今、世の女性の間では“レズ風俗”なるものが注目を集めているという。
コミックエッセイ『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』(永田カビ著/イースト・プレス刊)のヒットを皮切りに、作中で登場する大阪ミナミのレズ風俗店「レズっ娘クラブ」には問い合わせが殺到。
さらに、今年2月に発売された同店の代表・御坊氏による「女性が女性にサービスする性風俗店の10年」を描いた『すべての女性にはレズ風俗が必要なのかもしれない。』(WAVE出版)も話題沸騰中だ。
「世の中の女性がレズビアン化してる!?」 「そもそも、レズ風俗って一体、何?」 「男性向けの風俗店とどう違うの?」
…そんな根本的な疑問を「自身も生粋のレズビアンでありながら、数々の男性向けの風俗サービスの取材をライフワークにしてきた」という、かなりこじれまくった記者が著者の御坊氏を直撃! 実際にレズビアンだからこそ感じたお世辞なしの感想を含め、注目されつつあるレズビアン風俗店の実態を洗いざらい聞いてみた。
■常連客の大半は男性が好きなノンケ女子!? 男子禁制の女の園とは…
―著書を拝読して、まず驚きました。「ここまでレズビアン(同性愛)がメジャーになったのか!」と。
御坊 ほんまですね。永田カビさんの漫画の影響もあって、お客さまからの問い合わせはもちろん、「働いてみたい」という応募も急増しました。11年前に店を始めた時は「どうせなら誰もやってないことをやったろう!」と何も知らないまま勢いで飛び込んだんですが…。そんなひと昔前に比べて、最近は世の中が同性愛に関して寛容になってきたなと実感しますね。
―ただ、「女性が女性に性的なサービスをする」といわれても、世間的にはあまり想像がつかないかなと。一体、どんなサービスがあるんでしょうか。
御坊 基本的には2種類のコースがあります。食事や買い物などを楽しむ“デートコース”と、ホテルで体を重ねる“ビアンコース”。ふたつのコースを組み合わせて利用する方も多いですね。他にも、より長時間ふたりの時間を堪能できるお泊りコースなど。
―客層はやっぱりレズビアンの方が多いんですか?
御坊 キャストの女のコによって差はあるんですが、これが意外とノンケ(男性が好きな異性愛者)さんがほとんどなんですよ。もちろんレズビアンの方もいますが、他には男女どちらも恋愛対象になるバイセクシャルの方だったり。ウチの店を利用して初めて「自分はバイかも知れない…」と気付いたというお客さんも多いようです。
―新たな扉を開けたと。他にも女性向けの性風俗というと、指定したホテルに男性を呼ぶ“出張ホスト”や“性感帯マッサージ”などもありますよね。でも、いまいちマイナーというか、本当に一部のごく限った女性しか利用しないイメージだったり。
御坊 女性だって、もっと性に解放的になってもいいと思うんです。でもそういった対男性のサービスはどうしてもハードルが高い。
―私も一度、潜入取材で両者を試してみたんです。ホテルの扉を開けると、目の前にはAV男優の加〇鷹さんそっくりのギラギラ&テッカテカの男性が立っていて…。“ザ・プロ!”という出で立ちに少し引きましたもん(笑)。男性から性交渉の強要はしないっていうのが大前提のルールですが、どうしても密室でふたりっきりになるとなんともいえない不安がありますね。
御坊 それが女性同士だと緩和されるんですよね。友達の延長線上なんだけど、しっかりトキメキもあるし、非日常の気持ち良さも味わえる。もちろんウチの店を利用するのにも、最初はかなり勇気がいるでしょうが(笑)。
3泊4日ぶっ通しで予約!
■最長72時間、キャストを独占! 支払総額50万円オーバー!?
―「すぐに体の関係を…」というわけではなく。デートコースで事前に打ち解けられるのはいいですよね。女性同士って、肉体的な快楽だけじゃなく、精神的な繋がりを求める要素も結構大きいと思う。男性向けの風俗店にはあまりないサービスですし。
御坊 打ち解けるのはもちろん、非日常の中でその瞬間限定の“恋人感覚を楽しむ”っていうね。レズビアン風俗には必須だと思っています。キャストとお客さまふたりで成長していくというか、関係性を構築していくような。男性向けの風俗サービスではまずお目にかからないサービスでしょうね。
ちなみに、これまでの最長利用時間は3泊4日ぶっ通しでキャストと過ごされた方で、支払は72時間で計50万円オーバー!(笑) 他にも東京や名古屋など遠方から出張の依頼が入ることもあるんです。基本的には移動費はお客様負担で、日本全国どこへでも出張します。…それにしても、店長の僕もびっくりです。
―すごい!(笑) もうそれ、完全に恋人というか、どハマりされてるじゃないですか。
御坊 ですね(笑)。キャストと新大阪の駅で待ち合わせて、通常のコース料金にプラス2人分の旅費を出して温泉旅行に行かれたり。旅のしおりを作ってくる方もいますよ。
―男性向けの風俗では考えられないですね。男性だったら、長時間相手とベッタリ一緒にいるより、その分、単発で複数回利用したほうがいいやって思うだろうし。
御坊 そのあたりが女性ならではというか。ここまで長時間なのは稀(まれ)な例ですが、大事なのは“一時の快楽”だけじゃないということです。プレイだけで繋がっているんじゃなくて、時に友達感覚だったり疑似恋愛感覚だったり。
―中には高齢のお客様も利用されているとか…。
御坊 これまでの最年長記録は70代の女性のお客さんでした。他にも姉妹店の『ティアラ』で行なっている「レズ鑑賞コース」では、50代、60代くらいのご夫婦そろって利用されたり。 最初はふたりのキャストの絡みを観賞されていたんですが、月に2度ほど利用するうちに奥さまとキャストが絡んで夫がその様子を観賞すると。
性的な興奮だけじゃなく、そんな非日常が刺激になったんでしょうね。奥様のほうもダイエットを再開したり、新しく趣味を始めたり…。「生活にハリが出た!」と言っていただけました。
女性客ならではの愛情表現?
■女性ならでは?の熱がすごい、女の園の実態とは
―お店に在籍されているキャストの皆さんそれぞれに対する、利用者からのレビューもスゴイですよね。一体、原稿用紙何枚分?っていうくらい長文でキャストへの愛を語りまくってる。
御坊 もうね、ラブレターですよ(笑)。普通なら★1とか、辛辣なレビューだってあっていいはずなのに皆、キャストを褒(ほ)めちぎってる。レビューとして「ちょっとちゃうんじゃなの、それ」って。クレームもありのまま書いてほしいんですがね…。
―運営側がそれを言っちゃうんですね(笑)。
御坊 HPでも「キャストへの個人的なメッセージはご遠慮下さい」って書いているのに、それでもみんな褒めちぎる。
―ある意味、そこで女同士張り合っているのかも。「私のほうが〇〇(キャスト)の良さを知ってるのよ!」的な。男性向けの風俗店ではまず見ない光景ですもんね。短文でストレートなコメントはポツポツあっても、まずそこまで語らない。
御坊 そうですよね。いろんなコを試してみたいとも思うし。さらに僕も知らなかったんですけど、店が軌道に乗る前はキャストが自発的に無料で“時間延長”をしていたんですよ。男なら大抵、「よっしゃ、ラッキー!」と思って普通に受け入れるじゃないですか。でも女性のお客さまは違ったんです。
アンケートや僕に直接、「そういうのは辞めたほうがいい」「他のお客さんにもやっているなら注意してあげてください」と言ってくれて。おそらくやけど、お客さんのプライドというか、自分以外の他の人にも同じことをされるのがイヤやったんかなあと。良いお客さんが多いんですよ。
―女性にとっては「誰にでも同じことするんでしょ」っていうのがイヤなのかもしれませんね。自分だけならいいけど、でもどうせ…って。それなら誰もひいきにされないほうがまだ納得がいくというか。ちょっとした嫉妬や独占欲だったりが女性ならではなのかも。
御坊 そう。でも、中には新人が入ったらすぐに指名する方もいるんですよ。「絶対、いつものキャストには言わないでくださいね」「御坊さん口が軽いから心配」って。誰が言うか!って(笑)。
―そこは男性と変わらない(笑)。
御坊 他にも、女性客ならではだなと感じたのは“記念日”ですね。初めて店を利用した日とか、お気に入りのキャストと過ごした日を記念日にしていて、お店のHPにも「今日は何の日か覚えてる?」ってメッセージが入っていたり。
―うわ! 女子っぽい!(笑)
御坊 そのあたりのことはそれぞれのキャストに任せてますけど、男性向けの風俗店じゃまずないような、女性ならではの感覚とか反応も見ていて勉強になりますよ。こっちも日々、いろいろ学ばせてもらってます。
★後編⇒巷で話題、 レズビアン風俗の裏側ーー女性だって気持ちよくなりたい! “心地いいひと時”の経験を…
(取材・文/赤山ひかる)
■御坊 「レズっ娘クラブ」代表。2010年には姉妹店『ティアラ』をオープン。