『週刊プレイボーイ』本誌で連載中の「ライクの森」――。
報道情報番組『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)ではメインMCを務める人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。
今回のテーマは「春のダイヤ改正」。大の鉄道ファンである彼女が、ここ数年のダイヤ改正で気になっていることとは…?
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3月は、鉄道ファンにとって一大イベントが行なわれる時期です。そう、ダイヤ改正。この時期、鉄道各社で一斉に新しいダイヤが適用されるんです。電車の時刻表が変わるだけじゃなく、駅の存廃や車両の置き換えもこの時期に多く行なわれます。
JR各社は、今年3月4日に一斉に新ダイヤが適用されました。いくつか大きなトピックがあるんですが、まずはJR北海道の改正。特急の運行体系が大きく変わるとともに、10駅の廃止が行なわれました。駅名を五十音順で並べた際、一番最後にくる駅だった「蕨岱(わらびたい)駅」も、なくなってしまったんです!
私が一番ショックだったのが、JR東日本奥羽本線の赤岩駅が事実上廃止されることでした。ここは、電車が前進とバックを繰り返しながら山を登る「スイッチバック」の設備が残っていることで有名だったんですが、今年から電車が止まらない“通年通過駅”になり、駅として使われることはほぼなくなりました。
また、JR以外では、東京メトロの銀座線を走っていた「営団01系車両」が引退します。1983年にデビューした01系は、直線的なデザインとアルミニウムボディで、当時はかなり未来感のある車両だったようです。
今見ると、確かに古く感じられるかもしれませんが、面白いのは、01系よりさらに古い車両をモチーフにした「東京メトロ1000系電車」が今の主力になっていることです。古いデザインも、一周すれば新たなトレンドになるという、鉄道界の典型的な流れですね。
ここ数年、ずっと気になっているのは…?
一方、JR各社で唯一、運行区間が延伸されるのが、JR西日本の可部(かべ)線。これまでは可部駅が終点だったんですが、新設のあき亀山駅まで延伸されることになりました。
また、JR九州では新しい特急「かわせみ やませみ」がデビューしました。これは観光列車という位置づけで、窓の外の景色を楽しめるカウンター席なども用意されているそうです。
こうして、なくなるものもあれば増えるものもある。鉄道ファンにとっては悲喜こもごものダイヤ改正ですが、私がここ数年、ずっと気になっているのが「国鉄103系電車」の行く末です。103系は、かつて国鉄の主力車両として大量生産され、東京の山手線や大阪の環状線など全国で使用されていた電車です。
山手線であればウグイス色、環状線であればオレンジ色に塗られた外観と、あちこちに残る旧国鉄らしいゴシック体の表記、そして車両の中に取りつけられた扇風機などは、“昭和の電車”という趣にあふれています。昭和生まれの方にとっては、懐かしさを感じる車両じゃないでしょうか。
この103系は、現在ではJR西日本とJR九州にしか残っていません。なかでも、古い車両が使われているのは、関西の環状線や阪和(はんわ)線などごく一部。今回のダイヤ改正では生き残りましたが、いつ日本から消えてしまうかわからない“鉄道遺産”といえます。
私も、環状線でたった2編成しか運行していない103系に会うために、何度も大阪に足を運びました。阪和線を走っている「777番」の車両にもいつか会いたいんですが……。古い車両がどんどんなくなっていくのはとっても寂しいです!
●市川紗椰(いちかわ・さや) 1987年2月14日生まれ。アメリカと日本のハーフ。モデルとして活動するほか、報道情報番組『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)ではメインMCを務める。14歳から日本で暮らしいてる彼女が最も思い入れがあるのは、201系