流行語大賞に「ゲス不倫」がランクインした頃には、みんなおなかいっぱい

ユーキャン新語・流行語大賞2016が発表され、大賞に「神ってる」、トップテンに「ゲス不倫」などが選ばれた。

「ゲス不倫」を受賞したのは数々のスクープで多くの芸能人・著名人を震え上がらせた『週刊文春』編集部。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に独自の視点で斬り込む!

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Brexit(ブレグジット、イギリスのEU脱退問題)やアメリカ大統領選など、今年は時代の変わり目となる出来事が多い年でした。

日本の芸能界では、不倫のアイコンの世代交代が起きましたね。これまでは、不倫と言えば「不倫は文化」の石田純一さん。トレンディドラマを席巻した甘いマスクと素足に革靴で、恋多き大人オーラ全開でした。

しかし今年、不倫と言えばベッキーさんに。しかも石田さんのような軽やかさはなく、悲壮感でいっぱいです。

LINEの中身まで流出するという地獄絵図。彼女が『週刊文春』を「センテンススプリング」と、パンチのありすぎる隠語で呼んではしゃいでいたことが露見し、列島に衝撃が走りました。これが「文春(ふみはる)くん」だったら、まだマシだった気がします。

一方、石田さんはまさかの東京都知事選出馬宣言。結局断念し、伊達(だて)男のイメージから一転して、こちらも痛々しい印象に…。

その後、次々と不倫スクープが続いて、流行語大賞に「ゲス不倫」がランクインした頃には、もうみんなおなかいっぱい。靴下をはかない大人の恋にも、優等生の失脚にも飽き飽きしていました。でも一番ゲスいのは、大騒ぎして忘れちゃう人たちかも。

●小島慶子(Kojima Keiko)タレント、エッセイスト。ゲスの極み乙女。の『ルミリー』と『bye-bye999』は名曲だと思う。ベッキーさんがあんなに叩かれている一方で、「PTAは不倫の巣窟!」なんていう話もあり、人間不信に…。