ラストアイドルのメンバー(左から)古賀哉子、蒲原令奈、大石夏摘、阿部菜々実、吉崎 綾、安田愛里、鈴木遥夏

オーディション番組の最終進化形『ラストアイドル』とは、秋元康プロデュースにより、12月20日に楽曲『バンドワゴン』でCDデビューする7人組アイドルグループ(※グループ名は番組名と同じ「ラストアイドル」)を、前代未聞のシステムで決める番組。毎週、スタジオにやって来た挑戦者が暫定メンバーひとりを指名し、お互いにライブパフォーマンスを披露。

4人いる審査員のうち、天の声に指名されたたったひとりの独断によるジャッジが行なわれ、挑戦者が勝った場合は暫定メンバーと入れ替わるのだ。

残酷な番組だ。もしもMCを務める伊集院光氏がいなければ、この番組はもっと殺伐としたムードが漂ってしまっていたに違いない。暫定メンバーや挑戦者、審査員や観客たちの心情を汲くみ取りフォローする伊集院氏の言葉が、場を和ませるとともに、絶望の中に隠れている希望を浮上させるのだ。伊集院氏は語る。

「『ラストアイドル』のMCを引き受けた理由は『秋元康の仕掛けを直(じか)に見てみたい』という邪(よこしま)な気持ちが大きかったです。開始前は『審査員のひとりくらいがよかったなあ』とか思ったりもしたんですが、すぐに『ああ、審査員じゃなくてよかった!』と胸をなで下ろしました。

実は、情が移らないように、中立でいられるようにと、メンバーたちとは努めて接触しないようにしていて、ほとんど言葉を交わすこともないのですが、年のせいか収録中にウルッときたりもします。スタジオ内は青春のにおいしかしません」

第15回(11月18日放送)までの収録が終了したタイミングで、暫定メンバーに直撃インタビューを敢行した。

立ち位置2番の吉崎綾と立ち位置4番の安田愛里が語る

■戦うことで成長した初期メンバーのふたり

真っ先に話を聞かなければいけないのは、応募総数4932人から選ばれた初期メンバー7人のうち、今も生き残っているふたりだろう。ふたりはこの番組の残酷なシステムを誰よりも長く体験し、たくさんの別れと出会いを見つめ続けてきた。

まずは立ち位置2番、吉崎綾(21歳)。最年長メンバーとしてグループ全体を支える存在だ。「福岡の奇跡」としてグラビアでも活動。

「昔の小泉今日子さんのように、アイドルをしながら演技のお仕事もする、という人になりたかったんです。この番組って、普通ではないじゃないですか(笑)。ここで勝ち抜けたら、今の普通のアイドルとは違う道が開けるんじゃないかと思って、オーディションに応募しました。

最初の7人に選ばれたとき、喜びは一瞬でしたね。速攻で戦いがあって、初期メンバーのひとりが2回戦で入れ替わりになって…。悲しみにも少しだけ慣れてきたかなって頃に、自分だけ挑戦者に指名されていないことがプレッシャーになってきたんですよ。そばで見ているからよくわかるんですけど、一度でも戦って勝つと目に自信が出てくるし、みんなのキラキラが増えていくんです。自分も戦って勝ち残りたいし、成長したい。

12人目の挑戦者に初めて指名してもらって、その後でもうひとりとも戦うことができたのは、自分自身の成長のためにも本当によかったなと思っています。負けなかったから言えることなんですけどね(笑)」

もうひとりの初期メンバーは、立ち位置4番、安田愛里(18歳)。クールビューティな見た目とは裏腹に、しゃべりだすとふにゃふにゃの天然キャラ。そのマイクパフォーマンスは、「最強」の呼び声が高い。

「ただただ語彙(ごい)力がないだけの、ド素人のつまらない人間です…。中学2年でスカウトをしていただいて、私はアイドルをやりたいって言ったんですけど、事務所の方からあなたには難しいと思うよって言われたんですね。顔的にアイドルじゃないって自覚もあったし、筋肉質だし、主に女優でやっていくことになって。

でも『ラストアイドル』のオーディションを知ったとき、こんな私でもここならアイドルになれるんじゃないかなと思ったんです。今はもう初期メンバーが(吉崎)綾ちゃんと私と、伊集院さんだけになってしまいました(編集部註・伊集院光さんは番組MCです!)。

メンバーの入れ替わりがあると私はすごい泣いちゃうんですけど、誰も入れ替わらないまま戦いが続くと、すっごい仲が深まるんですよ。その分、入れ替わったときがものすごくつらいんです。もう誰とも仲良くならないほうがいいのかなって悩んだ時期もあって…。

でも、いなくなったコたちの思いも全部、私が背負って表現すればいいんですよね。自分の気持ちだけじゃなくて、今まで出会ってきたみんなのためにも絶対に最後まで残ります!」

◆『週刊プレイボーイ』50号(11月27日発売)では、グラビアインタビュー計12ページでラストアイドルを大フィーチャー。そちらもお読みください!

(取材・文/吉田大助 撮影/細居幸次郎)