各界のバイク女子に突撃インタビューするシリーズ企画。第5弾はフリーアナウンサー、阿部哲子(あきこ)さんの登場です。
2001年に日本テレビ入社後、アナウンサーとして活躍。ある番組の取材班に入ったことでバイクと運命的な出会いを果たしたのだとか。
現在はフリーアナウンサーとして、そして一児の母として忙しい日々を過ごす阿部さんの"バイク愛"とは?
―バイクに乗るようになったきっかけは?
阿部 日本テレビ入社1年目にMotoGP(世界最高峰のオートバイレース)の実況班に入ったんです。日本GPの取材のために栃木県のツインリンクもてぎや鈴鹿サーキットに行きました。とはいえ、まだ新人なので、まずは現場についていくという感じですね。
でも自分はバイクに乗らないし、知識もありません。それじゃ取材になりませんよね。どうやったらバイクのことがわかるのかと考えたら、乗ってみるしかないと。それで教習所に通い始めたんです。
―仕事をしながらの教習所通いですか。大変でしたね!
阿部 当時、朝4時半からのレギュラー番組を担当していました。だから毎日深夜1時起きで局に行って、オンエアが朝6時まで。帰宅するのが10時頃。そこから教習所に通うんです。
―ご両親は心配したのでは?
阿部 大反対でした(笑)。やっぱり危ないからって。だから教習所通いは内緒。ヘルメットを隠したりして、結構大変だったんですよ。
―すでにTVに出ていたわけですよね。役得とかありました?
阿部 教習の予約については、融通して入れてくれていたかもしれません。だからスムーズに取れたほうじゃないですかね。2ヵ月かからなかったと思います。
―それは早い! 僕は半年かかりましたからね。免許を取るのはそれが初めてだったんですか?
阿部 いえ。実は3回目(笑)。大学時代にまず原付を取って、それから自動車免許、3回目が普通自動二輪です。
―ちょっと無駄な取り方ですね(苦笑)。今どき、まず原付の免許を取るなんて、田舎のヤンキーでもいないかも?
阿部 確かに(笑)。自分の周りの女子大生でも原付免許だけ取った人はいませんでしたね。でも、必要だったんですよ。母校(横浜国大)は丘の上にあって、歩いていくのが大変。だから男子はバイク率が高かったですね。
一刻も早く乗りたかったから…
―原付からスタートということは、心の中にバイクへの思いがくすぶっていたのかも?
阿部 好きだったんでしょうね。それがMotoGP(担当番組)をきっかけにスパークしちゃったのかもしれません。
―晴れて免許が取れて、いよいよバイク選び。何を選んだんでしょう?
阿部 ホンダのシャドウスラッシャーという、400CCのアメリカンです。本当はブラックが欲しかったんですが、ディーラーにブルーメタリックしかなくて。悩んだんですけど一刻も早く乗りたかったから、それにしちゃいました。
―きっかけはMotoGPでも、愛車選びの好みは違ったんですね。
阿部 私がサーキットを走るわけじゃないですからね。自分で乗るならアメリカンがいいなと。単純に好みの問題です。
―反対されていたご両親の反応は?
阿部 私の性格を知っていますから諦めたみたいです。面白かったのは、私のバイクを見て父が「俺も乗ろうかな」と。さすがに母が激怒。何を便乗しているんだと(笑)。残念ながら父とのツーリングのチャンスはなくなりました。
―初めて愛車と対面した時の印象は?
阿部 とにかく重いな、と。教習所のバイクは起こせたんですが、(シャドウスラッシャーは)ガソリンを満タンにすると起こせないんですよ。正直、どうしようかと思いました。
―でもアメリカンは足つきがいいし、走り出せば気持ちよかったのでは?
阿部 そうなんですね。クルマよりバイクがいいですね。元々、私って不注意な性格なんです(笑)。だから自分で車を運転するのが怖い。何がって、事故ですよ! クルマだと人を乗せて走ることもあり得るわけで、そんな時に万一のことがあったら大変じゃないですか。それに比べるとバイクはひとりで乗るし、何かあっても自分だけで済む可能性が高いかなと。
「むしゃくしゃして走らせたんです」
―いやいや、バイクでも事故はなしですよ。
阿部 もちろん、そうなんですけどね。他人を巻き込む事故だけはしたくないので。
―やられちゃうのもダメでしょ!(苦笑) それでは仲間とツーリングというより、ひとりで走ってたんですか?
阿部 そうですね。地元が千葉の浦安なんです。だから東京ディズニーランド周辺とかサンゴーナナ(国道357号線)とかをよく走っていました。ディズニーランド周辺は道路が広くて気持ちいいんですよ。
―上司に怒られて、バイクでひたすら走ったり?
阿部 盗んでないバイクでね(笑)。そんなこともありました。怒られたというんじゃなく、自分が不甲斐なくて。怒られなくても未熟さってわかるじゃないですか。そんな自分に対してむしゃくしゃしてバイクを走らせたんです。
乗るとやっぱり気持ちいいし、ひとりの世界に入れるし。バイクにはよく私の気分転換に付き合ってもらいましたよ。
●この後編は明日配信予定。今だから話せる、彼氏とふたり乗りで行った思い出の○○、そして今、乗りたいバイクは…!
(取材・文/長嶋浩巳 撮影/松井秀樹)
■阿部哲子(あべ・あきこ) 1978年11月4日生まれ、千葉県出身。2001年日本テレビ入社。2007年、結婚により同社退社。2009年にフリーアナウンサーとして復帰。最新情報はオフィシャルブログ「イヌ派のネコ舌」https://ameblo.jp/akikoabe1104/