新宿歌舞伎町の「週プレ酒場」で1日ホストを務めたAV男優。・森林原人氏。独自の哲学をわかりやすく解説してくれた!

一部コンビニが成人向け雑誌の販売を中止するなど、エロへの風当たりが強い昨今。しかしそんな逆風をものともせず、己のポリシーを貫く男が存在する。出演本数1万本超えの人気AV男優・森林原人氏もそのひとりだ。

"偏差値78のAV男優"との異名を持つ同氏の活動はAV界にとどまらず、『週刊プレイボーイ』コラム連載をはじめとする文筆業から、"性を楽しむ"ためのオンラインサロン「森林公園」主催まで多岐にわたる。

そんな森林氏が今回、週プレ酒BARの1日ホストに就任! 独自のプレイボーイ哲学、そしてエロを取り巻く現代社会の問題点を『週プレNEWS』だけに余すことなく語ってくれた!

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―「週プレ酒BAR」での日替わりママ役、お疲れさまでした。ご来店いただいたお客さま、皆さん大満足で帰られましたよ。

森林 喜んでもらえて僕も嬉しいです。僕のことを褒(ほ)めてくれる人や、会いたがってくれる人と直に会える機会なんてあまりないので。

―ご謙遜を! AV男優以外にも文筆業などマルチにご活躍されていますし、さぞかしおモテになるのでは?

森林 モテないですよ! AV男優としての知名度があるからいろんな人が声をかけてくれますが、要はパンダみたいなものだから。動物園のパンダは人気者だけど、モテてるわけじゃなく物珍しいだけでしょ。僕の場合はシャンシャンじゃなくてチ◯チンだけど! そもそも、そんなにモテたいですか?

―モテたいです!

森林 それがダメ。かつての僕もそうでしたが、みんな勘違いしてるの。まず目指すべきなのは「モテる」じゃなくて「嫌われない」こと。僕は"3F"って呼んでるんたけど、「不潔じゃない」「不自然じゃない」「不満を言わない」の3点をクリアして、女性から嫌われなくなること。それがスタートライン。

「なんだ、そんなことか」って思うかもしれないけど、3Fができてない男性はすごく多い。この3つを心がけるだけで、全男性の中で上位半数には入れるんですよ。身の丈(たけ)に合わないモテ術を身につけようとせず、いかに自分をわきまえるかのほうが重要。

森林原人氏「女性は男の歯と手を見てるよ」

―たったそれだけで上位集団に入れるんですね! では、3Fをマスターした後は早速、女性にアプローチを...。

森林 まだまだまだ。そうやって前のめりに結果を欲しがり過ぎない。っていうか、もう"3F"のふたつ目「不自然じゃない」ができてない。「嫌われない」というスタートラインに立った後に大切なのは、「ありのままの自分をさらけ出す」こと。これが第一歩。

―ありのまま? チ◯チンを出す、ということですか?

森林 まだチ◯チンはしまって(笑)。ここでいう「ありのまま」っていうのは「ウソをつかない」ってこと。例えば、僕がしたセックス講座の授業の中で、異性と話す練習をした時なんだけど、その受講者の中に中年童貞の地味目な男性がいて「自転車が趣味です」って言うの。

僕は「ピストバイクやロードバイクのような、カッコいい趣味の話をするのかな」って思ったら、そのおじさん「ママチャリで町内をサイクリングしています」って続けたんだよ。「ピスト乗ってます!」って話を盛ってもバレやしないのに、こういう正直な人っていいよねってこと。そういう実直さにホレる女性もいるだろうし、第一、無理してカッコつけてもボロが出るだけだから。

「性癖」は隠さず言っちゃおう

―しかし、趣味の話で異性と間を持たせる自信がありません。

森林 じゃあ、最初のうちは聞き上手に徹すればいい。興味ないジャンルでもオチがなくてもリアクション取って話させればいいよ。こっちが質問してキッカケ作らなくても話し出したら距離が縮まったってこと。

それからお酒飲んで、ちょっとエッチな話もできる関係になったら「性癖」は隠さず言っちゃおう。「僕は舐(な)めるだけでも幸せなんだ」って告白しておけば、自然と「舐められるのが大好きな女性」と結ばれるよ。性癖で惹(ひ)かれ合うのもアリだから。付き合ったらそのうちセックスするんだし、序盤で性の趣味嗜好(しこう)を確かめておいたほうが効率的でしょ。

―特殊な性癖でも正直に話していいのでしょうか? 例えば◯◯を××しないと興奮しない、とか。

森林 もちろん怖がらずに話したほうがいい。一致する女性は少数かもしれないけど、ウソをついて万が一100人にモテたところで持て余すに決まってるんだから。それなら深く愛し合える相手をひとり見つけたほうがいい。さらけ出し合えなきゃ愛にはたどり着けない。

―しかし性癖を告白するというのは、自分の内面を見られるようで恐怖感もあります。

森林 現代は情報社会だから「こういうことを言うと女性にこう思われる」「こんな行動はNG」っていろんな情報が入ってきちゃう。そうなると一歩踏み出すのに怖気(おじけ)づいちゃうし、若い男性が恋愛から逃げてゲームやSNSに没頭しちゃうのもわかる。誰だって傷つきたくないんだから。

確かに「自分をさらけ出す」と、結果的に傷つくことだってたくさんある。でも勇気を出して傷つかないとわからないことは無数にあるし、挫折することで人は自分と向き合える。それが成長の始まり。弱い部分こそどんどん出していくべきだよ。

―「弱い部分」とはコンプレックスのことでしょうか? それもまた自分から告白するのは勇気が必要そうですが。

森林 コンプレックスは人としての"バネ"。恥ずかしがって隠すと卑屈になっちゃうし、むしろコンプレックスが多い人ほど伸びしろがあるとも言える。僕だって容姿とか学歴とか、たくさんのコンプレックスがある。女優さんからNG食らって落ち込むことも少なくない。でもAV男優は「全てをさらけ出して多くの人に評価される仕事」だから、弱い部分、ダメな箇所を指摘されて傷つけば傷つくほど成長できる職業なんだよね。

特に週プレ読者なんてまだまだ若いんだから、自らガンガン傷ついていったほうがいい。若い時ほど周りが助けてくれるし、今さら"昭和のプレイボーイ"を目指して「武士は食わねど高楊枝」じゃないんだから、無理して背伸びしたりやせ我慢せずに自然体でいることが何よりも大切なんだよ。不自然はダメ。

「娯楽としてのエロ」はフィクション

―なるほど。では、森林さんの考える"現代のプレイボーイ"とはどういったものでしょう?

森林 "プレイボーイ"とは、コンプレックスを正直にさらけ出すことができて、傷つくことを怖れず自分と向き合える、"ありのまま"な男。酒を飲めなくてもいい、タバコを吸えなくてもいい、ケンカが強くなくてもいい、100人にモテなくたっていいの。

―一部コンビニがエロ本の販売中止を決定するなど、東京五輪開催を見据え「エロ規制」の流れもここ最近、顕著ですが...。

森林 むやみにエロを隠そうとする風潮には断固反対。必要なのは隠ぺいではなくゾーニング(すみわけ)だと思う。"隠す"ってことは、エロを後ろめたいもの、悪いものにしてるってこと。エロは本来は決して悪いものなんかじゃないし、人間誰しもエロを切り離して生きてはいけない。

切り離すどころか、エロの本質は「つながる」ことで、命と命のつながり、自分と異性のつながり、自分と自分の深い所とのつながりと、誰にとってもなんらかの形で欠かせないもの。いろんな"つながり"がエロには含まれてる。連綿(れんめん)と命がつながり合った結果、今、僕たちがこうしてここで出会ってる。エロって、悪いものどころか本来素晴らしいもののはずなの。

とはいえ、エロ本やAVは、性を過度に"娯楽"にしていたり、性暴力を商品化してる場合もあるから白い目で見られるけど、肉体的快感や心の交流っていうのもエロの重要な一端(いったん)なんだから、頭ごなしに隠して悪いものと思い込ませないでほしい。

取材した記者より「肌がとにかくきれい。特に手のひらのきめ細かさには驚愕した」とのこと

―エロを娯楽として楽しめるのも、人間としての特権ですよね。

森林 その通り。でも「娯楽」として楽しむためには、エロ本に描かれていることがエンターテインメントやファンタジーなんだって理解していないとダメ。今、日本の性教育って、性行為そのものがどのように行なわれるか教えていないでしょ? 受精の過程に踏み込んじゃいけないってなってる。コンドームの使い方も教わらないけど、ファンタジーセックスの情報は溢(あふ)れていて、それを鵜呑(うの)みにしたまま若いうちからセックスしてるんだから、望まない妊娠が減らないのも当然だよ。

学校教育で「正しい性(エロ)」を教えないから、エロ本やAVが「エンタメとしてのエロ」ということに気がつかない若者が増えている。だから女のコに顔射するのが当たり前だと思っちゃう男が出てくる。性教育で正しいエロ、相手と向き合い心で繋がることを学んでいれば、エロ本やAVがエンタメって理解できるはず。

「娯楽としてのエロ」をフィクションだってきちんとわかっていれば、エロ本なんて撤去しなくても大丈夫だよ。人と話をする時は相手の目を見なさいって教える時に、セックスする時も目を見てしろって言ってほしいですね。

(取材・文/結城紫雄 撮影/武田敏将)

森林原人もりばやし・げんじん) チン長は17.5cm。AV男優のユニット「ゴシップボーイズ」のメンバー。1日一食生活の副作用(!?)で、AV界で最も連射ができる絶倫体質に。秘技は「森のさえずり」。10年かけて開発したアナルを駆使し、リバーシブル男優としても活躍! "性を楽しむ"ためのオンラインサロン「森林公園」も主催!詳細は、ツイッター【@AVmoribayashi】まで!