2017年、「週プレNEWSが今年“大注目する期待のアイドル”インタビュー」。
第5回目は、2016年の4月にデビューしたばかりで、年末のNHK紅白歌合戦に初出場。欅坂46の“けやき坂46”(ひらがなけやき)より、長濱ねるちゃんの登場です! 欅坂46とけやき坂46を兼任する彼女。一体、どんなコなんでしょうか?
* * *
―「週プレNEWSが選ぶ2017年の注目アイドル」というわけで、「注目の彼女はこんな性格をしてる」とか「今年の目標は?」みたいな、ユルい内容なので気楽にお話ししてください。
長濱 ありがとうございます。
―長濱さんって、自分はどんな性格だと思いますか?
長濱 元々、すごく「気にしぃ」で。
―気にしぃ。「気にしてしまいがち」だと。
長濱 ちょっとした発言でも「あぁ、私のひと言が相手を傷つけちゃったかな」って、すごい気にしちゃって。そういうことを言ったら謝るようにしてるんですけど…なんか、もう中学生の時とかは、それを気にしすぎてしまって。
―例えば、どんな?
長濱 ある女のコと一緒に帰っていて、なんか…ちょっとした会話があるとするじゃないですか。例えば「私、髪切ったほうがいいかな」って言われたとして。「あ、いいね。大人っぽい印象になるかもね」って返したとしますよね。
―はいはい。まぁ、普通の会話ですよね。
長濱 そうすると、その後で「もしかしたらあのコは、大人っぽいって言われたくなかったのかもしれない」「本当は幼く見られたいと思ってたのかも!」「私の何気ないひと言が傷つけてしまったんじゃ…」って考えちゃって、一回帰宅したあとに、そのコの家まで行って謝ったりしてました。でも大抵、全然気にしてなかったりするんですけど。そんなことを繰り返してました。
―それは相当な、気にしぃですね(笑)。
長濱 なんか、当時はそのコが求めてる答えを考えて喋っちゃうことがあって…。でもそうすると「口だけ、うわべだけ」とか「自分の意見がない」って思われがちなんですけど、私としては、そのコと楽しく会話できるように、そのコが求めてるような返事を考えて言ってたのかもしれません。でも欅坂46に入ってから性格も変わってきました。もっと我を出せるようになったかなって!
元々、小学生の頃は島に住んでいて…
―クラスの中では、どんな感じだったんですか?
長濱 友達はそんなに多いほうじゃなかったです。…元々、小学生の頃は島に住んでいて。クラスが12人とかだったんです。
―そういう島で育ったんですね。
長濱 はい。すごくアットホームだし、みんな幼なじみだし。で、途中で本土に引っ越してきて、結構大きな学校で。そこでいくつもグループがあることを知って。だから「あまり自己アピールしないほうがいいな」って考えるようになって。
部活、バドミントンだったんですけど、「相手が勝ちたければ、私は勝ちにいかないほうがいいのかな」って思っていて。先輩に「走って、早かった順に筋トレを減らしていくからね」って言われても「他の人と争うよりも、筋トレを多くすればいいかな」って。あの…こんなどうでもいい話、大丈夫ですか?(笑)
―全然大丈夫です。気にしなくていいですよ(笑)。で、あまり自己主張をしないタイプだったと。
長濱 そうですね。でも…私、小学校と中学校で「今後の人生でずっと付き合っていくだろうな」って人に出会えていて。そういう人に出会えたのってすごく幸せだなって思っています。
―その人は“親友”なんですかね。
長濱 私はそう思っています。でも“親友”って、どっちも相手を親友だと思ってないと、親友じゃないからなぁ。
―なるほど。ちなみにメンバーというのは、どういう位置づけなんですか?
長濱 メンバーは“仲間”です。仲間なんですけど、“友達”という言い方とも違っていて。特別ですよね。みんなと誰とでもふたりきりで喋れるような関係性が理想だと思っています。
―みんなと、分けへだてなく同じ距離でつきあいたいって思ってたりするんですか? でも、そういうスタンスだと「あのコはみんなと仲良くして!」「誰にでもいい顔して!」って言われたりとかも…。
長濱 そうですね。でも、みんなと分けへだてなく付き合うのはいいと思っていて。高橋みなみさん(元AKB48の総監督)の『リーダー論』に「グループを一番つぶすのが、ふたり組とかの“ダマ”。それが一番グループをダメにする」って書かれていたんですよ。それを読んだ時に「やっぱり、特定のコとだけ固まるのはよくないんだ。みんなと同じように付き合うべきだ」って思うようになりました。
…だけどメンバーって、なんか人生で初めて出会った関係性で。特殊じゃないですか。親よりも一緒の時間を過ごすし、家族よりもいろんな感情を共有するから。時間の共有って、ものすごく人をつなげるから…難しいですよね。家族を超えてる気がするし、でも「ライバル」って言われもするし。だから「仲間」って言葉が一番近い気がします。
泣きながら謝りに行きました…
―今までの人生、仲間っていました? 言うなれば『ONE PIECE』の麦わら一味のような。
長濱 『ONE PIECE』はみんながそれぞれ個性があって、立ち位置も明確じゃないですか。でも自分はグループの中でどういたらいいか? 役に立てているのか?って不安になることもあるし。…なんか、何かに例えるのも難しいんですよ、メンバーって。でも大好きです。なんか、言葉が足らないですね…。
―こう話していると、自分では言葉が足らないと感じるのかもしれませんが、頭の中でいろんなことを常に考えている気がします。
長濱 確かにいつもいろいろなことを考えてます。…でも、その多くは反省会ですね。すごく自分が見えなくなる時があるんですよ。そういう時に「メンバーやスタッフさんにダメな態度とっちゃったな」って考えますね。そうやって自分の行動を反芻して…「二度と同じミスを犯さないぞ」って思うんです。
―最近だと、どんなことを反省したんですか?
長濱 例えば…メンバー全員が乗ってるバスで移動中にすごい楽しくて、ずっと喋ってたんですね。でも、みんなは疲れて寝てたみたいで。そしたら、後でメンバーに「行きのバス、うるさかったよー」って言われちゃって。すごく気になっちゃって。そこから頭の中は反省会が始まって…。結局、30分後くらいに泣きながら謝りに行きました。
―ええーー! 中学校時代と変わってないじゃないですか!!「欅坂46に入って変わった」って言ってたのに…。
長濱 …本当ですね。変わってない(笑)。結局、「全然気にしてないし、普通に言っただけなのに!」って爆笑されました。全然怒ってなかったんですけど…。なんか、悪いことしたなって。でもメンバーと接することでいろいろな刺激を受けていて。確実に変わってきていることもあります。成長しているっていうか。
―それは素晴らしいですね。
長濱 欅坂46に入ったら、みんな感情をお互いにぶつけあうことが多いし、我を忘れて泣いたりとか、めちゃくちゃはしゃいで笑ったりとかするんですよ。それを見て「自分を出してもいいんだ!」って思えたし、そういうふうに思わせてくれる人たちに出会えたっていうのは大きかったと思います。
―いい話じゃないですか! ちなみに反省会以外だと、どういうことを考えているんですか?
長濱 うーん、なんだろう。結構、いろんな人の表情とか見ちゃうんですけど、例えば電車とかで誰かと誰かが話しているのを遠巻きに見ていて、「今、このコはもう片方のコに対して、どう思ってほしいんだろう?」って考えたり…。そのコの感情とか本意を知りたくて。
で、「私はこのコの感情とかを知りたくて見てるけど、自分はどうなんだろう?」「自分は他人に本当の自分を見せたくないと思ってる」「でも、はたして自分が思っている本当の自分って虚像なんじゃないか?」「じゃあ、逆にみんなが見ている長濱ねるが本当の自分なのかもしれない」って…変なことを考えてます。
めっちゃどうでもいい話をしてますよね?
―……ほほう。なんか考えすぎて、ぐるぐる回っているような。哲学的ですね。
長濱 あ、私、哲学に興味あるんですよ。
―おぉ、そうなんですか! ちなみに、今言っていた「他人には見せていない本当の自分」というのは、どんな自分なの?
長濱 …それがわからないんですよ。ずっとこんな感じで生きているから。本当の自分というものがわからなくて。「だとしたら、外から見えている印象が本来の自分なのかも」って。…めっちゃどうでもいい話をしてますよね?(笑)
―いえいえ、興味深いですよ。では本当の自分っていうのは、頭の中に「正しいことを言う“白ねる”」と「悪いことを考えちゃう“黒ねる”」みたいなものがいて、「そのどっちかが本当の自分」みたいな感じとか?
長濱 いや、ちょっと違って…「自動で行動している身体」と「心の自分」ですね。心の自分はちょっと俯瞰(ふかん)で見ています。その心の自分が身体をコントロールして動かしています。
―…えーっと、すいません。じゃあ「自動で行動している身体」の中には心は入ってないんですか?
長濱 いや、正確に言うと反射的に答えたりはしてるんですよ。それを操作しているのが心の私。
―…難しい!(笑) 飛行機の自動操縦みたいな感じですかね? 飛行機が「自動で行動している身体」で、パイロットの「心の自分」はしっかり操縦はしてないけど、なんとなくコントロールはしてる、みたいな?
長濱 あ、それ近いです。…でも、コントロールしてる心の自分がいなくなることがないから「この反射で話している身体が“本当の長濱ねる”なのかもしれない」って思うようになって。でも信じたくない自分もいるんです…(突然ハッとして)すいません! いや、これ私、わけわかんない話してますよね! 怖い怖い!(笑)
―大丈夫ですよ! たまに我に返って、周りを気にするっていうパターン。長濱さんの性格が少しずつわかってきました(笑)。
長濱 いや、カメラマンさんとかマネージャーさんとか、完全につまらなそうですもん! すいません!
カメラマン そんなことないですよー(笑)。
―昔から変わらない「気にしぃ」ですね!(笑)。でも「他人から見えている自分が本当の自分」っていうのを受け入れたくないと思っているのはなぜ?
長濱 …だって、今の自分に自信がないから。人の目を気にせずに、自分の意見に信念を持って言う。誰に何を言われてもブレない。本当はそういう人になりたいんです。
今日も帰って反省会します!
―なるほど。ちなみに「哲学に興味ある」って言っていましたが、哲学書とかも読んだり?
長濱 『はじめての哲学』みたいな本を1回読んだんですけど…なんか思っていたのと違っていて。私が考えてることって、そんなに深くなくて。例えば寝る時に「この地球の外には銀河が広がっていて、銀河にはまた銀河があって…人間って不思議だな」っていうような、ふんわりとしたことを考えてるんですけど…哲学って、理論づけて説明して、結論まで出ているんですよ。なんか…想像していたのと違いました。全然、興味を持てなかったんです。
―まぁ、哲学って、いろいろと定義づけますもんね。
長濱 そうなんですよ。よく人と話していると「哲学っぽいこと言うね」って言われるんですけど、そうじゃなかったみたいです。
―哲学って、そうやって定義づける学問という面と「世の中のいろんなことをいろんな角度から考えよう」っていう自由な面の両方がありますからね。長濱さんが興味があるのは、後者なのでは? 前者が漢字の「哲学」なら、平仮名の「てつがく」みたいな…。
長濱 確かにそっちですね。…でも結局、いつも思うのが「頭の中で考えてることを言葉で説明するのって無理だな」ってことなんですよ。自分の語彙力も足りていないし…感情って無限じゃないですか。でも、言葉って有限じゃないですか。無理ですよね、全てを伝えるのって(笑)。
―…ものすごく大変な話になってきましたね。ある意味、長濱さんの性格がわかったような気がします。では、2017年の目標を教えてください。
長濱 2016年は全てのことが初めてだったので、自分的には来るものを必死にやってたつもりなんですけど…振り返ると「もっともっとできたな」って思うことがたくさんあったんです。だから今年は、チャンスが来る前に準備しておいて、ひとつひとつ納得して、お仕事したいなって思います。
―プライベートの目標ってありますか?
長濱 個人的には…いろんなことをやりたいです。車を運転したいし、ひとりで遠出したい。四国の香川県に行きたいんですよ。「直島」っていう、アートの島、めちゃくちゃ行きたいんです。あ、それは車でじゃないです。新幹線と船で行きたいと思います。
―いいですね! ほんと叶うことを願ってます!
長濱 …あの、今回のインタビュー、本当に大丈夫ですか? これを読んだ読者さん、絶対につまらないですよね?
―大丈夫です、気にしすぎですよ!(笑) いろいろな考えを伺えて興味深かったです。
長濱 本当ですか? そう言ってくださって嬉しいです。でも本当は…今回みたいな話、ずっとしてたいんですよ。お酒が飲めるようになったら、こういう話を居酒屋で語り明かしたいっていう気持ちもあるんです。「こういうことって考えない?」って。
でも、みんなつまらないんだろうなぁ~。(ふと素の顔に戻って)……あ~~~、今日も帰って反省会します!「ちょっと話しすぎちゃった」って。
(取材・文/篠本634[short cut] 撮影/武田敏将)
■長濱ねる(ながはま・ねる) 1998年9月4日(18歳)長崎県出身。ニックネームは「ねるそん」。欅坂46のアンダーグループ・けやき坂46(ひらがなけやき)のメンバー第1号として活動を開始。現在、けやき坂46と欅坂46を兼任中。公式ブログもチェック! http://www.keyakizaka46.com/s/k46o/artist/22?ima=0000