方に「デビューして2年は休みがないと思ってね」と初めに言われたから、覚悟してましたけどね。
早見 私も言われました。大げさだなと思ったけど、本当に休みはなかったです(笑)。
―ちなみにおふたりは“花の82年組”といわれるアイドル黄金世代。同期には人気アイドルも大勢いましたが、ライバル意識はありました?
松本 ライバルより仲間って感じかな。テレビ番組でも学校みたいな気分でしたもん。
―仲間ってことはアイドル同士で遊びに行ったり?
早見 それはなかったです。時間もまったくなかったし。
松本 20歳頃に堀ちえみちゃんと原宿に行ったら、すごい数の人に囲まれちゃって。タクシーで逃げたことがあったけど。それくらいかな。
早見 確かに20歳くらいからですね。みんな時間をつくれるようになったのは。でもちえみちゃんの家でクリスマスパーティとか、地味でしたけど(笑)。
―太陽の下で遊園地やピクニックに行くなんてことは?
松本 そういうのは、取材や撮影でやらせていただいてたんで、十分というか。
早見 そうですね。でもみんなの時間がもっとあれば、きっと行ってたでしょうね。
渋谷のディスコにこっそり行ってた
■80年代はお仕事を楽しく一生懸命にやれた時代
―そう考えると今のアイドルはメンバー同士でディズニーランドに行ったり、外にご飯に行ったり、プライベートを楽しむのは上手ですよね。
早見 みんな、優秀ですよね。プライベートばかりか仕事もできるし。グラビアを見てもみんなスタイルはいいし、ポージングもキレイだし。
松本 今のコはスマホで自撮りするから、自分をかわいく見せることに慣れてるもんね。私たちの頃はカメラマンさんからいただいたテスト用のポラロイドを見て、自分の姿を確認するくらいで(笑)。
早見 でも今のアイドルを見て大変だと思うのは、スマホで簡単に写真を撮られたり、SNSがある分、ファンにプライベートを公開されちゃう恐れがあること。私たちの頃のほうがプライベートは守られてたと思います。私、踊るのが大好きで渋谷のディスコにこっそり行ってたけど、何も言われなかったもん。
―店内で騒ぎにならなかったんですか?
早見 変装してたし(笑)、あと当時ディスコにいる人ってアイドルに興味ない大人が多かったんですよ。みんな私だとわかっても気にしませんでしたね。
松本 でも、もし私たちが今の時代のコなら大変だったかも。ネットとかですぐ炎上しちゃうかもしれないよ。
早見 確かに。実はものすごく不器用だもんね。
―おふたりは今なお現役でライブをやったり、CDをリリースするなど活発に活動されています。そんなおふたりにとって原点ともいえる80年代はどんな時代でしたか?
松本 テレビも今思えばむちゃな番組がすごく多かったと思うけど、そのむちゃが許された面白い時代でしたよね。なんでもありの時代だったからこそ、私も何も恐れず、思い切って走り抜けてこられた気がします。
早見 バブル前ってこともあって、みんな浮かれてましたね。私も次は何をやったらみんなに喜んでもらえるのかなとか考えたし。お仕事を楽しく一生懸命にやれたいい時代だったと思います。
―ぜひ週プレでもまたご一緒に仕事したいですね。当時の読者も喜んでくれると思いますし。
早見 面白いかもしれませんね。でもグラビアはもう無理ですけど(笑)。
松本 喜んでもらえるならやりたいですよ。いろんなことをやってまだまだみんなで楽しみたいですよね。
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●松本伊代(まつもと・いよ) 1965年6月21日生まれ 東京都出身 ○1981年10月に『センチメンタル・ジャーニー』でデビュー。ほか『TVの国からキラキラ』などヒット曲多数。「松本伊代 35th Anniversary Live~やっぱり伊代ちゃん’16追加公演」を11月2日(水)に開催(会場:Mt.RAINIER HALLSHIBUYA PLEASUREPLEASURE) 公式ブログ http://ameblo.jp/iyo
●早見 優(はやみ・ゆう) 1966年9月2日生まれ 3歳からグアム、ハワイで育つ ○1982年『急いで!初恋』でデビュー。代表曲に『夏色のナンシー』『渚のライオン』ほか多数。今年8月に、約21年ぶりとなるミニアルバム『Delicacy of Love』を藤井隆のプロデュースによりリリース。新曲「溶けるようにkiss me』ほか、『誘惑光線・クラッ!』『夏色のナンシー』の新録など全6曲を収録。公式ブログ http://meblo.jp/hayami-yu/
(取材・文/大野智己 撮影/矢西誠二[扉] スタイリング/森早和子[松本] 宮本真由美[早見] ヘア&メイク/長島あずさ[松本] 伊藤こうこ[早見] 衣装協力/UN BRAQUE[松本]、moujouet[早見])