『ASK』の製作について語る新堂氏『週刊プレイボーイ』で連載されていた小説『ASK』の単行本が5月27日に発売されたが、読書から「フィクションの殻をかぶったリアルなんじゃないの?」と評判だ。

著者の小説家・新堂冬樹(しんどう・ふゆき)氏は、そのアウトサイダー的な風貌からは想像できないほどにピュアな純愛作品を描くことでも知られるが、今作は徹底した裏社会モノ。

しかも週プレ誌上でグラビア業界の舞台裏を描きまくったのだから評判にならないワケがない。この物語は本当にフィクションなの? 新堂氏に聞いてみた!

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新堂 僕は小説家の活動と並行して、実際に芸能プロの社長稼業もやっているんです。だから、芸能界の裏側というテーマはいつか書きたいなと、以前から思っていたんです。

―どうして週プレでこのテーマを?

新堂  週プレさんは連載小説のイメージが薄いかもしれませんが、以前は東野圭吾さんとか、面白い連載小説が掲載されていて読んでいたんです。そこに約2年前、担 当編集者さんから『11年ぶりに連載小説を復活させたい』とのお話があり、素直にうれしかったんですよ。燃える心境になりましたね。だから週プレの読者さ んが興味を持てる題材にしようと。それが芸能界の舞台裏でした。

―すでに読んでくれた読者から、実在のアイドルや芸能プロ社長がモデルなんじゃないかとの意見も届いていますが?

新堂 特定のひとりの人物をモデルにしたわけではありません。ただ、自分の眼で直に見てきた実在の人物やエピソードを数多く集めて"合成"したので、リアリティがあるのだと思います。

―登場人物が現実世界の"誰"に相当するのか想像するのも面白そう♪

新堂 立場も年齢も違う複数の人物の要素をひとりのキャラクターに盛り込んでいるので、特定の誰かには行きつけないと思います(笑)。ただ、各エピソードのほとんどは現実に起きている出来事なので、そこらへんはリアルな話として楽しんでもらえればと。

―ストーリーもウソみたいに激しい内容なのに、妙なリアリティがあります。

新堂 どこまでがフィクションで、どこからがノンフィクションなのかを妄想しながら読んで頂ければうれしいですね。芸能界って、今日は天国でも明日は地獄かもしれないし、その逆もある。そういう特殊な世界で繰り広げられる虚々実々のお話を楽しんでください!

●新堂冬樹(しんどう・ふゆき)
1998年、デビュー作『血塗られた神話』でメフィスト賞を受賞。"黒新堂"と呼ばれる暗黒小説から、"白新堂"呼ばれる純愛小説まで作風は幅広い。代表作に『無間地獄』『カリスマ』『忘れ雪』など。執筆業の傍ら、新堂プロという芸能プロダクションも運営している

■ASK トップタレントの「値段」(集英社 2000円+税)
9頭身ボディを武器にグラビアアイドルからモデル、テレビタレントへと駆け上がる堀口優奈と、圧倒的な胆力で若くしてのしがった芸能プロ社長の新庄徹によ る仁義なき戦いの物語。カネ、セックス、プライド...。あらゆる欲望への渇望感を隠さないふたりが、暴力と悪知恵、闇の人脈を駆使して壮絶なバトルを繰り広 げる!(週刊プレイボーイ2016年3月28日号~2018年1月22日号まで掲載)