CM出演やコラム執筆などアダルト女優という枠を飛び越えて幅広い活躍を続ける紗倉まなが『週刊プレイボーイ』本誌で連載中のコラム『白目むいちゃいました。』。
まなちゃんが、徒然(つれづれ)なるままに日々思うことをエッセイ風に綴(つづ)っていくコラムだが、今回は彼女の2冊目となる小説について語ってくれた。
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2冊目の小説『凹凸』が3月18日に発売された。“でこぼこ”ではなく、“おうとつ”と読みます。
これまで私は「普通の家庭」ってなんなんだろうと思いながら生きてきた。普通の両親に育てられれば、普通の家庭になるのか。そうしたら自分も普通の娘になったのか。そもそも“普通”ってなんなんだろう、と。
その疑問が今回の『凹凸』を書く際に最大の軸になったし、母性と父性について改めて考えさせられることになった。
母性というのは、とてもわかりやすいものだと思う。母親は「産んで育ててくれる人」だからだ。じゃあ、父性とは、父親の存在意義とは…!?
両親に対して抱く疑問は、自分が親にならないとわからないかもしれないし、親になってもわからないかもしれない。父性、それと対極する母性、そこを掘り下げていった結果、『凹凸』という形でまとまった。
今回の『凹凸』というタイトルは、処女小説『最低。』を書き終わる頃にすでに思いついていた。凹凸。でことぼこ。互いに埋め合わせるようなこの形は、母性と父性? それとも女と男? もしかしたら、私ともうひとりの私、なのか。タイトルに突き動かされるように書くのは生まれて初めてで、とても新鮮な感覚だった。
「オ●ニー」と言われてしまった悲しさ
あまりにも感情が高まると、それは文体にもわかりやすく影響するらしい。数ヵ月前、何回か原稿をヤリトリしているときのことだった。担当編集さんに「最近、何かありましたか?」と尋ねられた。「違う人が書いたみたいです」とも。
私は無意識のうちに、あふれ出す気持ちや熱い思いを文に叩きつけていたようだ。
「紗倉さんの表現も文も大好きだけど、人に伝える気があるように思えません。読者にちゃんと寄り添ってください。表現したいだけなら、ネットでも公表できます。これじゃあ、ただのオ○ニーになっています」
この担当編集さんの言葉はだいぶ柔らかくしたもので、実際はもっと鋭く痛いコメントだった。自信満々で提出した原稿も、とことん愛のあるダメ出しをされたし、当然何万字も削られた。担当編集さんとのヤリトリの回数は『最低。』のときに比べたら10倍近く増えたのではないか。そう思うほど濃くて深かった。
自己満足にならないよう、人に伝えたいという一心で書いていたのに、気づいたら「オ○ニー」と言われてしまうような作品になり下がりかけていたのは悲しくて仕方なかったけれど、勉強にもなったし、いろいろな意味で号泣しながら書いた原稿はこれが初めてだった。
そのコメントを受けた後、原稿は再度書き直した。そうしたら、「ぐんと良くなった」と言われてホッとした。
『凹凸』は、ちょっと普通ではない家庭で育った女のコが、どんなふうにこれからを生き、どのように家族と向き合い、人を愛するのかを書きました。
いつも「夢は印税生活!」とか言い続けているけど、お金だけがすべてではなく、魂を削るような思いで完成させました。たくさんの方に読んでいただきたいです。誰かの心の灯火(ともしび)になれますように。
●紗倉まな(さくら・まな) 1993年3月23日生まれ、千葉県出身。身長160cm、B89 W58 H89。『紗倉まな・野本ダイトリのどうしたらいいでしょうか?』(文化放送、毎週土曜28時~)、『TENGA茶屋』(FM大阪、毎週土曜25時30分~)に出演中。公式ツイッター【@sakuramana0000】