『週刊プレイボーイ』本誌で連載中の「ライクの森」――。
人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。
今回はアニメオタクの彼女が、“今からでも間に合う”オススメの冬アニメについて教えてくれた。
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今回は久々にアニメの話をしたいと思います! テーマは「今からでも間に合う冬アニメ」。新作だけで50本以上のアニメがスタートした今期。個人的にオススメの作品をご紹介します。
まずは、『新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION』。謎のテクノロジーを持つ巨大怪物体から日本を守るため、日本の技術の粋を集めた新幹線がロボットに変形する! …と説明すると、「子供向けアニメか」とバカにされそうなんですが(笑)、このアニメ、すごく見応えがあるんですよ。
劇中、E5系に乗り込んで敵と戦うのは、大宮在住の鉄道好き男子小学生。その彼をサポートするのが、シンカリオンを作った研究所の幹部であるお父さんです。ロボットもので親子一緒に戦うアニメって、古くは『無敵超人ザンボット3』などの例もありますが、実はかなり珍しいはず。
しかも、お父さんが常に息子のことを心配していて、親子の絆を感じさせるんですよ。いうなれば、子供思いの碇ゲンドウと元気な鉄オタの碇シンジ、みたいな関係です(笑)。朝の子供向けアニメですが、ストーリーはしっかりしているので、鉄道好きじゃない人も見てみてください。
そして、青年向け王道ロボットアニメが『ダーリン・イン・ザ・フランキス』。『グレンガラン』のスタッフをはじめ、『フリクリ』や『アイマス』の錦織(にしごり)敦史さんが監督、『あの花』の田中将賀(まさよし)さんがキャラデザを務めるなど、スター級のスタッフが勢ぞろい。なんといっても、トリガーとA-1 Picturesという人気スタジオが制作する、間違いなさすぎなオリジナルアニメです!
ちなみに、ロボットものって「なんか見たことある」っていう要素を排除するのが難しいジャンルだと思うんですけど、このアニメはいい意味でほかの作品のいいとこどりをしています。ただ、男女ペアでロボットを動かすときの態勢がちょっとあざといんですが……。今後、鬱(うつ)展開がくるのをなんとなく感じますが、2クールの最後まで見たいと思います。
今期最大のダークホース『博多豚骨ラーメンズ』
さて、今期のアニメの中でも不当に存在感が薄いと私が思っているのが、『三ツ星カラーズ』。上野に住む小学生女子3人と街の人々の交流を描く、日常系幼女アニメです(笑)。ただ、ほのぼのっていえるような内容でもなくて、ギャグはエッジが効いているし会話のテンポもかなりいいんです。原作も大好きな作品なので、もっとアニメファンに評価してもらいたい!
最後は、今期最大のダークホース『博多豚骨ラーメンズ』。タイトルと豪華男性声優のラインナップを見ると、思わず腐女子向けのグルメアニメかと思ってしまいますが…。この作品の中の博多は、人口の3%が殺し屋という恐ろしい街。
ほかにも復讐(ふくしゅう)屋、拷問(ごうもん)師、殺し屋殺しなどがいて、街中でしのぎを削っています。現実の街を舞台にありえないことが起こったり、登場人物がやたら多いところは『デュラララ!!』を彷彿(ほうふつ)させますが、こっちの作品ではやたら人が死にます(笑)。すごいハードボイルド。
今期のミステリーアニメといえば『刻刻』ですが、こちらもぜひチェックしてみてください。
●市川紗椰(いちかわ・さや) 1987年2月14日生まれ。アメリカ人と日本人のハーフで、4歳から14歳までアメリカで育つ。現在、モデルとして活動するほか、毎週土曜21時からオンエア中のJ-WAVE『TRUME TIME AND TIDE』でナビゲーターを務めている。声優好きとしては『ポプテピピック』も楽しく見ている