ドラマ、映画、舞台などで活躍する人気女優、高畑充希

人気女優、高畑充希がドラマ『68歳の新入社員』(6月18日月曜21時~、関西テレビ)で、68歳の男性部下を持つやり手の女性上司役に挑戦! ドラマの裏話から女優としての変化などを聞いた!

■演じていながら、撮影を忘れかけました

―6月18日に放送される『68歳の新入社員』は、高畑さん演じる老舗和菓子会社のキャリアウーマン・工藤繭子と、草刈正雄さん演じる68歳の部下にして新入社員・仁井本和夫によるヒューマン・ドラマ。出演依頼が届いたときはどんな心境だったんですか?

高畑 この作品の撮影時期は、お休みする予定だったんです。でもマネジャーさんから「こんなお話きてるよ」って、台本を見たらものすごく面白くて。すぐにでも台詞を声に出してみたくなりました。

―台本のどこに興味を持ったんですか?

高畑 んー。「だはははは!」ってセリフとか。

―は? だはははは?

高畑 はい。私が演じる繭子は男の子と同棲していて、私が仕事から帰ると彼がご飯を作ってくれるんです。で、「だはははは! 癒されちまった~!」って。「だはははは」って書いてある台本、初めてです(笑)。そういう、普通はなかなかないセリフがいっぱいで引き込まれましたね。

―繭子は他社からヘッドハンティングされてきたほどのやり手です。演じるにあたって意識したのは?

高畑 彼女は真面目で仕事もよくできる女性なんですけど、その反面、家ではすごくフニャフニャしてるんです(笑)。そのギャップを出せたらなって。きっとそういう女性は大勢いるんだろうなって思います。

―上司という立場もあって、40歳年上の部下役の草刈さんにキツくあたりますけど、やりづらくなかったですか?

高畑 それはもちろん、やりづらかったです(笑)。しかも草刈さんは私に敬語で、私はタメ口なんです。でも遠慮しないように、こんな機会はこの先ないだろうと、思いきりやりました。

―年が離れているばかりか、今回が初共演。にも関わらず、草刈さんとは息が合っていたとか。

高畑 現場が楽しすぎました! 草刈さんはどんなセリフもあたたかく受け止めてくださるんです。ふたりきりで話し込むシーンもあったんですけど、なんだかカウンセリングを受けているような感覚になっちゃって(笑)。演じているのに撮影を忘れそうになりました。

『68歳の新入社員』(6月18日月曜21時~/関テレ・フジテレビ系)昔ながらの伝統の味で親しまれてきた老舗和菓子会社・羊堂本舗。新たな客層をつかむため、社長の一存で、新規事業開発担当が発足。担当者として抜擢された女性社員・工藤繭子(高畑充希)のもとにやってきて部下となったのは、なんと68歳の新入社員(草刈正雄)だった――(協力/関西テレビ)

自分は主役をやるタイプじゃない

■自分は主役をやるタイプじゃない

―繭子はチームリーダーとして部下たちを引っ張る女性。高畑さんも主役として共演者を引っ張るわけで、立場的には近いですよね。繭子に共感する部分も多かったんじゃないですか?

高畑 そうですね。トップに立つのってプレッシャーがあるじゃないですか。その部分は演じながら、わかるなーって思いました。それに繭子は、もともとトップ志望ではなく、ある日突然、その立場になるんです。私もそうだったので、環境が変わって戸惑ったり、悩んだりする気持ちも共感できましたね。

―高畑さんは、以前何かのインタビューで「自分は主役をやる人間じゃない」っておっしゃっていたんですよね。

高畑 はい。私はもともと主役願望がないタイプで。

―普通、お芝居をやる人はいつか主役を張りたいと思うものじゃないんですか?

高畑 うーん、どうなんだろう。以前は主演の方ををサポートしているほうが楽しいとずっと思っていました。いまは主役を演じさせていただく機会も出てきて、面白さもわかるようになってきたから両方好きです。でも未だにテレビに出ていることに違和感です(笑)。

―そうなんですか!?

高畑 街を歩いていて、大勢の方が自分を知っていることが変な感じで。テレビに出ることで、出会ったことのない方々が私に対して好きとか嫌いとか感情を持つことも不思議です。

―ではテレビに出るたびにつらい気持ちになったとか?

高畑 つらくはないです! でも戸惑いました。ずっとモゾモゾと気持ち悪くて。いまはずいぶん慣れたし、深く考えることでもないのかなと思えるようになりました。家族や友人など自分に近い存在をより大事に思うようになったかもしれないです。

―テレビでは明るい役を演じていたときも、葛藤を抱えていたんですね。14歳の頃からずっと芸能界で活動されている高畑さんですが、ご自分が女優として生きていくぞと決意したのはいつ頃だったんですか?

高畑 21~22歳かなあ。NHK連続テレビ小説『ごちそうさん』に出て、テレビのお仕事が少しずつ増えだした頃です。ちょうど大学4年生でした。正直に言えば、大学在学中はほかの道もあるかなと思っていて。心のどこかで、女優の仕事を趣味みたいに考えていたのかもしれないですね。でも周りが就活するのを見て「このままではいかん、自分はこの仕事で食べていかなきゃ」って腹をくくりました。

―就職という現実を目の当たりにして……ということですかね。その後は女優として飛躍し『とと姉ちゃん』をはじめ、主演作品もたくさんあります。女優としてのお仕事は楽しいですか?

高畑 んー。すっごく楽しいときもあるし、全然楽しくないときもあります。

―また、ずいぶん正直な発言ですね(苦笑)。

高畑 お芝居をしていて、たまに特別な瞬間があるんです。それこそ今回の草刈さんとの会話劇の中でも。舞台だと何十回か公演をやって一回あるかどうか。そういうゾーンに入ったときは(この仕事は)やめられないなって思うけど、自分の気持ちを無理やり持っていかなきゃいけないときはつらいです。すごく感情を消費する感じがします。

―10代の頃などお芝居を始めた当初は、すべてが楽しかったわけでしょ。

高畑 その頃の楽しさとは質が変わりました。最初の頃はこの役をこんなふうに演じて、作品がこの形になるのが正解みたいな感覚があって。そのゴールにたどり着くのが楽しかったんです。でもいまは、正解がない中で、特別な瞬間と出会えるのが楽しい。それはひとりで何かするより、共演する方とか、脚本、演出とかいろいろな要素が絶妙に混じったときに出会えるものなんですけど。もちろん滅多に出会わないし、出会えないからこそ一生懸命追い求めてしまいます。

「高畑会」なんて女子会はありません!

■「高畑会」なんて女子会はありません!

―ひっきりなしに作品に出続けていますけど、疲れたときの気分転換は?

高畑 ご飯ですね。美味しいものを食べると感動するんです。世界には無限に美味しいものがあると思うと、疲れを忘れてワクワクします。

―高畑さんは女子会を頻繁にやっているとネットでよくニュースになっていますけど、そんなふうに女優仲間を集めて、ご飯に行ったりとか?

高畑 いや。そんなにはやってないですよ。年に一度のペースとかで集まってそれをインスタグラムに載せたりするとなぜか派手な印象に(笑)。

―では「高畑会」というのがあって、朝までお酒を飲んで騒いだという話も……?

高畑 そんな会ないです(笑)。ご飯は行くけど相手は学生時代の友達やスタッフさんが多いし、お酒は好きだけどそんな酒豪みたいな飲み方はしないし。

―都市伝説みたいなものですかね(笑)。

高畑 あははは。そうですよ! それに、滅多に大人数で食事しません。楽しいのは好きだけど、賑やかすぎる場所は苦手で。真実はなかなかメディアに載らないですね(笑)。

―なんかすみません(汗)。最後に、高畑さんは女優が天職だと思います?

高畑 私、何をするにもすごく飽きっぽくて。このお仕事は短いスパンで現場が変わるからこそ新鮮でいられるんだと思います。ほかの仕事なら絶対投げ出しちゃってます。

―万が一、女優をやっていなかったら?

高畑 古着が好きだから、バイヤーをやって買い付けに行くとか? でもこの仕事以外は考えたことないし、これからも考えられません。やっぱりこのお仕事を続けていくと思います。

(取材・文/大野智己 撮影/本田雄士 スタイリング/大石裕介 ヘア&メイク/市岡愛)

■高畑充希 TAKAHATA MITSUKI1991年12月14日生まれ。大阪府出身。2005年デビュー。以降、ドラマ、映画、ミュージカルなどで活躍。ドラマ『68歳の新入社員』(6月18日月曜21時~/カンテレ・フジテレビ系)ほか、映画『旅猫リポート』(10月26日公開予定)、映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』(2018年冬公開予定)などの出演作品が控える。公式Instagram【@mitsuki_takahata】

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