“ももちイズム”をその身に宿している船木結ちゃん “ももちイズム”をその身に宿している船木結ちゃん

2017年、「週プレNEWSが今年“大注目する期待のアイドル”連続インタビュー」は、ついにラストの第7回目!

2017年の6月に卒業を発表している“ももち”こと嗣永(つぐなが)桃子さん。最後に登場するのは、そんなももちが所属する「カントリー・ガールズ」からの刺客! 船木結(むすぶ)ちゃんです!

カワイらしいビジュアルに目を惹かれがちですが、“ももちイズム”をその身に宿しているちゃんーーやっぱり、ただの美少女じゃない??

* * *

―さて、「週プレNEWSが選ぶ2017年の注目アイドル7人」のラスト7人目は、船木結さんです! このインタビューでは、注目の女のコがどんな性格をしているか?というのを深掘りさせてもらってるんですが…。

船木 私、猫をかぶっています!(キッパリ)

―…キッパリ言いますね!(笑) 今もかぶってらっしゃる?

船木 はい! だいぶかぶってますね! 目深にかぶってます。カントリー・ガールズに加入した時もずっとかぶってました。それが最初のツアーでだんだんと殻が破れてきて、気がつけば、今はMC中に関西弁で怒ってるみたいに喋ってる感じなんです。

―出身、大阪ですもんね。では子供の頃から猫かぶってたんですか?

船木 小さい頃はどちらかというと、町中の知らない人に話しかけるような勢いでした。

―昔の漫画ですけど、『じゃりン子チエ』の主人公のチエちゃんみたいですね。そういう作品があったんです。

船木 知ってます! よく言われてました! 「結ちゃん、チエちゃんみたいやなぁ」「誰?」って(笑)。めちゃくちゃいろんな人に声をかけてました。知らないおじさんに「聞いて~。結ちゃん言うねん。知ってた~?」って。あと、家の近くにステージのある公園があって、いろんな人が見てる中、ステージの上に登って、いきなり松浦亜弥さんの『Yeah!めっちゃホリデー』を踊りながら歌ったりして。だから自分でも、人見知りとか猫かぶりとか、そういうのではないと思ってたんです。

―それがいつの間にか…。っていうか今、松浦亜弥さんの名前が出ましたが、小さい頃からハロー!プロジェクト(モーニング娘。やカントリー・ガールズが所属するアイドルプロジェクト)が好きだったの?

船木 元々、5歳とか6歳の時に『きらりん☆レボリューション』っていうアニメがあって。その主人公の月島きらりちゃんを当時、モーニング娘。さんだった久住小春さんが声優をやってらして。そしたらお母さんが「きらりちゃんの声はモーニング娘。の久住小春ちゃんってコなんだよ」って教えてもらって。で、お母さんがモーニング娘。さんとかハロプロが好きで。幼稚園の年長さんの頃から映像を私にすごい見せてくれていて。

―親の代からハロプロファン。エリートですね! 英才教育。

船木 ふふ(笑)。小さい頃は鏡の前で自分で作詞作曲をして、ひとりで鏡の前で歌番組ごっこをやってました。ひとりっ子なので、鏡とお友達でした。「ラブ」とか「ハッピー」とか、知ってる単語を入れて自分なりに歌って。で、出てくる歌手とか司会の人とか、全員を演じていましたね。

あえての“ハズし”ビーサンでオーディションに!?

―ひとりハロプロコンサートですね!

船木 まさにそうです!(笑) ひとりハロコン! 歌謡ショーみたいな。まことさん(シャ乱Qのドラムのまこと。年に数回行なわれるハロー!プロジェクトのコンサートの司会を務める)的な感じの司会も自分でやって。小さい頃からアイドルに憧れてましたね。

―すばらしいですね!(笑)

船木 ずっと「なりたいな、でも大阪だし、上京するのって、どうしたらいいんだろう?」って思ってたら、11歳の時にモーニング娘。さんの『未来少女オーディション』っていう12期メンバーのオーディションがあったんです。それを受けて。当時、小学5年生だったんで、周りはお姉さんばっかりでした。みんなメイクしたり、おめかししたりで。私、その時、オシャレとか何もわからなかったんで、ビーサンで行っちゃったんです。

―ビーサン! かなり攻めましたね!

船木 なんか、お父さんに薦められたんです。お父さんってちょっと変わってて。「ビーサンや! あえての“ハズし”や!」て言われたんです。「これがハズしってやつか!」って思って、黒いTシャツとジーパン&ビーサンっていう楽な格好でいきました。で、その日は2次審査まであったんですけど、受かってしまって。親も「えええ??」って驚いてました。

―あえてのハズしが功を奏したんですね。

船木 その後の3次審査は東京でダンス審査、合宿って進んで。結果、「該当者なし」になってしまったんです。でも1週間後、「ハロプロ研修生(デビューを目指し、研修する練習生のこと)になりませんか?」ってお誘いいただいて。すぐに決めました。ダンスも歌もほぼ未経験だったので勉強になるし。

―で、ハロプロ研修生の中ではどうでしたか?

船木 そこから猫をかぶるようになったんです。私、本当は関西弁でわーーって喋るほうなんですけど、先輩の前では全く喋らないコを演じていて。私、2年間ハロプロ研修生として研修していたんですけど、最初は最年少だったのに、2年後には上から5番目くらいになっていて。そうなると周りから「船木さん」って呼ばれるようになっていたので、猫は脱いでたんです。でも、カントリー・ガールズに入った時には、一番後輩になっちゃうので、失礼のないようにしていたら…再び猫をかぶってました。

―加入前、カントリー・ガールズに対してはどんな印象でしたか?

船木 カントリー・ガールズは…カワイくて、“ザ・アイドル”ってイメージでした。学園アニメの世界に出てくる“お嬢様学校”の人たち。だからみんな手に紅茶の入ったティーカップを持ってると思っていて。

―ドラマ『相棒』の杉下右京さん(水谷豊)みたいですね。

船木 でも、そんなイメージだったんです。皆さんが並んでいて、周りはキラキラして、手にはティーカップで微笑んでいて。その姿が見えていました。で、研修生時代に親の友達の方に「結は、カントリー・ガールズが似合うんじゃない?」って言われたんですよ。でも私の性格が全然お嬢様じゃないので…。

ももち塾の教育のおかげです!

―『じゃりん子チエ』ですもんね(笑)。

船木 そうですよ。下町のベラベラ喋るコですから。「絶対に違う!」って思ってたんですけど、入ることが決まって。「どうしよう。どうしたらティーカップって持てるんだろう?」…手が震えるって思って。

―まぁ、ティーカップくらいは持てるでしょう。…って、イメージの話ですけどね。実際、持たないですから。

船木 そうなんです。で、実際に入ったら、みんなティーカップ持ってなかったんですよ! いい意味で。

―「いい意味で」の意味が、よくわかりません(苦笑)。

船木 いい意味でわちゃわちゃしてた、というか…カワイいのはもちろんなんですけど、自分が思ってた以上におしとやかっていう感じじゃなくて…普通に楽しいみたいな感じになってて。

―思っていたよりもお嬢様じゃなかった、と。

船木 そうです。実際にティーカップも持ってなかったですし。

―それはそうでしょうね。

船木 それでもやっぱり初めは緊張していたんで、猫をかぶってて。私は先輩たちの話を聞きながら、「あ~」って笑ってたんですけど。あ、ちなみにイメージの中でかぶってるのは実際の猫ではなく、猫のフードですね。パーカーに付いてるような。

―そうなんですね(笑)。

船木 でも、今では猫のフードも脱いでます。カントリー・ガールズの中では。まぁ、こうやって取材をしていただく時はかぶってますけど。

―なるほど(笑)。ところで、カントリー・ガールズにはプレイングマネージャーの嗣永桃子さんがいらっしゃるじゃないですか。

船木 はい。尊敬してます!(キッパリ)

―今、カントリー・ガールズは、他のハロプロ所属のグループ(モーニング娘。’17、アンジュルム、Juice=Juiceなど)の中でも、一番、バラエティ対応ができるとアイドルファンの中でも話題になっています。やっぱりそれは嗣永さんの指導によるものなんですかね?

船木 ももち先輩の教育のおかげです! “ももち塾”ですね。まさに。

殻が破れて、セクシーポーズもできるように…

―その“ももち塾”では、どんなことを教えてもらえるんですか? やっぱりトークとかですか?

船木 そうですね。私って、大阪出身ですし、元々喋れるほうだと思ってたんですよ。研修生の時にMCを担当してくださってた方に「船木はトークうまいよ」って言われてたし。でも、カントリーに入って一番ぶつかった壁っていうのがトークでした。これまでMCに対して意識がなかったわけじゃないけど、「やっぱりアイドルにとっては歌とダンス!」っていうイメージが強かったから。それがカントリーに入って一気にガラって変わったんです。

―ほうほう。

船木 同じタイミングで加入した梁川奈々美(やながわななみ)ちゃんがすごくキャラクターの強いコだったんです。グイグイ行く感じで。…で、私は猫をかぶってたのもあって、トーク中に自分からひと言も喋らなかったりもしたんですよ。「トークって、振っていただいてそれに答えるもの」って思ってたので。…だから、すごく喋れる奈々美ちゃんに対して焦りも出てきちゃって。しかも、初めてのツアーが始まって、その時に「ひとり喋り」をすることになったんです。お客さんの前で、自分でお題を考えて3~5分喋るんです。

―それはかなり厳しいですね!

船木 キツかったです。ネタもないですし、普通に生きてて人に5分も話すことなんてないじゃないですか。しかもそのMCって、ももち先輩が本番ぶっつけでメンバーに言うんで、本当にドキドキで。でも、ツアーをやっていくうちに「あぁ、こうやって日常の出来事を面白おかしく話すんだ!」ってことに気付き出して。そこで「ふざけていいんだ」「力を抜いていいんだ」「関西弁を出してもいいんだ」って思うようになりました。そこからはだんだんできるようになっていって。

―かなりの高地トレーニングですね! 他にはどんなことを学びましたか?

船木 カントリー・ガールズに加入した当初、いきなりももち先輩が「セクシーポーズやるよ~」って言うんですよ。「え?」って思って。そうすると、遊んでるようなノリで「セクシーポーーズ!」ってやっていくんですよ。最初は「この人たちは何をやってるんだ?」状態で。そのポーズを写メで撮るんですね。私も恥ずかしいけどやってみるんですよ。で、その写メを見ると、自分だけ照れ笑いとかしてて、他のメンバーと比べてダメで。恥ずかしがってる感じが恥ずかしいなって思ったんです。

―なんか、抜けの悪い感じが逆に恥ずかしい、みたいな。

船木 そうです。私、元々はそういうバカなこと、ノリノリでできるはずだったんですけど、それが、かぶっていた猫によって出せてなくて。でも、少しずつ殻が破れて、セクシーポーズもできるようになってきました。あと、楽屋で“ももち御殿”をやるんですよ。

―ももち御殿? “さんま御殿”みたいな?

船木 そうです。「びっくりしたこと」だったら、その話を実際に喋るんです。最初、先輩たちが自分の話をしてる時に普通に聞いてたんですね。で、最後に「結ちゃんは?」って聞かれた時に何も用意してなくて喋れなかったんですよ。で、ももち御殿が終わったあとに、ももち先輩に「ちゃんと考えておきなね」って言われて。その時に「あ、これはMCの練習だったんだ!」って気付いたんです。

―おぉ、遊び感覚で練習をするんですね。

船木 そうです。でも最初は「遊び感覚」って思えなくて。かなりしんどかったですよ。でも、リラックスをして、自分を出して行くってことが少しずつできるようになってきましたけど。

ももち先輩だからこその説得力、重みがある

―嗣永さんに怒られたりはするんですか?

船木 基本、トークで失敗をしても怒られないです。「緊張してたね」とか「噛んじゃったね~」って言われるくらいです。でも、正解がわかっていたのに、それを恥ずかしがって言えなかった時は注意されます。最近はカントリー・ガールズの誰も言われなくなってきましたけど。

で、そうなってくると、ももち先輩が言うんです。「みんな上手になってきてると思うし、ひとり喋りも慣れてきてると思う。だから、今まではお話の構成とかネタとかを考えてたと思うけど、次からは時間を気にして喋るようにしようね」ってアドバイスをもらって。「次の段階に行けてるんだ」っていうのがすごい嬉しいです。

―はぁ~~(感心)。

船木 他にも、「ラジオやTVのトーク中にハロプロの他のコの名前を言う時も『希空(きそら)ちゃんが』じゃなくて、『つばきファクトリーの新沼希空ちゃんが』って言わないとダメだよ。一般の人は誰の話なのかわからないからね」って、そういう基本的なことから、「TVに出る時は自分の話す場所じゃない時でも、後ろで表情とかのリアクションを頑張って。常に声を出して笑って」って。「例えば驚いてる時、表情と動きと声を使って“表現”しないと、観ている方には『驚いてる』って伝わらないから」みたいな。そういうのがたくさんあります。

―バラエティの授業ですね! ももち塾、通いたいです!

船木 しかも、いつも楽屋でエピソードトークごっこをしてるんで、いろんな場面で「あ、これ、この間、喋ったトークのネタが喋れる!」っていうのも結構あります。

―「進研ゼミで出たやつだ!」みたいな。

船木 そうです。「ももち塾でやったやつだ!」って(笑)。で、最近は「面白いことを言わないと!」っていうプレッシャーは少しずつなくなってきて、自由に話してもウケることが増えてきました。楽しいですね。

―いいですね! 万能感あるでしょうね。そうなってくると。

船木 あ、でも、そういう慣れてきた時に、ももち先輩に「初めて観た人でもわかるようなトークをしよう」って言われるんです。ライブのMCだと、ファンの方が大半なんですよ。だから言ったことに好意的に「あ~~!(笑)」って反応してくれるんです。でも、「そこに慣れたらダメだよ。何回会ったことのある人でも、初めてのような気持ちで説明してね」って。慣れが出てくると、思わずそうなってしまうので。

…でも、そうなるといろいろと説明が多くなってしまって、尺が長くなってしまうんですよ。そこが一番の課題ですね。悩みと言ってもいいです。

―なんか、普通のアイドルに「最近、なんか悩みってある?」と聞いても、絶対に出てこない悩みですね(笑)。やっぱり「ももち塾・塾生としての誇り」みたいなものってあるんですか?

船木 ありますね。よく、外部のお仕事とか他のアイドルさんが集まるお仕事の時て、「私たちはハロー!プロジェクトの代表として来てるんだから、歴史に誇りを持って、責任を持ってやってほしい!」って、いつもももち先輩が言うんですよ。その言葉には、15年やってきたももち先輩だからこその説得力、重みがあるなって思います。

私たちは、そのももち先輩から教わってるんだって気持ちが大きいです。いろんな方が「カントリーのMCすごいね」って言ってくださるので本当に嬉しいですね。

ももち先輩は人類最強です

―船木さんは、“ももちイズム”を継承する、最後の遺伝子じゃないですか。このイズムは、後輩に伝えていきたいと思いますか?

船木 もちろんです! これは2017年の目標でもあるんですけど、ももち先輩が卒業する6月30日まで“ももちイズム”をできるだけ継承して、ももち先輩の行動をもっと察していこうと思います。そして、MCだけじゃなく、パフォーマンスも磨いていきたいです。

―なるほど。では、そろそろ最後なんですが、船木さんにとって「嗣永桃子」とは、どういう人物ですか?

船木 私が今まで会った中で、人類の中で一番すごい人間ですね。人類最強。

―人類最強!? ヒョードルとかアントニオ猪木さんとかに使う言葉ですよ!(笑)

船木 ももち先輩って、時間とか全ての先が見えてるんですよ。ただ紙に文字を書くにしても、紙の右端から左の端まで全部ぴったりに収まったりとか。そういうちょっとしたところから、全てがすごいんです!

―尊敬っぷりが本当にすごい!(笑) では、「ももちイズム最後の継承者」として2017年、頑張ってください。

船木 はい! ありがとうございました! これからは自己紹介の時に「ももちイズム最後の継承者の船木結です!」って言うようにします!

―いや、そこまでしなくてもいいです(笑)。

(取材・文/篠本634[short cut] 撮影/武田敏将)

■船木結(ふなき・むすぶ) 2002年5月10日(14歳)大阪府出身。ニックネームは「ふなっき」。ハロー!プロジェクトのグループ「カントリー・ガールズ」の最年少メンバー。担当カラーはイエロー。2月8日には、最新両A面シングル『Good Boy Bad Girl/ピーナッツバタージェリーラブ』が発売! 公式サイト http://www.helloproject.com/countrygirls/