『週刊プレイボーイ』本誌で連載中の「ライクの森」――。
人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。
今回は、花を愛でるのが好きな彼女が、季節の花“ツツジ”を楽しめるスポットを教えてくれた。
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排ガスが漂う道路脇や、公園の隅っこなど、適当な場所に適当に植えられているツツジ。低い場所で身を寄せ合うようにして生きる彼らは、普段は気にも留められません。しかし、4月から5月になると一斉に花を咲かせ、当たり前の通勤コースも彩ってくれる……。そんなツツジが私は大好きです。
思えば、子供の頃は花なんてどうでもいいと思っていました。でも、最近は花を見ると喜ばしい気持ちになるんです。特に、道端に咲く花を見かけると「かわいいなぁ」と思わず立ち止まってしまいます。どうやら、年を取るごとに花を愛(め)でる気持ちが強くなっているようで、このままいくと“花大好きおばさん”になってしまいそうです(笑)。
桜の花見も、以前は「花より団子」派でした。今年もいつものメンバーでお花見に行ったのですが、ほかのコたちがろくに桜を見ようともせず焼き肉屋に向かおうとするのを、「ちょっと待ってよ!」と今年は抵抗してしまいました。そして、タクシーで回り道をして公園に寄ったんですが、結局、暗くてほとんど桜が見えなかったのが残念です……。
そんなこんなで、花不足を感じるこの時期。待ってましたとばかりに、ツツジが咲き始めるんです! この“桜からツツジへのバトンが受け継がれている感”には感心させられます。
そんなツツジは、いろんな色の花を咲かせるんですよね。普段はただの草だと思っていたツツジの木に色とりどりの花がつく様子は、圧巻です。また、桜のように華麗に散るわけでもなければ、椿のように美しい形のまま落ちるわけでもなく、しわっしわにしぼんで枯れていくツツジの花を見ていると、思わず死生観というものを考えてしまいます。うーん、深い……。
3000株のツツジが見られる根津神社
そんなツツジの花を存分に楽しめるスポットが、東京・文京区の根津(ねづ)神社です! 今年は5月6日まで、「つつじまつり」が行なわれていて、なんと約100種3000株のツツジを見ることができます。毎年、この時期は根津神社を訪れることにしているので、今年もそろそろ行こうかなと思っています。
ちなみに、昨年は根津神社でツツジを見た後、御徒町まで歩きました。普通は徒歩では行かないくらいのけっこうな距離なんですが(笑)、御徒町にある「羊香(ヤンシャン)味坊」というお店が目当てでした。ここはラム肉に特化したお店で、特に羊肉串は傑作。その後、『孤独のグルメ』でも取り上げられたらしく、人気店になりましたが、機会があればぜひ行ってみてください。
その羊香味坊からも近い、湯島の「ホルモン俵屋」もオススメです。ジューシーなホルモンを特製ポン酢につけて食べると、さっぱりして絶品です。ここは飲むヨーグルトも有名で、そのヨーグルトにアルコールを入れた「乳酸菌サワー」が私は大好きです。ドロッドロに濃厚な飲み口が癖になりますよ。
お口直しをするなら、谷中の「カヤバ珈琲」なんていかがでしょうか。創業80年の有名店で、古民家を生かした趣のある店構えです。こちらのたまごサンドも名品です!
最後は食べ物の話になってしまいましたが、ぜひツツジの花を楽しんでくださいね。
●市川紗椰(いちかわ・さや) 1987年2月14日生まれ。アメリカ人と日本人のハーフで、4歳から14歳までアメリカで育つ。現在、モデルとして活動するほか、J-WAVE『TRUME TIME AND TIDE』(毎週土曜21:00~)、MBSラジオ『市川紗椰のKYOTO NOTE』(毎週日曜17:10~)などにレギュラー出演中。根津神社は、真っ赤な鳥居が無数に続く「千本鳥居」でも有名