コペンには、無理やりヘミエンジンとか積むのを見てみたいです

『週刊プレイボーイ』本誌で連載中の「ライクの森」――。

人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。

前回、アメリカの車改造番組の“刺激的な”魅力を教えてくれた彼女。今回はさらにイギリスや日本の車改造番組についても語る。

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先週に引き続き、私が今、どハマリしている「車改造番組」について語ります!

『アメ車工房 最強タッグの大作戦』の主な登場人物は、ピットブルとリープというふたり。特に注目すべきは、バングラデシュ人のリープです。彼は、とにかく車のそこかしこを電動のこぎりで切っちゃうんですよ。しかもフリーハンドで(笑)。それでバンパーやライトだけ別の車のものにつけ替えたり、2台の車のボンネットを無理やりつなぎ合わせてハンマーで板金したりするんです。

まるでフランケンシュタインのようにつぎはぎだらけの車が、だんだん形になっていくのを見ると、車というものに関する概念を揺さぶられますね。まあ、日本だと到底、車検に通らないと思いますが(笑)。

これらアメリカの車改造番組のカスタムショップの人々に共通しているのは、とにかくデカいエンジンが好きだということ。例えば、ポルシェの中にシボレーのV8エンジンを積んで、「これでパワフルになったぜ!」とか言ってるんです。彼らは基本的にアメ車至上主義なので、日本車なんかの評価は低いです。「こだわりがないならホンダのシビックでも乗ってれば?」「ワハハ!」なんていうふうに、ジョークのネタにされることもしょっちゅう。

こうしたアメリカの車改造番組とはちょっと感性が違うのが、イギリスの『名車再生!クラシックカー・ディーラーズ』。2003年から放送されている長寿番組で、年末になると拡大版が放送されたりするほどの人気があります。アメリカのリアリティ番組は、カスタムショップの人々の人間模様やトラブルにフォーカスしがちですが、この『…ディーラーズ』は、リストア作業を丁寧に追った、結構まじめな番組ですね。

ただ、気になるのがお金の問題。工房の人たちは、「今回は◯ポンドでリストアできた!」とか喜んでいるんですが、その金額には材料費や外注費しか含まれていません。よくよく考えると、メカニックの人は実質的にタダ働きなんです(笑)。番組を見終えるときには、「これでよかったのか!?」といつもモヤモヤした気分にさせられます。

グラドルが水着で洗車する日本の車改造番組

CS放送では、ほかにもいくつか海外の車改造番組が放送されていますが、日本の番組もあるにはあります。ただし、リストアの過程を楽しむ海外の番組とはちょっと違って、すでに改造が施された車をオーナーが自慢するというような内容。

登場するのはだいたい地面ベッタベタに車体を低くしたヤンキーチックな車で、それを見て芸人さんやグラビアアイドルが楽しく騒ぐ、というバラエティ番組的な構成です。途中、グラビアアイドルの方が水着で洗車したりと……それはそれで嫌いではないですけどね。車関係ないけど。

やはり、私が好きなのは、往年の名車やおんぼろ車を、高度なリストア技術とトンデモなセンスによって見事に生まれ変わらせる、海外の車改造番組。一度でいいから軽トラックを渡して、彼らがどんな魔改造を施すのか見てみたいですね。とりあえず、後ろの荷台スペースを使って、でっかいエンジンを積んじゃうとは思うんですけど(笑)。

●市川紗椰(いちかわ・さや)1987年2月14日生まれ。アメリカ人と日本人のハーフで、4歳から14歳までアメリカで育つ。現在、モデルとして活動するほか、毎週土曜21時からオンエア中のJ-WAVE『TRUME TIME AND TIDE』でナビゲーターを務めている。『ミスフィット・ガレージ』の外装のセンスには、南部のにおいを感じる