システマジャパンのブレット・アダムス氏(右)。ドラゴン先生をシステマの奥義へと導いてくれるか!? システマジャパンのブレット・アダムス氏(右)。ドラゴン先生をシステマの奥義へと導いてくれるか!?

毎週金曜日更新のWEB連載漫画50代の☆ リアル体験入門 ドラゴン先生格闘ロードが各方面で注目されている。

漫画家界No.1を自負する強靭な肉体を武器に、作者のドラゴン先生こと岡村茂氏自身が様々な格闘技団体への“道場破り”に挑戦するという無謀とも思える新連載企画――実写画像も多用し、体験リポートする前代未聞?のドキュメント作品だ。

岡村氏は現在54歳の立派なアラフィフ。間もなく55歳を迎え、アラ還と呼ばれる境地へと突入する…。しかし、直近でベンチプレス135キロ、バーベルスクワット145キロという自己ベストを更新したばかりという筋肉自慢。

ウエイトトレーニング歴は37年という鍛え上げたボディで「自分の肉体がどこまでのものか試したい、そして疲れている同世代のオジさんたちに少しでも元気を与えられれば…」と一念発起。その強い思いと、昨今の女性たちの“ツヨカワ”志向もあり、格闘技入門が身近になって様々なジャンル・団体が隆盛を誇る中、「その違いや独自色を紹介しよう」という編集部の意向ともマッチし、今回の企画が実現した。

連載スタートとなった第1弾では、型破りなエンターテインメント興行で爆発的人気を集めているDDTプロレスリングへの挑戦を4話に分けて掲載。本物のプロレスラーが「こんな54歳は初めて見ました!」と賞賛し、各団体からも「これは本気ですね」と受けて立つ声が続々届いている。

そして挑戦はいよいよ、第2の舞台へ! 向かうは、ロシアの軍隊が誇る実戦格闘術として有名な「システマ」の道場! 目指すはその奥義とされる「痛さを感じない技の習得」だ。

ソビエトのスターリン独裁時代に、特殊部隊・スペツナズの一員であったミカエル・リャブコ氏によりまとめられたとされるシステマは、その創始者・ミカエル氏が実戦経験から獲得した知恵やノウハウがベースとなり、現在でもロシアの様々な機関で使用されているが、「格闘術」を学ぶのはあまりにも危険な側面があるとされ、一般には「護身術」の教えが普及されている。

また「型」や「技」を教えられないことも特徴で、実戦ではそれらが有効であるとは限らない…すべての攻撃に対抗するにはもっと「大切なこと」で当たらなければならないという。それは何か!? これが今回、漫画本編で明らかにされていくシステマの本質だ。

そこで今回も、簡単にシリーズの模様をダイジェストをご紹介しておこう。

 腕立ては、腕で自重を持ち上げるのではなく、拳で地面を押し込むことをイメージするのがシステマ流 腕立ては、腕で自重を持ち上げるのではなく、拳で地面を押し込むことをイメージするのがシステマ流

怪力が、全く通用しない!?

 攻撃しているはずなのに…相手が何か技を繰り出すわけでもないのに、自分は転んでいるという不思議ワールド 攻撃しているはずなのに…相手が何か技を繰り出すわけでもないのに、自分は転んでいるという不思議ワールド

体験入門を受け入れてくれたのは、全国に数ある道場の中から選んだシステマジャパン。システマ本部に認されている組織で、創始者・ミカエル・リャブコ、ブラディミア・ヴァシリエフから認可された公認インストラクターも多い、日本では先駆的な団体のひとつである。

岡村氏がまず向かったのは、都内の某公園。毎週土曜日、広場の一角で行なわれている屋外トレーニングに参加するためだ。

園内では大学生らしき団体がフットサルの練習に励み、親子連れもボール遊びに興じている…このあまりにも「平和」な場所で一体、何が行なわれるというのか? そこへやってきたのは、ガッチリと鍛えられたボディで悠然と歩む外国人男性――彼こそがシステマジャパンのトップに立つ達人、ブレット・アダムス氏だ!

そして、続々と集まるトレーニング生…と思いきや、参加者が見当たらない? 自分の基礎練習をしにくるというインストラクターもシステマを学ぶ会員も、時間内に自分の都合で参加しにくるということだったが、ヤバい! ということは、マンツーマンでブレット氏と!?

恐ろしげな実戦格闘術ということで身構えていた岡村氏に困惑の様子が窺えたが、ひとり、またひとりと参加者は増えていき…なんとなくほっとしたような表情となる中、早速、トレーニングが始まる!

だが、すぐに激しいブートキャンプトレや組み合いが課されるかと思いきや、これまた意外にも静かな動きで立った姿勢、横になった姿勢、腕立て伏せの姿勢、もも上げの姿勢…ゆっくりのスピードで動き続ける。準備運動とも思えるが、これもすでに「大切なこと」を実践的に教えられているらしい。

そして参加者同士がペアになってのトレーニングに移ると、システマの本質が早くも目の当たりに! 岡村氏の怪力が、全く通用しない!? それどころか、「攻撃してるほうが負けちゃう!」(本人談)という、不思議な事態に遭遇することに…。

これがシステマの本質のほんの一部。相手を捕まえ、顔を真っ赤にして絞めているほうが転ばされてしまうということに、一体どんな秘密が隠されているのか!?

ここから挑戦は2日目、舞台も東京・高田馬場にあるシステマジャパン本部道場へと移る。

ナイフを目の前にして…

 参加者全員で肩を組んでの腹筋。ペースを合わせられなければ、みんなの大迷惑。先生の表情にも焦りが!! 参加者全員で肩を組んでの腹筋。ペースを合わせられなければ、みんなの大迷惑。先生の表情にも焦りが!!

「前回は素手の攻撃に対しましたが、今回の相手はナイフです。恐怖感が高まる分、システマの動きがしにくくなりますが、基本は同じ」というブレット氏。一瞬、ビクッと岡村氏の表情が戦慄に引きつるが、もちろん先端に丸みのあるダミーの凶器を用いるということでホッ…それでもずっしりと重く、持って自分の体を突いてみると、やはり痛い!

しかし、覚悟を持って“道場破り”に挑む岡村氏もヤワじゃない…ほんの数日でレベルアップしていたのだ!

ウォーミングアップでシステマの基本の動きを参加者と組みになって行なうと、前回は参加していなかった女性(システマ歴4年)から「上手にできてますよ~」と驚かれたほど。(もちろん、体験取材で参加の漫画家さんにしてはできる!という意味だろうが…)

ブレット氏からも「よくなってる! 力が抜けるようになった」とお褒(ほ)めの言葉をいただいた岡村氏だったが、その言葉が本物か、それとも54歳の漫画家にかけられた単なるお世辞なのか。そして、最終的にさらなる本質に少しでも触れ、「大切なこと」を体感できたのか!? その模様は是非、漫画本編で確かめてほしい。

これに続く第3回では、イスラエル軍や米国政府機関で採用されている戦闘術「クラヴマガ」に突撃! 同じ「護身」を意識しながら、システマとも全く違うメソッドに驚愕する岡村氏。完全実践主義を標榜するクラヴマガで、さらに進化する姿を見せ、達人たちも感嘆する根性を見せる!

この道のめざす先には何が待っているのか。連載漫画を楽しみながら、その進化の過程を追っていくと、読者自らも励みになり、元気が湧いてくるはず!? そして自分も強くなりたい!と実践したくなるかも…。

さらに、岡村氏がオリジナルで制作する動画もYouTubeで配信中! 本企画がいかにガチでがリアルなものかを生々しく確認できるのでそちらも要チェックだ!

(取材・文/山本イチロー 撮影/五十嵐和博)

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