週プレ酒場に初登場のまりっか。ファッションも注目される彼女だが、今日の私服は選んだポイントは雰囲気だそう

3月31日、東京・歌舞伎町「週プレ酒場」にて「1st写真集『エトランゼ』発売記念! 伊藤万理華×週プレ酒場 トークイベント」が開催された。

昨年末に乃木坂46を卒業した“まりっか”こと伊藤万理華。本イベントでは1st写真集『エトランゼ』(集英社インターナショナル)を引っ提げ、週プレ酒場に初登場! カメラマン・大江麻貴氏とともに写真集撮影の裏話をメインテーマにクリエイター同士ならではの対談が繰り広げられた。

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―1st写真集『エトランゼ』の反響はいかがですか?

伊藤 乃木坂46のメンバーが「見たよ!」って感想を添えて写真を送ってくれるのが嬉しかったですね。最初に送ってくれたのがまっちゅん(松村沙友理)。それを『エトランゼ』の公式Instagramに載せたら、すぐに(秋元)真夏も送ってきた(笑)。

―秋元さんはさすが「機を見るに敏」ってやつですね(笑)。

伊藤 メンバー以外にも、乃木坂のMVでお世話になった映像監督の柳沢翔さん、映画『あさひなぐ』で共演した富田望生(みう)ちゃん、原作者のこざき亜衣先生にも読んでいただいたんです。様々なジャンルのクリエイターの方が手に取ってくれたってことにも感激ですね。

左は、撮影を担当した大江麻貴氏

―“クリエイター”という言葉が出ましたが、本日は『エトランゼ』でカメラマンを務めた大江麻貴さんとともに「クリエイター対談」ならではのトークをお送りしたいと思います。そもそもおふたりが出会ったきっかけはなんでしょう?

大江 写真集『乃木坂派』(双葉社、2013年)の撮影ですね。私含め、4人の女性カメラマンが参加していたんですが、1日目の撮影が終わった後、みんなで「ねえ、すっごくフォトジェニックなコ、いなかった!?」「わかる。いたよね!」って話になったんです。それが満場一致で万理華ちゃんだった。だからすごく印象に残ってたな。

伊藤 その話は初めて聞きました(笑)。『乃木坂派』の撮影の時は、私は別のカメラマンさんに撮られていたのでそんなにお話しする機会がなかったんですけど、TV番組でたまたま見た大江さんの印象が強烈だったんですよ。ストイックというか、厳しくガンガンいくというか…。だから「ちょっと怖い人なのかな?」って思ってました。

大江 よく現場で「厳しい」「怖い」「めちゃくちゃ走らされる」「部活のコーチみたい」って言われるよ(笑)。

伊藤 でも、『エトランゼ』の撮影でイメージが変わりましたね。今はすっかり「なんでも話せる姉さん」って感じ。

―『エトランゼ』は香港で撮影されたんですよね。

伊藤 香港での撮影中は、あえて細かいところは何も決めずに作っていったんです。だから突発的で予想がつかないことがいっぱいあって、撮影4日間はずっと“お祭り”みたいな感じでしたね。まるでひとつの物語の中をみんなで進んでいっているような。

―確かに、香港の街をふわふわと自由に歩いていく万理華さんの後ろを、大江さんとスタッフ5人がぞろぞろついていくっていう感じでしたね。

伊藤 撮影初日、香港の夜の街を歩き回る私を撮ってもらったんです。この撮影で「どうやったら香港の街に馴染めるか」というのと、「私が思うままに動いたら、大江さんが素敵に撮ってくれるんだな」っていうことがわかった。

大江 あれでお互いの感覚がつかめた感じがしたよね。夜間撮影用のカメラなんて完全に私の“趣味”で持ってきただけだったのに、結局、かなり使ったし。そういう“ライブ感”がいい方向に出てたと思う。

伊藤 最初は気合入りすぎて、「この場所では絶対にこの服を着て、こういうカットが撮りたい」って決めてたんですけど。でもよく考えたら私って計画性ないし、その割に本番に強いし。そもそも香港なんて、どこも行ったことのない場所なんだから、足を運んでみてるまでわからないことだらけなんです。空気とか雰囲気とか。

大江 そう。それに香港は街が持ってるパワーがすごいからね。「場」から受けるインスピレーションが大きかった。特に、現地の方が実際に住んでるおうちで撮影した時とか楽しかった。やっぱり人間が実際に生活している空間が持ってるパワーってダイレクトに伝わってくるんだよね。

伊藤 私もこのシーン、大好き! 好きすぎて、「このおうちで撮影したカット増やしてください」って頼み込んだんです。10時間かけてレイアウト直してもらった。

何者でもない、何色にも染まれるのが魅力

―そんな香港での4日間、今だから話せる裏話はありますか?

大江 万理華ちゃんと一緒の部屋に泊まって、寝起きのカットを撮ったんです。だから『エトランゼ』には、すっぴんの“ガチ寝起きカット”が1枚入ってるんですよ! そのためにわざわざシャッター音が出ないカメラで撮ったよね。

伊藤 2日目の朝ですよね。1日目は日付変わって朝5時まで撮影してて、2時間しか寝てなかった。アドレナリンが出てたからシャキッ!って起きれたけど。

大江 寝起きのカットもそうだけど、万理華ちゃんに限っては、「かわいい」が必ずしも「正解」じゃないなって思ったんです。女優さんとかアイドルさんは誰しも「かわいく、きれいに撮られたい」っていう気持ちがあると思うので、いつもはそれをくみ取るようにしているんですけど…。

伊藤 だって、かわいい女のコの写真って他の写真集で見られるじゃないですか。だから、スタッフさんが「えっ、これ選ぶの!?」みたいなカットも『エトランゼ』にはたくさん入ってると思う。

大江 本当に自然体というか、無防備すぎるよね。

伊藤 でも本当はもっと入れてほしかったカットあったんだよな…そうそう、このピンクのパンツで撮ったのとか。これなんて表紙でもいいぐらいですよ。

―さすがにこれ、表紙は攻めすぎでしょ(笑)。でも、強い要望があったので、お渡し会のプレゼントはこのカットの生写真にしましたよね。ちなみに、大江さんから見て、伊藤さんの魅力とは?

大江 無防備で純粋なところかな。写真集の撮影でこれだけ「素」をさらけ出せる人ってなかなかいないんですよね。まだ何者でもなくて、だからこそこれから何色にも染まれる可能性を持ってる。それって今後、万理華ちゃんがお芝居をやる上でも必要なものだと思うし、すごく貴重なものだから大切にしていてほしい。

伊藤 私も「こう撮ってもらえたら写真写りがいいな」っていう自分が“得意”な角度はあるんですが、今回はそういうのを封印して臨みました。苦手だなっていう角度やポーズも好きになれるようにしたいじゃないですか。それに、乃木坂46卒業直後の時期だったから、「何者でもない自分」っていうのが素直に表現できたんだと思います。このタイミングじゃなかったら、全然違う写真集になってたかも。

大江 そういう思いが特に表れてるのが、白の衣装で撮った最後のパート。むき出しの「素」の魂に触れながら撮影したって感じ。

伊藤 今回は自分で衣装のスタイリングもやったんです。私がやりたいことを突き詰めたから、前半は着飾っているカットが多いんですけど、最後はあえて削ぎ落としたシーンも入れたかった。これ撮られてる時、感情が高ぶって思わず号泣しちゃって…でも、そういう感情的になってるところを撮ってもらったから、大江さんの言う「むき出しの魂」みたいなものが出せたのかもしれないですね。

―おふたりが次にタッグを組む時は、どういったお仕事をしたいですか?

大江 ビッグネームのナショナルブランドの広告がいいな。「伊藤万理華、ここにあり!」って感じの。

伊藤 そうですね、5年以内には実現させたいな。

大江 5年? ちょっと長いなあ。目標は2年ね、2年!

伊藤 そのためには私も成長しとかなきゃですけど…また一緒に大江さんとお仕事できるように頑張ります!

(聞き手/篠本634[shortcut] 構成/結城紫雄  撮影/岩間辰徳)

伊藤万理華いとう・まりか)1996年2月20日生まれ、神奈川県出身。身長156cm ○ファースト写真集『エトランゼ』(集英社インターナショナル)好評発売中。写真集公式Twitter【@MARIKA_etranger】公式Instagram【@marikaito_etraner】