“変態だ”ポーズを披露する3人

明日12月10日(土)に映画変態だ(R18指定)が公開される。企画・原作はみうらじゅん、監督に“ソラミミスト”の安齋肇(はじめ)、主人公をシンガーソングライターの前野健太が演じた今作は、不倫ミュージシャンの主人公の平凡な日常が一変し“変態”に目覚めていく様を描いたもの。

サブカルチャー界隈では長年、注目される3人がタッグを組んだということもあり、制作発表されるやファンの間で話題に。先月末には音楽全集発売を記念した「変態だ祭」も開催し、3人が登壇。軽妙なトークが繰り広げられた。

雪山でパンツ1枚になり縛られるなど変態的なシーンを演じさせられた前野は「葛藤はありました。やるやらないじゃなくて、どうカッコよく見せていくかとか、原作がどういうものなのかとか、ちゃんと役に寄せていくというか」と覚悟していたそう。

しかし、出演を快諾したのかと思いきや、実際は「(みうらと安斎が普段から)家の近くにいるから、それはもう断れない」と告白。みうらも「もう包囲されてる状態だもんね。その辺(の交渉)は昔ながらの昭和のやり口で」と冗談めかして出演依頼の裏側を明かした。

一方、「実は内容を知る前に、ふたつ返事でOKしちゃったんです」と初監督を務めた安斎は、テーマである“変態”について「“変態”って時々“天才!”に聞こえるんですよ。でも、“天才”と“変態”は紙一重。変態も天才もたぶん、才能だと思う。ただそれを見つけるっていうのをうまく描けたらなと追っかけていった」と持論を展開。

また、“青春ロックポルノムービー”を謳(うた)う本作では、主人公の不倫相手・薫子を演じる元宝塚歌劇団月組男役スターの月船さららがボンデージ姿でムチを振るうなど過激なシーンも。

「単純に容姿だけで、まずすごく魅力的だった」とキャスティング理由を話した安斎だが「宝塚出身の方には珍しく、かなり挑戦的なチャレンジングな映画に出ていらして、結構過激なこともされてるんですよ。後から知ったんですけど、宝塚の中では浮いているぐらいサブカル好きだったらしいんですね」と宝塚時代の様子まで暴露した。

そんな中、企画・原作のみうらは「役に成り切っている人たちの表情が素晴らしかったなと思ったんですけど。皆、自分みたいに演じて自分じゃないみたいな、ドキュメンタリーのようでドキュメンタリーじゃないみたいな。あの感じの撮り方っていうのは、この映画の面白いところだなと思います」と安斎の監督としての手腕を絶賛。

今作では週刊プレイボーイ本誌でみうらと「みうらじゅんと宮藤官九郎の“大人になってもわからない”」を連載する宮藤官九郎も友情出演。発売中の最新51号には前野がスペシャルゲストで登場、こちらでも3人による撮影秘話が明かされているのでお読みいただきたい。

(取材・文/鯨井隆正)