2016年に注目されたふたり組のアイドルユニット、生ハムと焼うどんから東理紗ちゃんが登場! 2016年に注目されたふたり組のアイドルユニット、生ハムと焼うどんから東理紗ちゃんが登場!

2017年、「週プレNEWSが今年“大注目する期待のアイドル”インタビュー」。

第2回目は、2016年に注目されたふたり組のアイドルユニット“生うどん”こと、生ハムと焼うどんから! TV等のメディアに出ては、高すぎるテンションで大騒ぎの西井万理那ちゃんと東理紗ちゃんふたりからなるユニットだ。

作詞に作曲、マネージメントにコントの台本、演出、衣装、ブッキングまで…なんでも自分たちでやってしまう“セルフプロデュース”なふたりが昨年はブレイク。そんな生うどんの“頭脳”と呼ばれている東理紗ちゃんをピックアップ、いろいろ聞いてみようとしたところ…!?

* * *

―そんなわけで「週プレNEWSが選ぶ2017年の注目アイドル」に選ばさせていただいたのですが…昨日(取材日前日の1月14日)、いきなり衝撃のニュースが飛び込んできました!「生ハムと焼うどん。断食宣言!」って…つまり休止しちゃうってことですよね?

 そうなんだよね。いや、この週プレNEWSさんのインタビューを受けますって言った時は、まだこんな状況になるって考えてなくて。実は「断食しよう」って話し合いが起きたのが、5日前とかなんだよね。すごくないですか?

―確かにすごいんですけど、「2017年は、生うどんの東理紗さんが来ます!」と推そうと思ったら、その直前に活動休止って…あまりのことに頭を抱えました。

 そうなんだよね~(笑)。でもほら、私はここからどんな形になっても活動はしていくつもりだから、結果的に「東理紗に注目!」っていうのはいいんじゃないのかなって。それに「今、このタイミングだからこそ話せることもあるな」って思って。まぁ、断らないで、そのまま受けようと思ったんです。

―ありがたいですよ。では、前向きな未来のことも…今、断食宣言をすることになった流れ的な話もいろいろ伺いたいわけですが。そもそも、前兆みたいなものはあったんですか?

 ずっとあったと思う。でも、お互いが「生うどんが好き」っていう気持ちは変わらなかったし、そういういろんな問題に向き合う機会もなかったから、ずっと続けてきてたんだよね。私たちのワンマンライブって、ファーストは新宿のMARZ(キャパ300人。2015年10月24日開催)で、セカンドは赤坂BLITZ(キャパ1300人。2016年3月2日開催)。で、サードがTOKYO DOME CITY HALL(以下・TDC。キャパ3千人。2016年10月21日開催)だったんですよ。

―はいはい。生うどんのおふたりはブッキングや何から何まで、すべてセルフプロデュースでやってますもんね。TDCを一般人が借りるなんて、本当にすごいと思います。

 そうそう。で、セカンドまでは、お互いなんとなく違和感や「すれ違ってるな」って気持ちがあったとしても、それを跳ね返すくらいのやる気とか野望とか「一緒にやっていこう!」みたいな信頼関係があった。そっちのほうが違和感よりも勝ってたと思うの。

―それが何故、今回のようなことに?

 譲れないものが違ったんだと思う。だからいつまでも噛み合わないし、お互い「それは理解できない!」みたいなのがどうしてもあって。でもなんか、それって…根本的な価値観みたいな部分なんですよ。どうしてもわかり合えないみたいな。

私は「20歳までに武道館にいきたい」って

―具体的にいうと、どんな感じなんですか?

 「生うどんが好きで、活動を絶対に続けたい」…それはお互いがそうなんですよ。それは今も、断食宣言をした今でも「生うどんをやめるのはもったいない! なんならやりたい!」と私も思ってる。でも、「続ける意味」みたいなもの。「なんで続けるか」っていう理由が違ったんだと思う。私が続けたかったのは「20歳までに武道館にいきたい」って思っているから。そのための生うどんだったんだよね。

―西井さんは、違ったんですか?

 にっちゃん(西井)も「横浜アリーナに立ちたい!」っていう気持ちがあったし。でも同時に「憧れのアーティストさんと共演したい」っていう気持ちもあったから「ライブパフォーマンスだけじゃなくて、雑誌とかTVとかメディアを中心に頑張っていきたい!」っていうのがあったんですよ。

―でも、その「20歳までに武道館」と「横浜アリーナ&メディアで売っていきたい」は、そこまでズレていない気もしますが…。

 なんか、私の中で大きく変わったことがあったんですよ。サードのTDCライブの時なんですけど。今まで動員目標とか、大きなハコ(会場)を目標にやってきて。「20歳で武道館ってことは、何歳の何月の地点でこのサイズのハコを埋めてなきゃいけない!」って計算して。で、サードのワンマンライブは約3千人を集めたんですよ。売れたチケットは2906枚。実際に来たのはそれ以下だとは思うけど、まぁ「埋めた!」って言っていい数で。

―ほぼ埋まっていたと。

 だけど、目標を達成したはずなのに、3千人という状況と勢いに値しないパフォーマンスを自分たちがしてしまって。私的にはものすごい罪悪感だったんですよ。自分の「こうであってほしい」っていう理想にほど遠かった。やっぱり寸劇も曲も私が作ってるから、そういう理想が強かったんです。

しかも自分は制作でありながら、演者でもいなくちゃいけなかったから。作り手として満足しても、演者として満足できなかったりとかもあるんですよ。

―なるほど。東さんはプロデューサーであり、演出家であり、演者でもあったんですね。それぞれの立場によって満足度も違う、と。

 全体的な作品としても、自分の満足いくものじゃなかった。後にどれだけ絶賛されて「すごかった」って言われても、その言葉が自分の中ではウソにしか聞こえなかった。…正直、一番優先順位が低いのは演者としての自分だと思うんですよ。そこを妥協しないと、やっていけないところがあって。

ぶっちゃけ私がウケなくても、私が作った台本でにっちゃんがウケてくれれば嬉しかったんですよ。だから「ここはもうちょっとためて」とか「こういう言い方をして」って、演者に集中してもらってたところはあって。

運営問題とかお金問題みたいなものとかも…

―お互い、それでバランスが取れていたんですね。

 そう。でもそれがお互いの信頼関係の溝が深まるにつれ、どんどん噛み合なくなっていくの。寸劇でも練習してきたものができない、気持ちが通じ合ってない、とか。絶対にそれはファンの人にはバレてるから。…私の中では信頼関係って本当に大事で「にっちゃんと一緒に」っていうのが大きなモチベーションだったから、そうじゃなくなってしまったときは本当につらくて…。

お互いに信頼関係がないからさ、私が「こうしてほしい」っていうのを、今までだったら素直に「うん、そうだね」って言ってくれてたのが「…ああ、うん」みたいな感じになっていって。そうなると「演出家としての自分が求めるものを妥協しなくちゃいけないのか?」って気持ちにもなるし、「にっちゃんと一緒に演じてる演者」と「プロデューサー」の間もいったりきたりして…。

でも、それまでは「心が通じてるから」っていうので続けてこれた。ものづくりって孤独じゃないですか。でも、一緒に夢を見て頑張ってくれる相方がいるから頑張れるんですよ。でも、そうじゃなくなったら、本当の孤独だったから。

―ちなみに東さんが「ダメだった」と思ったTDCライブは、西井さん的にはどうだったんですか?

 そこでもやっぱり、にっちゃんはすごくて。私は演者としてステージに上がると、感情に振り回されて、心のブレがステージに出ちゃう人なんだよね。でも、にっちゃんはステージに立った瞬間、そういうものが出ないし、出さない。演者としての才能がすごい人だから。それもあって私的には、「こんな状態のまま、さらに動員数を増やしちゃダメだ」って納得がいかなかったんだけど、「増やしていいんじゃない?」って考えだった。演者としてにっちゃんはすごかったから、今回の状況を割り切れたんだと思う。

でも、その考えに私は納得できなくて。「『生うどん勢いあるし、このままいけば20歳で武道館に立てるかも?』って思ったけど、もしこのまま武道館に立って、TDCと同じようにその状況と実力に伴うパフォーマンスができなかったら、私はすごくショックを受ける」…ただ立てればいいわけじゃなかったって気付いてしまって。それが2016年の10月。

―なるほど。そういう価値観の違いが原因だったと。

 …それと、事務所に入ってるわけじゃなくて自分たちだけでやってるからこそ、いろんな問題があったんですよ。

―それはお金とか権利とか、そういう問題ですか?

 そういうのもある。いろんなことを自分たちで管理しなきゃいけないから、運営問題とかお金問題みたいなものとかも、ふたりだけで話し合って決められなくなってくるんです。18歳の未成年ってのもあるし。そうなると、いろんな大人の人の力を借りなくちゃいけなくもなるんですよ。

―まぁ、赤坂BLITZやTDCは、普通の女子高生には貸してくれないですから。どこかイベント実績のある会社とかに名義を借りたりしなくちゃいけないですもんね。

 そう。でも、そういうことで「力を貸します!」って声をかけてきてくれる大人って、遊びじゃなくて仕事だから、私たちに力を貸すことで利益をあげなくちゃいけないじゃないですか。だから、その人たちが私たちの間に入ってくることで、純粋に「こうしたい」ってことができなくなったし、時には「悪い大人」にだまされることもあったから。

そういうことによって私たちの間に誤解と勘違いが増えていったんですよ。まぁ、原因はいろいろかもしれないけど、そういうことでお互いがお互いを信じられなくなっていった時期はありました。

にっちゃんのほうが「解散したくない」って

―大人たちの思惑が関わることで、純粋なセルフプロデュースができなくなっていった、と。それがメンバー同士の疑心暗鬼に拍車をかけてしまったのは、かなりダメージですよね。尚更、実際に本当に「悪い大人」もいたんだったら…。

 信頼関係を築いていたと思っていた大人の人がいつの間にか対立関係になっていたこともあったし…。セカンドワンマンの時からあった小さな不満も大きくなっていたし…。そして何よりも一番大切な信頼関係が溝だらけの穴だらけになってしまって。このままじゃ、自分が満足できるパフォーマンスはできないだろうし、お互いの関係性として言いたいことも言えなくなる。良いステージができない。信頼関係がなくても「仕事だから」って割り切れればいいけど、私はそうじゃなかったから。

―…そして「断食宣言」となってしまった、と。

 うん。5日前の話し合いで「休止か解散」って言いだしたのは私で。でもそこで話し合って「どっちに決めなくても、おいおいふたりで納得いく形になればいいから」って話になって。「なんか、生うどんっぽくていいよね」って「断食」で落ち着いたっていう。まぁ、自分勝手な話ですよ。

―「絶食」ではなく「断食」。また“食事”を再開する可能性もあるっていうことですか?

 そう。絶食は解散だから。でも、その溝が埋められないと再開できないと思う。

―では、そこでこれからどうしょうと考えていますか?

 私は軸はブレてないよ。武道館に立ちたい。生うどんじゃなかったとしても、新しい形で私は絶対にやると思う。まぁ、「20歳で」っていうところは潔く、いらないなって思ってるけど。…でも、できたらやっぱり生うどんで立ちたいとは思ってる。私は生うどんを誇りに思ってるし、愛情もあるし、未練もあるから。そんな簡単に割り切れないよ。ファンの人たちの顔も浮かぶしね。

―西井さんは、生うどんに未練はあるんでしょうか?

 にっちゃんのほうが「解散したくない」って言ってたからね。断食宣言のステージ上で泣いてたし。それに発表の時、セリフ変えたの。台本を書いたの私なんだけど、「そうだね、このままじゃ悔しいから断食して、ナイスバディになってやる!」っていうセリフをにっちゃんが言うはずだったんだけど…客席を見て、その時に気持ちが変わったのか本当にずっと思ってたのかわからないんだけど、「断食して、もう一度このステージに戻ってこよう」って、私に言ってきたの。

―うわー…本音ですね。

 私がその時思ったのは、生うどんででも別の形だったとしても「そうだね」って。だから「戻ってこよう」って私も返した。

ヒャダインさんの弟子に…あわよくば、女として見られたい

―…ちなみに西井さんは断食後の2017年は何をするんでしょうね?

 わかんない。前、「私、ユーチューバーになりたい」って言ってたけど。その前はDJだし。その前は腹話術師って…。

―なるほど(笑)。では、東さんの断食後は?

 私はやっぱりプロデューサーになりたいんだよね。『情熱大陸』を観て、私、ヒャダインにめっちゃ憧れたの! まず弟子にしてほしい。これは結構、本気! ヒャダインって眉毛が太いオタクな人としか思ってなかったんだけど『情熱大陸』を観て変わったの!

―まさかの目標が!(笑) 弟子入りしたいなら、まずは「さん」付けで呼んでみたらどうですか?

 だね! ヒャダインさんは才能がすごいのはもちろん、人柄もいいし、努力をすごくしてるし。下積みをして今があるから「才能って努力でつくれるんだ」って。それにすごく勇気づけられたし、生き様がカッコイイって思った。それに作品の全てに愛がある。曲を提供する人と話して「その人を引き立たせるためのヒャダインさん」になっているから、そのやり方がすごく格好良かった。

―ものすごい尊敬じゃないですか! まだお会いしたことはないんですか?

 実はこの前、『ヒャダインのガルポプ』ってラジオに出たんだけど、でも生うどんでモメてる時だったから、めっちゃテンション低くて。全然、女としてのアピールができなかった。

―なんで女としてのアピールをするの? 付き合いたいの? 弟子じゃないの??

 弟子でいい! まだ。弟子から始まりたい…。力になりたい。曲をひとりで作るんだよ。彼も孤独な戦いなの。それを隅っこで私は見ていたい。側にいたい。あくまで弟子として…っていうか、本当に女としてのアピールできなくてショックだったわー。

―…ということで、2017年の目標はヒャダインさんの弟子ってことですね。

 あわよくば、女として見られたい。あと、やっぱりアイドルは続けたいよね。まだ若いし。アイドルとしての強みは持っていたい。

―アイドルだったら恋愛は禁止でしょう。ヒャダインさんに恋愛感情を持っちゃダメでしょ?

 ダメなの? いいよ、アイドルでも恋愛して。だって、恋愛することによって曲がかけたりするっていうし。なんか、今のアーティストっぽい発言じゃなかった??

―…なんというか、2017年の連続インタビュー、2人目でとんでもないことになりました。ありがとうございました。

(取材・文/篠本634[short cut] 撮影/武田敏将)

■東理紗(ひがし・りさ) 1998年3月1日(18歳)東京都出身。ニックネームは「りーちゅん」。事務所に所属せず、楽曲から衣装、寸劇、ブッキングまですべてセルフプロデュースする「生ハムと焼うどん」のメンバー。その他情報は公式Twitterをチェック!【@lisa281_sing】