『週刊プレイボーイ』本誌で連載中の「ライクの森」――。
人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。鉄道とガンダムが好きな彼女。今回は、その両方が楽しめるイベントについて語ってくれた。
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鉄道とガンダム、どちらも好きという方って、意外と多いですよね。“メカ感”が共通しているからでしょうか。私もその兼オタのひとりですが、今年の1月から2月にかけて、面白いイベントが行なわれていました。
その名も、「JR東日本 機動戦士ガンダムスタンプラリー 行きまーす!」。脳内で古谷徹さんの声が聞こえてきそうなタイトルですが(笑)、これ、山手線エリアを中心とした65駅にガンダムのモビルスーツ、キャラクターを配置したスタンプラリー企画なんです。
前にこのコラムでお台場のガンダム立像について語った際、「その土地土地にゆかりのあるモビルスーツ像を全国に!」とお話ししたことがありますが、このスタンプラリーも似た発想なんです。
例えば、王子駅に配置されたのはガルマ・ザビ。確かに、お坊ちゃんキャラのガルマは、ザビ家の男子の中でも王子感がありますよね(笑)。また、私の中でマッドシティ=松戸とゾックという組み合わせには、ゾックゾクします。一番しっくりきているのは、品川駅のシャアです。品川って、“赤”がシンボルカラーの京急の駅があるんですよ。しかも、京急の電車は運行スピードが速いといわれています。まさに“赤い彗星(すいせい)”ではないですか……!
そんな各駅のキャラ配置が発表されたとき、私のガンダム仲間の間で真っ先に話題になったのは東京駅でした。日本の中心ともいえるこの駅に配されたのは、なぜかコックのタムラ料理長。まさかとは思ったんですが……後に、東京駅内外の飲食店でガンダムとのコラボメニューが発売されました(笑)。
そんなガンダム愛と大人の事情がない交ぜになったこの企画。面白いのは、いろんな駅がキャラクター配置について声を上げているんですよ。
全駅を回るともらえるオリジナルガンプラ
例えば、市ケ谷駅は「各駅の希望をもとに決めているはずなのに、まったく希望していなかったアッザムがきた」というコメントを掲示していました(笑)。また、あの渋谷駅に置かれたのは劇中で1話しか登場していないザクレロという試作型モビルアーマー。
これに対する抗議の意味を込めたのか、渋谷駅は渋谷駅で、新南口というすごーく遠い出口にスタンプ台を置きました。「ザクレロではハチ公口に置かないぞ」という強い意志を感じましたね(笑)。いい悪いはさておき、駅員たちが盛り上がっていることが伝わってきました。
さて、参加駅には羽田など微妙に行くのが面倒な駅も含まれているんですが、厄介さで一、二を争うのが西荻窪。参加駅の中で最も西側にある上、休日は総武線しか止まらないのですが、ここに置かれたのがワッケイン……。もっとラスボスっぽいキャラだったら行く気も出たんですが。
私は半分ほど回ったものの、さすがに65駅制覇はなりませんでした。が、全駅を回るともらえるオリジナルガンプラには心惹(ひ)かれましたね。なんと山手線をイメージしていて、緑色に彩色すると山手線E235系っぽくなるというんです。
その完成図を見ると……かつて国鉄時代に生まれた“元祖ゆるキャラ”、「シャダーン」の緑色バージョンにしか見えないというところがまたツボでした(笑)。
●市川紗椰(いちかわ・さや) 1987年2月14日生まれ。アメリカ人と日本人のハーフで、4歳から14歳までアメリカで育つ。現在、モデルとして活動するほか、毎週土曜21時からオンエア中のJ-WAVE『TRUME TIME AND TIDE』でナビゲーターを務めている。ほぼ食事制限と怪しいエステだけで8kg痩せたのはいいが、友人が紹介してくれたパーソナルトレーナーを断るのが気が重い