アイドルになりたいと目指す人がいる一方で、目的を果たしたら見切りをつける人も

アイドルグループ・乃木坂46の人気メンバー、橋本奈々未がグループからの卒業と芸能界引退を発表。その理由を本人は「弟の学費のめどがついたから」と語っている。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に独自の視点で斬り込む!

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家計を助けるためにアイドル活動をしていたが、弟が無事進学したため芸能界を引退すると発表した乃木坂46の橋本奈々未さん。秋元康さんの演出ではないかと疑う人もいますが、日本の現状からすれば貧困が理由というのが事実であっても不思議ではありません。

何がなんでもアイドルになりたいと目指す人がいる一方で、目的を果たしたら見切りをつける人も。80年代のおニャン子クラブでは『じゃあね』という名曲を残して歯科衛生士になるために引退した中島美春さんが印象的でした。初期のモーニング娘。メンバーで、学業に専念するために引退した福田明日香さんも。

若くてかわいい女のコには商品価値があるとアイドル当人たちもわかっているでしょうから、将来を冷静に考えて早めに進路を変えるのは聡明な判断とも言えます。消費され尽くす前に、いい思い出にしよう、と。

そんなことを思いながら山口百恵さん最後の出演となった『夜のヒットスタジオ』の映像を見ていたら、共演スタアたちの顔にその後の人生模様をことごとく重ねてしまい、どんな人生にも苦労はあるよなあと涙が止まらなくなったのでした。

●小島慶子(Kojima Keiko)タレント、エッセイスト。1995年に民放キー局の女子アナとなるが、アイドル路線と無縁だったことが幸いして女子アナ30歳定年説もスルー。満15年勤務して、今さらどうするんだと言われつつ37歳で退社