歯ぐきの手術の影響で、なぜか腕の血管がくっきり…。珍しいのでペンでなぞってみました(笑)

『週刊プレイボーイ』本誌で連載中の「ライクの森」――。

報道情報番組『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)ではメインMCを務める人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。

今年のお正月は『「歯」のお正月』だったと振り返る彼女。一体、何があったのか――?

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少し遅くなってしまったのですが、週プレ読者の皆さん、あけましておめでとうございます! 2017年もよろしくお願いいたします。

さて、この年末年始、私はどんなふうに過ごしていたのかというと…。「歯」です。ひと言で言うと、歯に翻弄(ほんろう)された年末年始でした。というのも、昨年末、歯ぐきの手術をしたんです。急を要するものでもなかったんですが、たまたま病院の予約が取れたので手術をしてきました。

手術の内容は、歯ぐきの補強です。奥歯の歯ぐきを削って、前歯の歯ぐきが薄い部分に移植するというもので、入院も必要なし。「とりあえずやっとくか」くらいの気持ちで行ったら、これが思ったより精神的にツラかったんです。

まず、部分麻酔だけなので、意識はあるままで口の中をいじられるんですよね。「あ、今、歯ぐきを削ってるな」とか、「血が止まらないよー」って感じながら、なんと2時間半! 最初は気を紛らわすために『レ・ミゼラブル』の曲を頭の中で全曲上演してたんですが、内容的にツラくなってしまって、途中でやめました。

その後は、Juise=Juise(ジュース・ジュース/ハロー! プロジェクト)の振り付けを頭の中で完全再現。「口の中がジュクジュクしてるからJuise=Juise」っていうダジャレ的な発想なんですが、こんな連想までして耐えなきゃいけない2時間半は、心が折れるくらい長かったです。「もう全身麻酔にしてくれ!」って何度思ったことか。ちなみに、あと片方残っているので、いつかまたこの手術をしなきゃいけません…。

何もしないお正月の発見とは?

術後は特に腫れたりすることもなかったし、痛み止めも飲んでいるので、普段どおりのお正月も過ごせるはずでした。でも、やっぱり歯のことが怖くて、遠出する気にはなりませんでした。例年だと、年末はコミケに行って、年始はふらっと旅行に出かけていたんですが、今年のお正月はまあ何もしなかったですね。なので、ひと言でまとめると、「歯」のお正月なんです。

ただし、普段とは違うお正月を過ごしたおかげで、いくつか発見もありました。ひとつは、「窓拭きってすごい」ということ。今の部屋に引っ越してから4年、初めてがっつり窓の掃除をしたんですが、今までより光が入ってきて、すんごい気持ちいいんですよ。窓拭きひとつでこんなに気分が変わるんだっていうことを知りました。

あと、年末年始の間に、同じ人に3回もばったり会ったんです(笑)。別の日には、大手町で見かけた外国人を同じ日の夕方に恵比寿でも見かけ、不思議な気分になりました。

思えば、SNSが普及して以来、人とばったり会うことって減りましたよね。どこか行くときは、みんなSNSで「今から◯◯に行きまーす」って事前に言ってから向かったりするので、こっちは最初からその人がいることを知ってるわけですよね。

それから、歯の手術以後、お酒はあまり飲まなかったんですが、お酒の席でも飲まないなりの楽しさがあるなということも知りました。酔うと人は小さな失敗を重ねますが、私はシラフの頭でそのひとつひとつを記憶し、伝えていこう、と思いました(笑)。

●市川紗椰(いちかわ・さや)1987年2月14日生まれ。アメリカと日本のハーフ。モデルとして活動するほか、報道情報番組『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)ではメインMCを務める。年末年始は、アニメ『カレイドスター』と『ひぐらしのなく頃に』も再見