有名人の不倫とボトックスは日常風景だとそろそろ気づいてもいいはず

女優の斉藤由貴は医師と、山尾志桜里議員は弁護士との不倫疑惑が立て続けに週刊誌で報じられ、双方会見を開く事態に。危ないとわかっていて、人はどうして道ならぬ行為に及んでしまうのかーー。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に独自の視点で斬り込む! 今回から『小島慶子 気になるカノジョ』としてお届けします!

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寂聴さんはおっしゃいました。「恋は雷に打たれるようなもの。避けられない宿命なのです」。

しかし俗世はそんな悟りからは程遠く、秘密がバレた者には容赦しません。その秘密がまた、パンツをかぶった写真だったりするので余計に盛り上がるのです。それにしても、世界中でセレブの写真が流出し、不倫ゴシップが大繁盛のご時世に、なぜあんな写真を保存していたのか。

有名人のみんな、もうセンテンススプリングを忘れたのか? LINEでもなんでも漏れちゃうんだぞ! カメラはどこにでもついてくるんだぞ! なのになぜ相手の家に行く? 週に4回も会う? 絶対バレるよ!

不倫報道に飽きないみんなもみんなです。有名人の不倫とボトックスは日常風景だとそろそろ気づいてもいいはず。でもこれ、“説教エンタメ”なんですよね。「子供がかわいそう」「ファンを裏切った」なんて、親戚でもファンでもないのに言ってみたりして。「いい気味だ!」が本音なのは、バレバレだけど。

小説には道ならぬ恋が美しく描かれていても、現実世界ではゲスの極み。生身はやっぱり罪深いですね、寂聴さん。

小島のひとり言斉藤由貴さん出演の映画『三度目の殺人』を観てきました。とにかく悪者をとっちめてスッキリしたい人には難易度の高い作品です。だからこそ示唆に満ちた、重く豊かな物語でした。

小島慶子(こじま・けいこ)タレント、エッセイスト。テレビ・ラジオ出演や執筆、講演とマルチに活動する、日豪往復生活。近著に『ホライズン』(文藝春秋)『るるらいらい 日豪往復出稼ぎ日記』(講談社)など