地上波では絶対に見ることのできない、笑わせ合戦が売りの『ドキュメンタル』(Amazonプライムビデオ HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル シーズン2)

「バラエティ番組で、こんなふうにゾクゾクしながら笑うのは、本当に何年ぶりだろう?」(カスタマーレビュー欄より)

アマゾンがプライム会員向けに配信しているお笑いコンテンツ『ドキュメンタル』がバカ受けし、現在、シーズン2が配信されている。

10人の芸人たちが密室内でガチの笑わせ合いバトルを繰り広げ(笑ったら退場)、最後に残ったひとりが賞金1000万円を手にするというドキュメンタリーバラエティなのだが、シーズン1はアマゾンのオリジナル番組の中で視聴数ナンバーワンを記録した。

地上波テレビでもバラエティは楽しめるが、いったい『ドキュメンタル』の何が視聴者の心をとらえたのか?

「地上波では考えられない“自由さ”“予定調和のなさ”“マニアックさ”が受けた」

と語るのはテレビ解説者の木村隆志氏だ。

「松本人志さんが企画したこの番組の売りは“演出なし”“編集なし”の撮りっぱなし番組です。台本がなく、笑いを足したり、すべったネタをカットしたり、テロップで説明したりしない。そのため、芸人の底力が試される。しかも有料会員だけの独占配信だから、地上波のような規制も少なく、下ネタもやり放題。そんな番組が面白くないはずがありません」

『ドキュメンタル』を見たという地上波テレビ局のディレクターが真顔でうらやむ。

「あんな番組、一度でいいからつくってみたいですよ。今の地上波はメインの視聴者が50代以上の主婦なため、そこに受ける番組づくりを求められる。そうしないと視聴率が取れないからです。一方、『ドキュメンタル』のようなネット配信番組にはそんな縛りはない。ひたすら面白い番組だけを追求できる。テレビ業界には『面白いものをつくりたい』と思って入ってきてる人が圧倒的に多いわけで、規制のないネット番組は本当にうらやましいです」

シーズン2では、複数の芸人がイチモツぽろり寸前の激ヤバシーンもあるのだとか。前出の木村氏がバラエティ番組の未来をこう予言する。

「地上波のバラエティ番組は満遍なく視聴率を取るために、ダラダラとジャブのように小さな笑いを出していかなければいけない。しかもスポンサーの手前、下半身を露出するなど過激なことはできない。すると、だいたい同じような番組になってくる。そんな番組づくりに飽きた視聴者や制作者が『ドキュメンタル』のように自由度の高いネット配信番組へと移っていくかもしれません」

アマゾンプライム以外にもAbemaTVやNetflixなど、ネット配信サービスの顔ぶれは多彩になっている。そのうちに、「バラエティ番組はネット配信で見るもの」という時代になるのかも?