昨年、一度は完成しながらも諸般の都合で再撮影、配信が延期されていたNetflixオリジナルドラマ『Jimmy~アホみたいなホンマの話~』が、ついに完成。いよいよ7月20日(金)から全世界190ヵ国に配信される。

明石家さんまが初めてプロデュースした連続ドラマである本作。主人公はタイトルの通り、あのジミー大西だ。物語はいじめられっ子だった子ども時代から始まり、教師の口利きでなんとか舞台の裏方として吉本興業に入社するも失敗を繰り返す日々が描かれている。

さんまとの出会い、先輩たちに揉まれる中で芸人、そして画家として成長していく"ジミーちゃん"。嘘のようで本当だという数々のエピソードは必見だ。

主役のジミーを演じるのは、人懐っこい笑顔ととぼけた表情の演技が本人を思わせる中尾明慶。ジミーに鋭いツッコミを浴びせながら優しく見守るさんま役は玉山鉄二が演じる。他にも佐藤浩市、池脇千鶴、生瀬勝久ら豪華な実力派俳優が揃った。

配信が間近に迫る中、モデルとなったジミー大西はこのドラマをどう感じているのか? 本人に突撃インタビューを敢行!

企画・プロデュース:明石家さんま 企画・プロデュース:明石家さんま

ーさんまさんからこの企画について初めて聞いた時は、どう思われたんですか?

ジミー 僕の話をドラマ化するぞと言われただけでね。ほら、さんまさんが毎年やっているコント(舞台作品「明石家さんまプロデュース 今回もコントだけ」)に出さしてもらってるやないですか。そのくらいの規模の話だと思ってたんです。だから企画の話を聞いた時も、ふたつ返事で「ええですよぉ」と言うたんですけど...。そんな簡単なものじゃなかったですね。

ちょっと稽古して、ぱぱっと終わるようなもんやと思っとったんです。それが気がついたら、関わる人数のゼロがひとつ違いましたね。宣伝の人とかちゃんといて。「あちゃー、こりゃえらいことになってもうてるぞ」と。

「ドラマじゃなくて、ドキュメンタリーです」と語るジミー大西さん 「ドラマじゃなくて、ドキュメンタリーです」と語るジミー大西さん

ーご自身の役を演じられた中尾明慶さんについては?

ジミー 以前、さんまさんに紹介してもらって面識はあったんです。それでいよいよ企画が始まるという時に改めて挨拶させてもらったんです。雰囲気は似ているなと思いましたね、自分に(笑)。素晴らしい演技をされる、素晴らしい役者さんだと思っていたので、一体ジミーをどんな風に演じてくれるのか楽しみでした。

ー何かアドバイスはされましたか。

ジミー しませんよ、そんなの。プロの役者さんに失礼じゃないですか。それに僕は周りの人がジミーをどんな風に見ているのかってことに興味があったんです。だから、楽しみのほうが大きかったですね。ただ、さんまさんとジミーの普段のやり取りを実際に見てもらったことはありましたね。

ー中尾さんが演じるご自身を見て、いかがでしたか。

ジミー 僕って、意外としっかりしてるなと(笑)。ていうか、「みんなからはこういう風に見えているのか」というのを改めて認識しましたね。普段、自分で気づいていない部分が多いなと。

逆にいえば、僕はこういう感じなんだから、これからは中尾さんが演じたようなキャラで人に接しなきゃあかん。ドラマの中の芸風でいかなあかんと思ったんですが...ふと、気づいたんですわ。とはいっても、今、ドラマの中でやっているようなことやったら、確実に捕まってしまいますわ。時代が違うやん!って(笑)。

明石家さんま役の玉山鉄二と、ジミー大西役の中尾明慶  明石家さんま役の玉山鉄二と、ジミー大西役の中尾明慶 

ーあっ、気付かれましたか(笑)。でも、大らかな時代だったんですね。

ジミー 時代だったり、大阪という土地柄で許されたことがあったと思いますね。だって電車を止めたり、学校にいたずら電話したり、怒られるだけじゃ済まないようなことをたくさんやってましたから。

ー当時の出来事すべてを10割としたら、ドラマに出てくるエピソードは何割くらいなんですか。

ジミー 話としては、大体ホンマの話。で、割合でいったら、あの頃の実際の出来事の6割から7割くらい。別に出し惜しみしているわけじゃありまへん。残りのエピソードは放送できん、ということですわ。

実際、ドラマに出てくるエピソードでも地上波なら放送できんというのがあるやないですか。出てきていないエピソードは、Netflixさんでも勘弁してくださいというものばっかりということです(笑)。

ー残念です。是非、放送禁止バージョンも見たいですけどね(笑)。ところで、撮影現場に顔は出されたんですか?

ジミー 1回も行きませんでした。それで、さんまさんにえらい怒られましてね。「おまえ、普通は来るやろ」と。

玉山鉄二が明石家さんまを演じる 玉山鉄二が明石家さんまを演じる

ーなんで行かなかったんですか?

ジミー 迷惑かけちゃうと思ったんですよ。例えば、見ているうちに眠くなって倒れちゃうとか、大きな音を立てちゃうとか。僕、さんまさんと一緒にいると余計に緊張しちゃうんです、いまだに。それで自分でも何をしでかすかわからんので。

ーまだ、そこまで緊張しちゃうんですか!?

ジミー 若い頃ほどではないですけど、いまだにさんまさんのオーラにやられちゃうんですわ。

例えばね、一緒に新幹線で移動する時、僕が切符を持っているわけですよ。それで改札口でさんまさんに「若~(さんまの愛称)、切符ですぅ」って渡そうと思って追いかけるんですけど、いつの間にか追い越しちゃってる。「おーい、俺はここやぁ」って自分の後ろから声がかかると、その瞬間にふーって気を失っちゃう。そんなことがまだあるんですよ。

ーホントですか(笑)。ジミーさんにとってさんまさんって、どんな存在なんでしょう?

ジミー 吉本に入った時、なんちゅー世界に入ってしまったんだろうと思ってたんです。だって、ちょっとトチっただけで今回のドラマにも出てくるような、めっちゃ痛いお仕置きを受けたりしたんですから。

そんな時に優しいさんまさんが現れて、なぜかわかんないけど、「お茶行くか」とか、すごく気を遣ってくれた。その頃、僕の仕事は舞台の進行係で裏方なんです。それなのに声をかけてくれて、そのうちに「幕間(まくあい)でなんかやってみぃ」とかチャンスを作ってくれた。本当によく可愛がってくれましたね。

楽しそうに青春時代を振り返るジミー大西さん 楽しそうに青春時代を振り返るジミー大西さん

ー当時芸人ではなく裏方だったジミーさんをそれほど可愛がるって珍しいことですよね。

ジミー そうだと思いますわ。でも、僕は割と他の先輩芸人さんにも可愛がってもらってました。パシリが早かったんですよ。野球部だったから(笑)。買い物とか肩揉みとか、先輩に言われたらすぐ反応してました。すると皆さん、小遣いをくれるんですが、当時は会社からもらう給料よりそっちのほうが多かったですね。

ー他にさんまさんとのエピソードで印象に残っていることはありますか?

ジミー TV局にも連れて行ってくれました。「勉強になるから来い」いうて。でも、僕に勉強っていうてもねぇ。さんまさんが出ているのを見て笑ってるだけですもん。

で、帰りも一緒なんですけど、そのまま家に泊まることもありましたね。一緒にスーパーに寄って、当時はさんまさん、酒を飲まなかったからコーヒー牛乳を買ってね。僕は着替えなんて持っていかないから、次の日はもらった服を着て。そうやって、いつもさんまさんの隣にいました。それが当たり前だったんですよ、あの頃は。

ーさんまさんって、TVでは若手に厳しい印象もあるじゃないですか。なんでジミーさんにはそんなに優しいんでしょう?

ジミー ある時、悟ったみたいですわ。「おまえのことを人間だと思うと腹が立つけど、喋れるゴリラ、賢いゴリラだと思えば素晴らしいと思う」って。そういう発想ができるのがすごいところですよね。「おまえは喋れるだけ偉い。お茶を持ってこれるだけでも十分や」ってね。

ーはははっ。さんまさんの運転手をされている時、よく車をぶつけたとか?

ジミー 1ヵ月に3回ぶつけたことがあります。でも、怒らず「直してこい」っていうだけでね。ただ、さすがに僕自身が気になっちゃって、神社に参ったことがあったんです。お札をもらって車に貼ったんですけど、それを見つけたさんまさんがえらい剣幕で怒ってね。「何を神様に頼ってんねん。おまえが悪いだけやろ」と。その時は僕が悟らされましたわ。僕の運転がそもそも下手なだけなんやって(笑)。

ーそんなさんまさんとのエピソードもたっぷり詰まった今回のドラマですが、ご自身としては何点の出来栄えでしょう?

ジミー ...これ、ドラマかねぇ(笑)。まぁ、僕にしたらドキュメンタリーですわな。ほとんど実話なんだから。その意味では100点満点で1000点ですね。...いや、それはやっぱり言い過ぎか。1000点はイヤらしいですね。100点満点中800点にしときましょかね(笑)。

ジミー大西(じみーおおにし)
1964年01月01日生まれ 出身地:大阪府 血液型:A型 身長/体重:161cm /79kg 趣味=絵を描くこと 特技=野球 ○1982年に吉本入社、芸人だけでなく画描きとしても脚光を浴びている。


◆◆◆◆◆作品情報◆◆◆◆◆

<概要>
・タイトル:「Jimmy~アホみたいなホンマの話~」
・配信:7/20(金)よりNetflixにて全世界190カ国独占配信開始

<キャスト>
中尾明慶  玉山鉄二
尾上寛之 六角慎司 宇野祥平 中村靖日 八十田勇一
木南晴夏 中村育二 濱田マリ
生瀬勝久 手塚理美 温水洋一 池脇千鶴 / 佐藤浩市 /
山崎銀之丞 徳永えり 楊原京子 金井勇太
ジミー大西 明石家さんま

<スタッフ>
企画・プロデュース:明石家さんま
監督:光野道夫
脚本・脚本監修:大岩賞介
脚本:山浦雅大 麻倉圭司
主題歌:MISIA(アリオラジャパン)「最後の夜汽車」 作詞・作曲:甲斐よしひろ
制作プロダクション:共同テレビジョン
制作:吉本興業 製作:YDクリエイション
In Association With Netflix
(C)2018YDクリエイション