「週プレNEWS」連載中(毎週月曜更新)の漫画『キン肉マン』(ゆでたまご作)のジャンプコミックス(以下、JC)最新巻の中から、ゆでたまご先生ご自身にお気に入りの原画を選んでご紹介いただくシリーズ企画“ゆで原画”第8回。
9月4日(月)に発売される『キン肉マン』60巻を読む前に、ここまでのおさらいを兼ねて作者・ゆでたまごの両先生に、まずはJC59巻から思い入れの深い原画1枚をそれぞれ選定してもらい、理由も語ってもらった。
今回、作画担当・中井義則先生に選んでいただいたのがメイン写真の1枚(59巻/64ページより)。
キン肉マンに敗れたネメシスを掟(おきて)に従い処刑しようとする完璧(パーフェクト)超人軍の最高指導者・超人閻魔(えんま)。それに待ったをかけたのは、同じ完璧(パーフェクト)超人の実力者・ネプチューンマンだった。ネメシスの処遇を巡って意見を対立させるふたり…。なんとしても掟を貫くことを是とする超人閻魔に対し、ネプチューンマンはその行ないを止めるべく真っ向から挑みにかかる!
●中井義則先生(ゆでたまご・作画担当)コメント
「このひとコマは見てるだけで何かワクワクしてくるじゃないですか。ストロング・ザ・武道(ブドー)というのは、中身は違えど、かつてのネプチューンマンのタッグパートナーであるビッグ・ザ・武道を思わせる姿をしていますから、そのふたりがぶつかり合うというのは本編の話の流れとはまた違った絵面としての楽しみがまずあると思いました。
それに物語上の立場としても、同じ「完璧」の二文字を背負っているふたりであることに変わりはないんですが、ネプチューンマンは未来に向けた完璧の進化を求めていて、一方の武道は昔ながらの完璧の伝統を大事にしている。その新旧の対比がまさにここに凝縮されているようでもあって、その意味でも大事なシーンだと感じました。
だから僕としても相棒(嶋田先生)の原作を最初に読んだ時から、このシーンを描くのがすごく楽しみで。これが収録されている第192話のコマ割りを決める際も、全20ページの中でこのワンシーンをどこに配置するのが一番効果的か…というのを決めるところから全体の構成を決めていきました。なかなか描いてて自分でも楽しめた1枚です」
嶋田先生も思いあぐねた悪魔将軍vs武道
続いて、原作シナリオ担当・嶋田隆司先生に選んでいただいたシーンが、先ほど中井先生に選んでいただいたシーンのわずか2ページ後のこちら(59巻/66ページより)。
ネプチューンマンと超人閻魔、ふたりの完璧超人の激突を寸前で止めた大きな足音と声の主は…まさかの悪魔超人軍総帥・悪魔将軍その人だった!?
●嶋田隆司先生(ゆでたまご・原作担当)コメント
「完璧(パーフェクト)超人のボスである武道が次に誰と対戦するのか…というのは、ここまで読者には意図的になるべく伏せるようにしていたんです。もしかしたらキン肉マンと闘うのかもしれないし、もしくはこの直前のシーンで見せたようにネプチューンマンと闘うのかもしれない。それがとうとう悪魔将軍と闘うんだというのを初めて確定させたのがこのシーンでした。
読者にいろんなパターンを想定してもらって、読みながら想像を巡らせて楽しんでもらう。それを僕がここだと思うタイミングで確定させて、みんな一斉に驚いてもらう。まさにその采配が作り手の醍醐味(だいごみ)だと思っていて、それがうまくいってみんな喜んでくれたら僕もすごく楽しいですし、逆にうまくいかなかった場合は反省しますし。作家冥利(みょうり)につきると思う、その場面のひとつがまさにここでした。
それにもうひとつ僕の立場としては、まさにこのシーンを作ってしまったことで「ああ、とうとう後戻りができなくなった」と覚悟を決めざるを得ないシーンになったので(笑)…そういう意味でもとても思い入れが深いですね。
そもそも武道と将軍がラストで闘うというのはシリーズ中盤からなんとなくは想定していたんですけど、かなり難しい試合になりそうなのは予想がついていて、頭ではそうしようと思いながらもなかなか踏ん切りがつかなくて。でもこの1枚絵がその迷いを強制的に断ち切ってくれましたから。さぁ最後の試合を書くぞと気合いを入れ直しましたね」
(取材・文/山下貴弘)
●悪魔将軍と超人閻魔、悪魔・完璧(パーフェクト)両軍のボス同士が胸中に抱き続けた数億年にわたる因縁と死闘の果て…超人界にもたらされた新たなる秩序とは!? そして我らがキン肉マンが放った魂の叫びとは!? 『キン肉マン』最新60巻は9月4日(月)発売。“完璧超人始祖(パーフェクト・オリジン)編”がこれにて完結! 詳細はこちらもチェック(一部試し読みあり)
★次回“ゆで原画”第9回はJC『キン肉マン』61巻(2017年12月4日発売予定)の発売直前、11月末頃にお届けいたします。お楽しみに!