現在放送中のTBS火曜ドラマ『きみが心に棲みついた』(火曜22:00~)で、自己評価が低く人前ですぐ挙動不審になってしまうことから“キョドコ”と呼ばれる会社員を演じているのが、話題の吉岡里帆だ。
そこで、『アルジャーノンに花束を』『家族ノカタチ』『あなたのことはそれほど』(すべてTBS系)など、過去にも多くの人気ドラマを手掛けた同番組のプロデューサー・佐藤敦司氏が語る、「女優・吉岡里帆」の根幹にあるものとは――。
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『きみが心に棲みついた』のキョドコは、元は女性漫画のキャラクター。吉岡さんは、嬉しさ、悲しさ、苦しみ……漫画のようにいろいろな表情を出せて、見ていると応援したくなる――それがキョドコを彷彿(ほうふつ)させたので、彼女にお願いしました。
第1話で合コンのシーンがあったんですけど、そこはキョドコの不安定なキャラクターが最初に出てくる大事なところなんです。心の中では言いたいことがあるんだけど、自分の言葉でうまく伝えられない。そんなもどかしさが挙動不審な演技の中に絶妙に出ていて、お願いしてよかったなと思いました。それとちょっとコミカルな雰囲気があるのもいい。そこも原作の雰囲気と合っていますよね。
彼女の魅力は、やっぱり感情がストレートに現れるところ。TVドラマってフィクションですけど、本当にキョドコなんじゃないかってくらいご自身が役に入り込んでいる。まるで吉岡さん自身も過去に何かあったのかなって思わせるようなお芝居で、この先、どんなキョドコを見せてくれるのか楽しみです。
現場では、とにかく作品への熱量がすごいですね。原作や台本について、少しでもいいから情報をくださいって事前に言ってきたんです。下調べをする人はいるけど、わざわざ聞いてくるのは珍しい。私以外にも監督や、衣装とかメイクとか専門のスタッフにもいろいろ話を聞いていたみたい。
あと、年上の役者さんにも積極的に話しかけてコミュニケーションをとっているし、番宣では自分から進んでタレントさんと絡(から)む。きっと作品全体を大事に思っているんでしょうね。自分だけ頑張ればいいんじゃない、みんなで作るという意識が非常に高い人なんだと思います。
●吉岡里帆さんの『きみが心に棲みついた』密着取材は週刊プレイボーイ7号に掲載!
(取材・文/大野智己 撮影/本田雄士)
■佐藤敦司 SATO ATSUSHI 1977年生まれ。株式会社ドリマックス・テレビジョン所属。プロデューサー。担当した作品に『アルジャーノンに花束を』(2015年)『家族ノカタチ』(2016年)『あなたのことはそれほど』(2017年)など