デジタル版で気に入れば親は必ず書籍を買うでしょう

複数のクリエイターの力を結集し、4年以上もの制作期間を経て刊行された絵本『えんとつ町のプペル』(幻冬舎、2000円+税)が大ヒット。この作品を作者の西野亮廣氏はネット上で全ページ無料公開し、話題を呼んでいる。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に独自の視点で斬り込む!

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25万部超えのヒット作となっている西野さんの絵本。定価2000円の本を、自らネット上で無料公開したことで、賛否が分かれています。

無料公開の前例を作ると、知名度のないクリエイターたちが食べていけなくなるという批判に対し、本を買えない子供たちにも作品を読んでほしかったと言う西野さん。公開後にも本は売れ続けており、TVで聴いて気に入った歌を買うのと同じこと、と反論しています。

注目すべきは、これが絵本であること。絵本は紙でないと、読み聞かせには不便なのです。親子が寄り添って本を開き、ボロボロになるまで読んでやる。子供は自在にページをめくり、よちよち歩きでも「読んで」と本を持ってきます。親子の大事なコミュニケーションツールなのです。

デジタル版で気に入れば親は必ず書籍を買うでしょう。人気が出ればグッズやアニメ化、翻訳とビジネスチャンスが広がります。自分の幼少時の愛読書をわが子に読んでやる親も多いので、名作ともなれば、買われ続けて100刷を超える作品も。絵本は、他の書籍とは読まれ方が違うのです。目のつけどころがいいですね、西野さん。

●小島慶子(Kojima Keiko)息子たちにも随分たくさん絵本を読んでやりました。絵が美しく、シュールな作品も多くて、絵本の世界は実に奥深いです。チャチな絵や安易な感動話は、なぜか子供にウケません。厳しい読者です