“地鉄”という愛称で親しまれる、富山地方鉄道の路面電車。水戸岡鋭治さんデザインのレトロな車両です “地鉄”という愛称で親しまれる、富山地方鉄道の路面電車。水戸岡鋭治さんデザインのレトロな車両です

『週刊プレイボーイ』本誌で連載中の「ライクの森」――。

報道情報番組『ユアタイム』(フジテレビ系)ではメインMCを務める人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。

今回は鉄道ファンの彼女が、オススメの路面電車について語ってくれた。

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昔懐かしい雰囲気を醸す、路面電車。街中を小さな車両がトコトコ走る姿が、私は大好きです。

そんな路面電車のなかでも、ぜひ皆さんに乗ってほしい路線をご紹介します!

まずは、愛媛県の伊予(いよ)鉄道が運営する「松山市内線」。SL風の外観を再現した「坊っちゃん列車」が走っていることで有名ですね。伊予鉄は観光に力を入れており、市内で行なわれるイルミネーションイベントに合わせて車体をライトアップしたりもします。

ただ、その飾りつけがピンク一色だったりして、すごくアダルトなんですよ(笑)。イルミネーションというより、ネオンという感じ? 「地方に来たなぁ」という感慨を持てるので、私は好きですね。

さらに、「ダイヤモンドクロス」という“鉄分高めな”要素もあります。ダイヤモンドクロスとは、鉄道のレールがクロスしている特殊なポイントのことを指すんですが、古町(こまち)駅にあるそれは普通の電車と路面電車がクロスしているとっても珍しいものなんです。

もし同時に車両が来たら、路面電車が停車して待つことになるんですが、まるで歩行者のように行儀正しく電車が通り過ぎるのを待つ姿は、なんだかかわいいです(笑)。

そんな伊予鉄道のほかにも、四国は通好みの鉄道スポットが多いんですが……いかんせん交通の便が悪い(苦笑)。全国のJR各社のなかで、新幹線が通っていないのもJR四国だけ。

ちなみに、鉄道の“鉄”という字は、「金を失う」と書くので、多くの鉄道会社は右の部分を矢にした字を当てたりするんですが、JR四国は普通の漢字を使っています。だから、何かにつけJR四国はお金がないのだ……という都市伝説もあるくらいです。

LRTって観光の足としてとっても便利なんです

さて、もうひとつのオススメ路面電車は、富山市の「富山港線」。この路線は、富山ライトレールという会社によって2006年に生まれ変わった路線です。どう変わったのかというと、全車両が「LRT(Light Rail Transit)」と呼ばれる次世代型路面電車に置き換えられたんです。

このLRTはすごく優れモノで、車体が小さくレールの敷設が簡単な上に、車両自体が安いので低コストで導入可能。しかも、低床設計なのでバリアフリーなんですよ。

ヨーロッパではLRTが当たり前になっていて、私も旅行のときはよくお世話になります。日本ではなかなか導入が進まないんですが、今こそ、もっとLRTを走らせるべきだと思うんですよね。

というのも、今、日本では観光資源をどうやって生かすかということが課題になっていますが、LRTって観光の足としてとっても便利なんです。まず、市街地をちょこちょこ走るので手軽に観光スポットを回れる。しかも、路面電車はスピードが遅いですから、景色を楽しみながら移動するのにぴったり。

特に、都心にLRTが導入されればすごく便利だと思います。かつて東京を走っていた路面電車はほとんど廃線になり、代わって地下鉄が網の目のように発達しましたが……どの駅もビックリするくらい地中深くにあって、不便じゃないですか? 高齢化社会を見据えた上でも、LRTの導入に期待しています。

●市川紗椰(いちかわ・さや) 1987年2月14日生まれ。アメリカ人と日本人のハーフで、4歳から14歳までアメリカで育つ。現在、モデルとして活動するほか、報道情報番組『ユアタイム』(フジテレビ)でメインMCを務める。富山駅では、新幹線の駅に路面電車が乗り入れする世にもまれな光景も見られる