(左から)峯田和伸、末井昭、村井守が「青春」と「親友」を語る!

『写真時代』『NEW self』など、数々の雑誌を世に送り出した“伝説の編集者”末井昭の自伝的エッセイを映画化した『素敵なダイナマイトスキャンダル』が3月17日から公開された。

本作で主人公・末井昭の親友・近松を演じた銀杏BOYZの峯田和伸が、元バンド仲間であり、親友でもある村井守とともに登場! 原作者の末井昭と人生のあれこれを語り合う!

■末井昭は銀杏BOYZの追っかけをしていた!?

―末井さん、峯田さんの対談の予定でしたが、まさかまさか…元・銀杏BOYZのドラマー村井守さんにもお越しいただきました。

峯田 すいません、なんか急にこの人が。

村井 いや、ちょっと待ってくれよ。この間、一緒に飲んだときに「今度、末井さんと対談するんだ」って聞いて、「マジか。いいなあ」って話をしたんですよ。そしたら峯田が「村井君も来る?」って言うから。

峯田 本当に来るとは思わなかったよ。バンドも辞めてるのに。

村井 いや、ちょっと待て。来るわ、そりゃ。

―(笑)。村井さんは2014年1月に銀杏BOYZを脱退されましたが、現在はどのようなお仕事をされてるんですか?

村井 テレビの仕事をしてるんです、今。テレビ東京の『チマタの噺』のキャスティングを担当してまして。

末井 峯田君と村井君と3人でこうしてしゃべるのっていつぶり? すごく久しぶりだよね。

―お三方はどのようなご関係なんでしょうか?

末井 特別な関係ではないですよ。やらしい関係とかじゃなく。

―やらしい関係(笑)。

末井 銀杏BOYZのファンだったんですよ、僕が。05年1月の渋谷公会堂でのライブを見たのが最初だったかな。ゴイステ(GOING STEADY)から銀杏に変わったばかりのタイミングで見に行って。もうハマりましたね、一発で。

村井 その1週間後ぐらいに中野の中華料理屋でお会いしたんですよ。そのときに『素敵なダイナマイトスキャンダル』の本を持ってってサインいただいて。峯田と「すごい人とご飯食べるねー」っていう話をして。

末井 いや、こっちだってすごい人と会えると思いましたよ。

村井 そっからですよね。05年に僕らが全国ツアーを回ってるところにちょくちょく地方まで遊びに来てくださって。

峯田和伸が“親友”村井守を語る

銀杏BOYZ初の書籍『GING NANG SHOCK!』(上下巻)は末井が発行人。ちなみに“編集長”は村井。カムチャッカにガムを買いに行くだけのページなど、予算オーバーの企画を連発した結果、村井が自費で200万円ほど持ち出したという

末井 僕、ずっと追っかけをしていて。山形に行ったり、安城(あんじょう)に行ったり、奈良に行ったりね。

峯田 歌ってると、目の前に末井さんがいるんですよ。ほんと10代のお客さんにぐっちゃぐちゃにされながら最前列に。

村井 ライブの翌日がオフだったりすると、末井さんとよくコーヒー飲みに行ってましたね。「よかったよ、昨日も」って話を末井さんがしてくれて。

峯田 ほんとは僕もめっちゃ行って話をしたいんですけど、こいつみたいにぐいぐい行けなくて…。だから、村井君のことがすごくうらやましかったです。

末井 村井君はすごく対等に扱ってくれるんですよ。タメっぽく。だからすごく気持ちいいんですよね。友達みたいな感じで。

峯田 ほんと、まるでバンドを辞めた人間とは思えないぐらいの存在感っすよね、今も。

一同 (笑)

村井 話したくてしょうがないんですよ。うれしくなっちゃって。

■峯田和伸が“親友”村井守を語る

―末井さんの自伝的エッセイを映画化した『素敵なダイナマイトスキャンダル』の中で、峯田さんは若き日の末井さんの親友・近松さんを演じられています。末井さんにとって近松さんはどのような存在だったんでしょう?

末井 僕の唯一の親友ですよ。当時はデザイン会社に勤めていて、もちろんそれなりに知り合いもいっぱいいたんですけど、ちゃんと朝まで話したり、ほんとのことを話せる相手は近松さんだけでしたね。

―峯田さんは近松さんを演じられていかがでしたか?

峯田 隣にいますけど、僕、村井君がそういう存在かもしれないです。自分が音楽を始めた頃とか、自信がないわけじゃないですか。でも、最初に「いいね」って言ってくれたのが村井君だったので。

末井 そういう人は大事だよね。

峯田 はい。何やっても、「おもしろいね」って言ってくれるんです。それで自分がやってることを肯定されるのがうれしいんですよね。きっと末井さんにとっても、近松さんってそういう人だったんじゃないのかなって思いながら演じました。

―峯田さんと村井さんのご関係をあらためてお聞きしてもいいですか?

峯田 高校2年、3年と同じクラスで、僕の席の後ろが村井君でした。でも当時、村井君はサッカー部だったし、すごくイケイケのグループにいて「住む世界が違うな」と思ってたんです。でも、高校卒業する間際にお互い東京のほうに行くってわかってから急接近して。

村井君が「デザインの学校行きたい」って話してくれたんですけど、彼にそういう素質があると思わなくてびっくりしましたね。授業と授業の合間に、自分の手を描いた油絵を見せてくれたんですけど、それがすっごくうまくて。

村井 よく覚えてんね。

峯田 そっから、「この人すごい」って尊敬し始めて、お互い上京して友達も少なかったので一緒に遊ぶようになって、いつの間にかバンドを始めてました。

去年、久しぶりに近松さんに会いに行きました

村井 そっからだいぶたって、峯田が06年に『恋と退屈』の出版記念サイン会を山形でやったときにメンバー全員がサプライズで行ったんですよ。で、メンバーからお客さんにプレゼントを渡したんですけど、僕はプレゼントするものがなかったんで、その油絵を持ってったんです。そしたら、峯田が「こんなもんあげるの失礼だ」ってキレて、バキバキに割りました。

一同 (爆笑)

村井 思い出した、それ。膝でバーンって。

峯田 全然覚えてないや…。悪いことしたね(笑)。

―(笑)。劇中では、しばらく疎遠になっていた近松さんから急に手紙が送られてくるというシーンがありました。末井さん、近松さんとは現在でも交流が続いているんですか?

末井 この映画がきっかけで去年、久しぶりに近松さんに会いに行きました。群馬の町営住宅みたいなところでひとり暮らししていて。何十年も会ってないのに、いざ顔を合わせたら、なんか全然違和感なく、「あ、しばらく」って。向こうもそういう感じで。それからよくメールをしたり、手紙を送ったり、なんやかんやしてるんですけど。

峯田 なんかすてきだなあ。

末井 短歌みたいなのをいっぱい作って送ってくれるんですけど、全部寂しいの。しかも西向きなの、その部屋。僕が行ったときも太陽が沈んで空が赤くなってさ、「ああ、これ見てんのか毎日」って思いましたよ。

村井 ちょっと寂しいですね。

末井 山ばっかりだし。カラスが飛んでるのが、また寂しくてね。でも、近松さんが峯田君のことカッコよかったって言ってましたよ。銀杏BOYZを全然知らない人なんだけどね、よろしく言っといてくれって。

峯田 やりがいがありましたね、ああいう熱い人を演じるのは。

末井 会社の連中に向かって、「あんなつまんないやつの話なんか聞いちゃダメだよ!」ってセリフがあったけど、あれを見て「うわあ、銀杏BOYZだなあ」って感激しましたもん、僕。あの一瞬以外はぼそぼそしゃべってるから、逆に際立つんだよ。

村井 あそこよかったですよね。

末井 あの一瞬で十分ですよね。ほんの数秒で、もう言いたいこと全部言ってるしね。

峯田 今回の映画は末井さんの自伝的なストーリーですし、男の友情を感じられる側面があって僕好きですね、すごく。

★後編⇒末井昭×峯田和伸×村井守が語る人生のあれこれ「いつまでたっても人はそんなに変わらない」

(取材・文/オクソン奥村 写真/三野新)

●末井昭(すえい・あきら)1948年6月14日生まれ、岡山県出身。編集者、作家。2014年、『自殺』で第30回講談社エッセイ賞を受賞。また、現在はサックス奏者としても活動している。最新刊『生きる』が発売中

●峯田和伸(みねた・かずのぶ)1977年12月10日生まれ、山形県出身。歌手。GOING STEADYを解散後、2003年に銀杏BOYZを結成。現在は俳優としても活躍中で、映画やドラマなど数多くの作品に出演している

●村井守(むらい・まもる)1978年1月15日生まれ、山形県出身。GOING STEADY、銀杏BOYZの元ドラマー。2014年1月15日付で同バンドを脱退。現在はテレビ制作会社でキャスティングを担当している

■映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』全国テアトル系にて順次公開中!岡山の田舎町に生まれ育った末井昭は、7歳のときに母親が隣の若い男とダイナマイト心中するという壮絶な過去を持つ。18歳で田舎を飛び出し、工場勤務、キャバレーの看板描き、イラストレーターを経て、エロ雑誌の世界へ。末井はさまざまな表現者や仲間たちに囲まれ編集者として日々奮闘しながら、一時代を築いていく――。主人公・末井役は柄本佑、母・富子役は尾野真千子、末井の親友、近松役は峯田和伸