『週刊プレイボーイ』が15歳の頃から撮り続けてきた、実力派女優の黒川芽以さん。今年30歳を迎えたメモリアルイヤーに、週プレと彼女とのコラボ連載「女優・黒川芽以の30×30」が配信スタート!
“黒川芽以と東京の夜”をテーマに、カメラマン・熊谷貫氏がデジタル写真集を撮影。そのメイキングとともに、芸歴24年&女優歴20年の彼女による貴重なエッセイをお届けしていくスペシャル企画だ。
そこで、毎週金曜の更新となる新連載について、彼女を直撃。連載への期待や意気込みを聞いた前回に続き、10代20代のあの頃を振り返ってもらった――。(聞き手/週プレNEWS編集長・貝山弘一)
―6歳の頃から芸能界に入り、10歳で女優デビュー。これだけ長く続いている女優人生を振り返ってみてどう?
黒川 女優を続けてきたというか、一番好きな場所だったんですよね。芸能の仕事をしてるコでありがちなんですけど、学生時代はほとんどイジメられてたので。自分にとって仕事の現場が一番の居場所だったんです。
―人生そのものでもあったというか。学校に通いながらで仕事も忙しかったし?
黒川 10代の頃は遊ぶ暇もないくらい忙しかったです。青春とかは全部、作品で取り返せばいいと思ってたので、気づいたら自分には役者以外、何もないんですよ。他に何をすればいいのかわからないし、辞める勇気がなかったからずっと続けてるっていうのもありますけど。でも、やっぱりこの仕事が好きなんですよ、単純に!
―若い頃の自分って、どんなタイプのコだったと思う?
黒川 昔はトゲトゲしてたなぁって。久しぶりに会う人から「だいぶ丸くなったね~」って言われるのが恥ずかしくて(笑)。
―今はフレンドリーな感じですけど。
黒川 フレンドリーすぎるくらい(笑)。たぶん当時は、なめられたくないって気持ちがすごい強かったんだと思います。長女なので、しっかりしなきゃいけないって責任感も強かったから。でも子供って、ちょっと抜けてるくらいのほうがかわいがられるんですよ。それがうまくできなくて、若い頃はがんじがらめになってました。すぐにピリッとしちゃってたから。反省しないとですね!
―10代の頃といえば、写真集で水着グラビアもやってたけど、それにはピリピリしてなかった?
黒川 してないですけど、意見は言ったと思います。ちょうど中2くらいから仕事に対する思いが変わってきた頃なので、やっぱり恥ずかしかったんでしょうね。今では恥じらいが懐かしいというか、そんなこともあったなぁって(笑)。でも、中学生なのに「水着も全然OKです」って堂々と撮られるよりかは、その初々しいエッセンスが入ってよかったんじゃないですかね。
―たくさんの大人がいる中で主張できてたのは、いいことなのでは? ただ流されてたら破綻するかもしれないし…。
黒川 そうですね。でも、子供が主張すると生意気って思われがちなので、悩んだこともありますよ。しっかりしすぎると愛されない。自分のマジメさをどうしたらいいんだろうって、ずっと考えていて…。それが20歳になったら、一気に肩の荷が下りたんです!
両極端なほうが面白いかなって…
―そんなはっきり分岐点になったんだ?
黒川 はい。30歳の今からすると20歳って子供だと思うんですけど、6歳から仕事をしてるとすごく大人だったんです! もう大人だから、しっかりしていてもイヤがられないんだなと思えるようになって。
―20歳になって肩の荷が下りて、そこからどう変わったの?
黒川 いい意味でバカになりたい、愛されるキャラになりたいってことを意識するようになりました。それが自然にできるようになったから、フレンドリーになりすぎた今があるって感じです(笑)。結構マジメすぎることを悩んでる人、多いんですよ。
―悪いことじゃないんだけど、芸能界だとマジメすぎるって指摘されることもありそうだね。
黒川 「マジメすぎて面白みがない」って言われることもありますね。セリフを覚えるにしても役作りにしても、感性でパッとできちゃう人もいれば、地道にコツコツ積み上げてやってく人もいて。最終的には演技で見せられれば、いろんなプロセスがあっていいと思うんですよね。
―年齢が変わるとともに、演じる役柄も段階を経てますね。少女から大人の女性を演じるようになって。
黒川 最初は誰かの娘役が多かったですよね。『グミ・チョコレート・パイン』や『ボーイズ・オン・ザ・ラン』の頃はヒロインが続いて、そのうち妖艶な女性の役が増えていって…。
―男を振り回すような役?
黒川 多いですね(笑)。最近はお母さん役もやっていたり、かなり両極端なほうが面白いかなって。役者として、ひとつのイメージになりたくないという思いがずっとあるので。
―女優として見せる部分もあれば、プライベートをさらけ出す部分もあって。黒川芽以のいろんな顔を見てほしい?
黒川 そうですね。お母さん役をやってる人だと思ってくれてもいいし、ヤンキー役が似合うって言われても嬉しいし、どんなイメージを持ってくれても構わないです。「こんな役やってると思ったのに、こんな役もできるんだ」って楽しんでくれたらいいなぁと思いながらやってるので。
―実際、「こんな役もやるんだ!」って思った作品もあって、その世界にさり気なくとけ込んでますよね。
黒川 役によって違うみたいで、気づかれないことも多いんですよ! 私の名前をエンドロールで見つけて「出てたんだ!」って気づく人もいるみたいで(笑)。役者としては、空間に存在しながらとけ込むことはいいことだと思うし、それも自分の特色だからいいのかな。
■連載コラム「女優・黒川芽以の30×30」は毎週金曜17時配信予定。このインタビューの続き、後編は8月24日に配信予定!
(撮影/熊谷貫)
■黒川芽以(くろかわ めい) 1987年5月13日生まれ。東京都出身。1993年『揖保の糸』CMでデビュー。1997年に10歳でNHKドラマ『鏡は眠らない』に出演して以降、映画やドラマ・舞台と数々の作品に出演。これまでの出演本数は100作以上に。公式ブログ、Twitter【@mei_kurokawasan】