『週刊プレイボーイ』本誌で連載中の「ライクの森」――。
人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。
今回は『スター・ウォーズ』好きの彼女が、来月公開となるシリーズ最新作に期待をこめて、前作への思いを語ってくれた。
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今年12月、ついに『スター・ウォーズ』シリーズの最新作、『スター・ウォーズ エピソード8/最後のジェダイ』が公開されます! その前作に当たる『スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒』が一昨年に公開されたときは、その出来のよさにものすごく興奮して、立て続けに劇場で4回観てしまいました(笑)。
このエピソード7が何よりよかったのは、“ちゃんとスター・ウォーズしていた”こと。CGっぽさを抑えたガジェット感や、エピソード4~6を踏まえた小ネタなど、旧作のファンが大満足できる出来になっていました。ただ、先日見返したときに思ったのは、「すごく予算をかけたファンムービーみたいなもので、目新しいものがないな」ということ。
まず、メカのデザインが印象に残らないんですね。基本的に旧作を踏襲しているので、「やっぱ昔のスター・ウォーズはカッコいいな」という感じが強かったです。音楽の使い方も、旧3部作の遺産に頼りすぎているような気がしました。スター・ウォーズといえばこの音、という曲を流して、ファンを「ざわ、ざわ」とさせはするんですが、旧作を見たことがない人には果たしてどう伝わるのかと気になりました。
一番もったいないなと思ったのは、SF要素に目新しさがないこと。エピソード7に出てくるスターキラー基地って、結局、旧作のデス・スターを大きくしただけですよね?
ちなみに、エピソード7と、2019年公開予定のエピソード9でも監督を務めるJ・J・エイブラムスは、『スター・トレック』のリブート版の監督も務めているんですが、そのスター・トレックに出てくるバルカン星が崩壊する仕組みと、スターキラー基地が崩壊する仕組みは、なんだかそっくりです(笑)。敵として登場したカイロ・レンがただの中二病っぽかったのも痛いですね…。
何度も見返していくうちに、どうしても気になるのが…
と、不満点を並べてみたものの、基本的には大好きな作品ではあります。何よりいいのが、新しい主人公として登場したレイ。高貴な生まれながら、貧しい家庭で育てられた女のコです。粗野で男っぽい走り方をするにもかかわらず、よく見るとすごく品がある顔立ち、というところに、彼女の出自がちゃんと示されているのがすごいですよね。
また、何度も見返していくうちに、どうしても気になっちゃうのが、とあるストームトルーパー。フィンという登場人物が敵側から離反したときに、その裏切りに気づいてフィンに向かってくる兵士なんですが…。顔も名前もわからないモブキャラなのに、動きがめっちゃカッコいいんです!(笑)
ひと言、「Traitor(トレーター)(裏切り者)!」と叫び、棒状の武器をくるくるっと回す姿は、まるで琉球古武術のトンファー使い。この棒一本で、ライトセーバーを持ったフィンを圧倒するんです! そんな彼にファンがつけた愛称が「TR-8R(トレーター)」。ネットでこの単語を検索すると、たくさんのMAD動画が出てきます。
こうしたささいなシーンに全力で飛びつくのも、スター・ウォーズシリーズの楽しみ方のひとつ。次のエピソード8ではどう楽しませてくれるのか、期待しています。
●市川紗椰(いちかわ・さや) 1987年2月14日生まれ。アメリカ人と日本人のハーフで、4歳から14歳までアメリカで育つ。現在、モデルとして活動するほか、毎週土曜21時からオンエアのJ-WAVE『TRUME TIME AND TIDE』でナビゲーターを務める。チューイがハン・ソロにジャケットを渡すシーンも地味に好き