東京・田園調布にある「宝来公園」こそ『キン肉マンⅡ世』の頃の美波理(ビバリー)公園だと主張するまこちん先生。とにかくキン肉マンへの愛がスゴい!

キン肉マン』新章・完璧超人始祖(パーフェクト・オリジン)編が、5月15日の更新でシリーズ最終回を迎え、その更新直後はツイッターでもトレンドワード1位に「キン肉マン」がランクインするなど大きな話題を呼んだ。 

現在、ゆでたまご先生は6月中旬の新シリーズ再開に向けて鋭意準備中で連載自体は約1ヵ月の休載となるが、その間も「週プレNEWS」では様々な企画を予定! 

その第1弾として、なんとあのファミレスを舞台にしたゆる~い四コマギャグ『THE3名様』で人気を博した石原まこちん先生が『キン肉マン』とまさかのコラボで、スピンオフ漫画『THE超人様』を5月22日、29日の2週にわたり掲載! 

そこで早速、幼少期から大ファンだったというまこちん先生にスピンオフ執筆の経緯やその意気込みについて突撃インタビュー。前編「田園調布、“キン肉マンの聖地”説」から“肉愛”が止まらず、今回の後編では!?

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この日、まこちん先生が持参したキン肉マンコレクションの一部。高島屋限定で発売されたフィギュアと、家にあるのも数えれば4冊(!)あるという『キン肉マン』13巻

―当時の自作漫画を持参していただきましたが、コレすごいですね。ノートに落書きしてるというレベルじゃなくて、もう完全に単行本になってるじゃないですか!? 

石原 そうなんです。手作りで勝手に『キン肉マン』の話を考えて、描いて冊子にして…。

―巻数もすごいですね。何冊ほど作られたんですか? 

石原 50巻くらいまでは作ってたと思います。

―内容的にはどういうストーリーだったんでしょう? 

石原 いや、それはもう単純で。それぞれの巻ごとに僕が勝手に考えた強いやつが出てきて『キン肉マン』の超人と闘うという話。それも基本的には全部、本物の『キン肉マン』を読んで刺激されて描くものですから「ミスター・VTRより強い超人を出すぞ!」と思ってカメラマンという超人を作ってみたり。この最後の敵もまさにフェニックスみたいな感じでしたね。

―必殺技名もすごいですね。「マッスルシネ!」って…果てしない殺意を感じます。 

石原 今読み返すと、特にセリフとか何を書いてるのかさっぱりわからないんですよね(笑)。

でもそのおかげで小学生の頃に友達ができたんです。僕、本来はあまり周りに溶け込めないような子供で。だからひとりでずっと漫画を描いてたんですけど、そうして描いた漫画を回し読みしてもらうことでどんどん友達ができるようになって。だからそう考えると、最初に僕に友達という存在を与えてくれたのも『キン肉マン』という作品だったんですよね。

―漫画家としてだけでなく、人生の基礎の大半は『キン肉マン』でできてると最初におっしゃられたのは、そういうことだったんですね。 

石原 まさにそうですね。だから僕がずっと描いてきた『THE3名様』という作品も、実は肝(きも)にあるテーマは“友情”なんですよ。

―確かにダラダラくっちゃべってるだけのゆるい感じに見えますけど、あの3人の間には絶対裏切らない感はありますよね。 

石原 ありがとうございます。そうなんですよ。だからちょっと形は違いますけど、あれは実は友情漫画なんです。本当に何から何まで『キン肉マン』に影響されてできたのが今の自分だと思ってます。

―では、今回のコラボスピンオフ企画は、これまでの念願の中でもかなり大きなものが実現されたということに? 

石原 いや、もう自分の中ではこれ以上ないくらいの畏(おそ)れ多いことをさせていただいているという感覚で…。手描きの冊子を一生懸命作ってた頃の自分に言ってやりたいですね。おまえは将来、『キン肉マン』の仕事をさせてもらえることになるぞって(笑)。

まこちん先生が書きためていた手作りコミックスの一部。右奥の本には、大人になってから会えたというゆでたまご・嶋田先生のサインまで

まさかの主役抜擢の「カナスぺ」さん

―待望のスピンオフは先週、前編が公開となり大反響! やはり『THE3名様』のように3人の超人がファミレスを舞台にダベってるという。 

石原 はい、まさにそういうやつですね(笑)。

―以前からアイデアは頭にあったという話でしたが、気になるのは登場する超人の人選です。順当に主人公のキン肉マンが登場するかと思いきや…? 

石原 いや、キン肉マンは畏れ多くて出せませんでした。じゃあファミレスでダベってそうな超人って誰だろう?と考えた時に、パッと浮かんだのはやっぱりカナディアンマンとスペシャルマンのビッグ・ボンバーズだったんですよね。

―そこいくかよ!と(笑)。 

石原 だってあの哀しさってないじゃないですか(笑)。あんなに初期から出てるのに、もしかしたらレオパルドンより知名度低いんじゃないかってくらいの空気っぷりで。

―本当に初期の初期から出てるんですけどね。 

石原 それで歪(ゆが)んでしまったのが、あのカナディアンマンのある意味、性格の悪さといいますか…。

―結構、ダークなとこありますよね(笑)。 

石原 そうなんですよ!(笑) それで今日も単行本の13巻を持ってきたんですけど、たとえばこのシーンとかひどくないですか?

―「チェ…キン肉マンのうすのろめ。どうせ死ぬんなら黄金のマスクを取り返してから死にゃあよかったんだ!」。なんですかこれ?(笑) 

石原 ね、ひどいでしょ!?(笑) それで一方のスペシャルマンはカワイさがあるんですよね。心配性だし、人のことばかり気にしてて。

テリーマンの言う通り、カナディアンマン、キミは「な…なんてことを」。(c)ゆでたまご/集英社

 ―確かに初期の超人オリンピック編でも、入院先の病院から抜け出して、親友のテリーマンにリングサイドまでエール送りにきましたもんね。 

石原 そう、こっちは逆にすごくイイやつで。だからそのコンビで見せるのは面白いかなぁと思ったんですけど、やっぱりもうひとり欲しいんですよ。じゃあ誰と一緒にいたら面白いか、悩んだ末に決めたのが…。

―そこは実際に「週プレNEWS」で更新される漫画を読んでもらった時の楽しみにしてもらうということで。 

石原 そうですね。あれだけ盛り上がった本編シリーズの後に僕の漫画が載ってるというのは、本家のゆでたまご先生のお休み中とはいえ大役で恐縮ですが…是非読んでいただければ嬉しいです。よろしくお願い致します!

美波理(ビバリー)公園(?)で愛を叫ぶ、まこちん先生!

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『キン肉マン』と石原まこちん先生のコラボスピンオフ『THE超人様』は、5月22日、29日の2週にかけて配信予定。さらに6月5日、12日にはゆでたまご・嶋田隆司先生と中井義則先生の新シリーズ打ち合わせの模様をお伝えする特別企画も掲載予定。

そして、2年ぶりのキャラクター人気投票「キン肉マン超人総選挙2017」が29日午前9時より開始。待望の新シリーズ再開まで様々な企画が目白押し! 『キン肉マン』本編休載中も「週プレNEWS」での特別企画が毎週月曜に更新されているので、是非お楽しみください!

(取材・文/山下貴弘 撮影/関純一)

石原まこちんISHIHARA MAKOCHIN)1976年、東京生まれ。代表作『THE3名様』は3人の若者がファミレスでひたすらダベり続ける様子を描いたギャグ作品で、2005年には福田雄一監督・脚本で実写映像化も。現在はWebコミック「マンガonウェブ」にて『THE3名様~壊れかけのド深夜編~』連載中。

『キン肉マン』59巻,6月2日発売! キングダム原先生と嶋田先生対談つき!