赤いモヒカンのケッチ!(左)と、黄色いモヒカンのHIRO-PON 赤いモヒカンのケッチ!(左)と、黄色いモヒカンのHIRO-PON

1999年にケッチ!HIRO-PONで結成、大道芸から人気が世界的となったサイレントコメディーデュオ・が~まるちょばが今年で19年目を迎える。

2004年、世界最大の芸術祭エディンバラ・フェスティバル・フリンジでダブルアクトアワードを受賞したのをきっかけに世界から引っ張りだこの人気パフォーマーとなったが、そんな彼らはプライベートも含め、54もの多くの国を渡り歩いたという。

事務所も渡り歩き(2社目)、去年4月からは吉本興業所属に。そこで今回、同年6月まで吉本に所属し「2ヵ月間だけ所属時期がかぶっていた」と吐露するインタビューマン山下が、ナノ単位の薄い繋がりを武器に世界の情報を聞き出した!

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―今回、54ヵ国もの世界各地を渡り歩いた、が~まるちょばさんに各国の印象をジャンルごとのナンバーワンという形で教えていただけないかと! まずはパフォーマンスのウケがよかった国は?

ケッチ!(以下、) スペインはわかりやすくよかったですね。パフォーマンスのウケもですけど、フェスティバルの出番が終わった後に会場を歩いていると、さっきまで僕らのパフォーマンスを観てくれていたお客さんに声をかけられたんですよ。「セクシー! こんなにセクシーな日本人がいるの?」って言われて(笑)。

HIRO-PON(以下、) 勘違いしてしまいますね(笑)。

 正直、モテモテでした(笑)。

―じゃあ、飲みに行ったりも?

 行きましたね。

―えーー!

 でもそういうのはよくありますよ。ストリートフェスだと、片付けとかしてそのまま僕らもその辺をウロチョロするじゃないですか?

 日本のイメージとはちょっと違いますから。あ、でもファン食っちゃうみたいな、そういうのじゃないですよ。

―いや、なんにも疑ってないですよ(笑)

 あれ? HIRO-PON、そんなことあったの?(笑)

 ない、ない、ない、ない、ない(汗)。

一同 (笑)

 フレンドリーな国だとバーベキューやってるからおいでよとか、あと嬉しいのが現地に長く住んでる日本人が日本食を差し入れしてくれたりとか、現地の日本食レストランの人が是非うちに晩御飯を食べにきてと招待してくれたり、そういうのは嬉しいですよね。

―各国でそんな感じだったらめちゃくちゃ友達が増えていくんじゃないですか?

 ケッチはね。

―え…HIRO-PONさんは友達にならないんですか?

 僕は人見知りなんで、外国人特有のフレンドリーな感じで来られると困っちゃう…。

―じゃあ、ケッチさんはフェス終わりのモテモテ感も含めて、ウケのよかった国ナンバーワンで…。やっぱスペインはきれいですか?

 きれいですね…。いや、何がですか? 風景のことですよね(笑)?

―(笑)いえいえ、違いますよ。話の流れからわかるでしょ!

 スペインは女性もきれいですよ。

 欧米の女性って大きいじゃないですか? でも、意外とスペインの女性に限っては大柄じゃないんですよ。

 欧米を旅していると、北に行くほど背が高くてブロンド、青い瞳が多いです。でも南下してきたスペインは黒髪も多いし背も小さくて、日本人に割と近いのでちょっとホッとしますね。

―他にお客さんのウケの反応で印象に残っている国はありますか?

 ブラジルのお客さんは口笛とか「フゥー!」とか音の上げ方がすごいですね。あと、メキシコもすごくて、頼んでもいないのにウェーブをやってくれるんですよ。だからメキシカンウェーブっていうのかと思いましたね。(ウェーブのことをメキシカンウェーブとも呼ばれる)

―パフォーマーの方って、どういったお客さんのリアクションが一番やりやすいですか?

 やっぱりコミュニケーションを取りやすいお客さんのほうがやりやすいですね。やりにくいのはテンションが高すぎてパフォーマーを見ずにうるさい人ですか。でも僕らは喋りがないので、うるさくても見えればわかるのでなんとかなるんですよ。

―なるほど! 漫才やコントだったら観客にうるさくされるとセリフとかぶって聞こえなかったりするので困りますが…喋りがない分、多少騒がれても影響がないんですね。

 そうですね。あと変わったリアクションだなと思ったのがドイツのお客さんですね。指が右から左へ瞬間移動して本数が変わるっていう子どもの頃、誰もがやったような遊びをやっても「くだらないことを1周回ってよくもやってくれた~」ってパチパチパチパチパチパチ~って拍手が長いんですよ(笑)。

 全然終わらない(笑)。最初は拍手が終わるのを待ってたんですけど、全然崩れちゃったので、次からは自分らの間(ま)でやるようにしましたね。

―じゃあ、拍手中でも次のネタをやったり?

 はい。さっきも言いましたが、僕らのパフォーマンスは音が邪魔にならないため見えれば伝わります。だから公演中、ずっと観客から拍手されてるみたいな感じです(笑)。

―では、カルチャーショックを受けた国ナンバーワンはどこですか?

 インドはすごかったですね。野外の舞台を作るスタッフもかなり適当なんです。土台をまず竹で作るんですけど、竹で大丈夫なの?っていうのもあるし、でき上がったのを見たら、土台の竹がプランプランってなってて「全然、地面に届いてないじゃん!」って(笑)。

それで本番が始まって、夜の公演だったので照明が必要じゃないですか? ピンスポット(※舞台などでよく使う集光ライト)なんですけど、ピンが1コしかないんです。しかも、かなり絞ってひとりの顔にしか当てないんですよ。だから、ケッチの顔に当ててる時、僕は真っ暗なんです。言葉がない分、ふたりの姿が見えてなんぼで、その掛け合いが面白いのに…(笑)。

―それは悲しいですね(笑)。さて、7月からは国内ツアーを行なうとのことで、インドのようなハプニングはないと思いますが、今回の見どころを最後に教えてください!

 今回のテーマは原点回帰で、僕らが初めてサイレントコメディーを上演した時に、とにかく笑えるものにしようということで始めたんです。だから始めに立ち返って、いつもよりコメディー多めになっているので笑いに来てもらえたらと。

 結成当時のパッションを大事にしつつ19年のスキルをそこに加えて、爆発的な面白いものになればなと思っています。

(取材・文/インタビューマン山下 撮影/鈴木大喜)

◇が~まるちょば サイレントコメディー JAPAN TOUR2018開催! 7月12日~来年1月5日まで全国23ヵ所をめぐる予定。チケット詳細はよしもとチケットなどにて ◇世界中から 演劇、スタンダップコメディー、舞踏、ダンスなどなど様々なジャンルのカンパニーが集まる「エジンバラ・フェスティバル・フリンジ」8月1日~18日参加決定! 7月11日には16年の横浜公演を収録したDVDも発売決定、全世界が涙した純愛物語「街の灯」など笑いあり涙ありのコンテンツが満載! 詳細は、が~まるちょばオフィシャルサイトまで

 インタビューマン山下(中央)1968年生まれ、香川県出身。お笑い芸人を引退後、フリーのインタビュアーに。芸人の気持ちがわかる身として、その魅力を引き出す! インタビューマン山下(中央)1968年生まれ、香川県出身。お笑い芸人を引退後、フリーのインタビュアーに。芸人の気持ちがわかる身として、その魅力を引き出す!

が~まるちょば ケッチ!(けっち) 東京都出身。趣味は、ぶらり旅で世界54ヵ国を回っている。パントマイム検定準3級 HIRO-PON(ひろぽん) 埼玉県出身。お酒が飲めない。パントマイム検定4級を受け、不合格になったことがある