お台場で行なわれた真夏のアイドルの祭典「東京アイドルフェスティバル2018」 お台場で行なわれた真夏のアイドルの祭典「東京アイドルフェスティバル2018」

世界最大のアイドルフェス、東京アイドルフェスティバル2018(以下、TIF)! 8月3日(金)、4日(土)、5日(日)の3日間。今年も東京・お台場で行なわれた。

前編に引き続き、中編では8月4日の様子をお届けする!

* * *

■NMB48[HOT STAGE]

NMB48 NMB48

先日、絶対的センター山本 彩の卒業が発表されたばかりのNMB48。初参戦となるTIFは次世代エース・山本彩加に上西 怜、梅山恋和(うめやま・ここな)といった5期生を中心に、ドラフト生らを集めたフレッシュな"カトレア組"が登場。

まずはNMBの夏ソング『イビサガール』で会場を盛り上げ、『ササササイコー』、『僕らのユリイカ』と一気にたたみ込む。MCでは植村 梓が「どうですか? カワイイですか? みなさん推しメンを見つけて帰ってください!」とコメント。たしかにNMB48の若手はみなカワイイし勢いがある。

後半戦は『北川謙二』、『ワロタピーポー』、『青春のラップタイム』など、アップテンポな曲を若さあふれる元気なステージで最後まで駆け抜けた。ラストに山本彩加が『山本 彩さんが卒業発表しましたが、これからはカトレア組がNMB48を引っ張っていける存在になれるように頑張りたいです!』と力強く宣言。

この日は登場しなかったが、ドラフト3期生、6期生からも注目メンバーが現れるなど、ポスト山本 彩に向けた新人たちの熱い戦いが始まっている。

■2o Love to Sweet Bullet[DREAM STAGE]

2o Love to Sweet Bullet 2o Love to Sweet Bullet

昨年、ナツ☆イチッ!クイーンに輝いた藤野志穂がリーダーを務める"トゥラブ"こと、2o Love to Sweet Bullet。パステルブルーの爽やかな衣装をまとった彼女たちのステージは、EDM風のカッコいい楽曲『BABY♥KISS』からスタート。フリフリでカワイイ衣装と、メンバーのツンとしたクールな表情のギャップがたまらない!

そして2曲目は、1曲目とはうって変わってポップな『ラ☆ブリィズム』。青空のもと、メンバーの笑顔が弾ける! 無表情で"クール"なトゥラブと笑顔で"キュート"なトゥラブ――その対照的な表情に、たった2曲で釘付けになる。

MCを挟んだあとは、まさにアイドルライブといった応酬が繰り広げられる。アッパーチューンな『Noah』の最中、メンバーが「回すよ~♥」とカワイく呼びかければ、ファンは腕を大きく振り回す。新曲『ひとりじめしたい』を経た5曲目『日比谷線ダイヤリー』では、メンバーのスキップを真似るファンの姿も見受けられた。

そしてラストは、激しい振付をシリアスな顔で踊る『Vega』。フリフリの衣装をはためかせ、高速で踊るメンバーと、彼女たちに負けじと「タイガ!ファイヤ!」と高速MIXで応えるファン。この日の2番手としてドリームステージに出演した彼女たちは、フジテレビ本社前に見事なアイドル現場の空気を作り出していた。

■空野青空[FESTIVAL STAGE]

空野青空 空野青空

2016年のナツ☆イチッ!オーディションのファイナリストにもなった、「北陸の蒼い彗星・あおにゃん」こと、空野青空。2日目、このフェスティバルステージがファーストアタックとなる。

戦闘髪型であるツインテールで登場。その常識を超えた「ガンダムオタク」である彼女にとって、「ガンダム前」と呼ばれているフェスティバルステージはまさにホーム。あらたに作られたユニコーンガンダムと、1分の1サイズのガンダムヘッドに挟まれるという彼女にとって至福のステージだ。
登場とともに『ν-Warrior』を熱唱!

全力で歌い終わったあとはガノタ全開のMCへ。

「ありがとうございます! と、いうわけでやってきました! 記念すべき最初の戦場は、このガンダム撃墜ステージこと、フェスティバルステージです! ここには昨年あおにゃんが撃墜したであろう、RX-78(初代ガンダム)のヘッドが飾られていま~す! 取ったど~!」

いつの間にか彼女の中では、ガンダムの首は自分が取ったことになっているらしい。さらに「今年はあそこにそびえ立つ、RX-0(ユニコーンガンダム)を撃墜したいと思いま~す!」と犯行予告。

続く『3×ザ・ライド』では落ちサビでユニコーンに向かってガンダムケチャを発動。アツい! 3倍くらいアツい! 歌いながらビシッと決めるポーズがいちいち決まる。こぶしを突き上げる観客とともに、最後は「ジークジオン!」「ジークジオン!」の大合唱。最高にアツすぎだ!

そして最後は「大大大好き!」と叫びまくる『DDD』へ。どんなステージでも動きまくり笑顔を絶やさない。3倍速く、3倍強く、"アイドル"を撃ちまくる! 今年も北陸の蒼い彗星は健在だった。

■なんキニ![DREAM STAGE]

なんキニ! なんキニ!

続いてドリームステージに登場したのは、"なんかキニなる......"がコンセプトの、なんキニ!。結成1年未満にもかかわらずいきなりTIFに出演し、前日のメインステージ争奪戦では2位を獲得するなど、今年大注目のグループだ。

和柄のオレンジの衣装で登場した4人がまず披露したのは、夏感いっぱいの『ブンブンブン』『透明色のファンタジー』という2曲。メンバー全員が美少女のグループだが、なかでも圧倒的な透明感を持つ長南(ちょうなん)舞に目を奪われる。どれだけ踊っても乱れない前髪......これぞ"ザ・アイドル"!

続いては、キラキラとした歌詞とどこか切ないメロディの楽曲『僕を未来へ運ぶ列車』。長南以外のメンバーも、彼女に負けじとアイドルらしさ全開で歌い踊る。ラストはアップテンポな楽曲『バラバラパズル』で、ステージを軽やかに締めくくった。

パフォーマンスの細かい部分にはまだ1年目らしさが残っていたが、逆にそれが初々しくてカワイイ! これからの活躍に期待がふくらむステージだった。

■AKB48 team8[HOT STAGE]

AKB48 team8 AKB48 team8

今やTIFの常連と言っていい、47都道府県の代表メンバーが集まったAKB48チーム8。この日登場したのは小栗有以(おぐり・ゆい)、倉野尾成美(くらのお・なるみ)、岡部 麟(りん)、坂口渚沙(なぎさ)ら初期メンバーを中心とした16人。

1曲目は今や48グループを代表するダンスメンバーである横山結衣が初センターをつとめるチーム8ソングの『蜂の巣ダンス』。曲名の通り蜂をイメージさせる動きのあるダンスで会場を驚かせる。そしてチームWESTの『思春期のアドレナリン』、チームEASTの『星空を君に』と続ける。

中盤のMCで倉野尾は「今回のTIFは先輩方や、地方のグループフレッシュメンバーのステージもある」と他の公演も意識しつつ、「ここが一番になるぐらい盛り上がっていきましょう!」とファンをあおった。

後半戦は『ハイテンション』『LOVE TRIP』と、AKB48のシングル曲を、ついにAKB48グループのセンターにまで成長した小栗有以が中心となってパフォーマンス。ラストは、今やチーム8のテーマソング『47の素敵な街へ』。「言いたいことがあるんだよ~」から始まるファンの熱い口上はもはや曲の一部。最後まで熱々のステージを繰り広げた。

■ふわふわ[HOT STAGE]

ふわふわ ふわふわ

ホットステージに登場したのは、結成3年目にして念願の初出演を遂げた、ふわふわ。原宿で毎週末に公演を行ない、絶大な人気を誇る「原宿駅前パーティーズ」のメイングループだ。

ピンクと黒の衣装を身にまとったメンバー10人がステージに現れると、まずは『晴天HOLIDAY』を長い手足を存分に使って歌い踊る。平塚日菜(ひな)が「やってきました、ホットステージ!」と叫ぶと、中高生が中心のメンバーたちは、初出演にはしゃぐ気持ちを全身で表現する。

その後は、サッカー部の男子との青春を歌った『Candy Love』や、Cメロのラップが印象的な『恋花火』、そして『サマーラブ』や『夏のアルゴリズム』......と、TIFにふさわしい"夏曲"を連発!

中野あいみのパワフルなダンスが眩しい『ジェリービーンズ』に続いて、ラストはアッパーな『卒業ハイタッチ』でタオル回しを行ない、会場に一体感を生んでフィニッシュ。原宿での盛り上がりをお台場でも爆発させた彼女たちは、ホットステージにキラキラとした余韻を残していった。

■amiinA[SMILE GARDEN]

amiinA amiinA

今年もスマイルガーデンにふたりの少女が帰ってきた。ami(17歳)、miyu(16歳)のふたりからなるアイドルデュオamiinA。彼女たちにとってスマイルガーデンは、昨年のTIFで大きく注目された「約束の地」だ。

「ただいま、スマイルガーデン」

黒頭巾&フード姿で現れたふたりは、そう言って5月に発売された5枚目シングル『Jubilee』からスタート。爆発するような歌いだし。声の力がまるで剣のようだ。一気にスマイルガーデンをamiinA色に染めていく。「連れてってよ、BOY!」と歌う少女たちに、会場が連れて行かれる。すごい! このパワーはなんなんだ!?

そのまま瞬きをする間もなく、『Caravan』へ。ウェスタンなイントロにテンションが上がる。くるくるまわる。キックを乱れ撃つ。こぶしを上げて会場をアオる。最高の夏じゃないか!

続く曲は、『Drop』。歌いだす前のmiyuの「amiinA、amiに出会わせてくれてありがとう、『Drop』」というセリフに心掴まれる。昨年よりも、ふたりの少女の心が大きく変わっているように見えた。お互いがお互いを求めている。アイコンタクトでときに微笑み合い、ときには「行こう!」と確認し合う。その様子に胸がグっと打たれる。

4曲目の『lilla』に続いて、最後は彼女たちの一番大事な曲『Canvas』へ。みな右手の人さし指を立て、「あ~~~! あああ~~~!」と叫ぶ。孤高な彼女たちの魂が今年もスマイルガーデンに響きわたる。まただ。今年も泣いてしまう。こんなに壮大な世界を、この少女たちは背負い、大きく大きく広げ続けているのだ。この世界に触れたものはみな、浄化されることだろう。

■BiS 2nd[HOT STAGE]

BiS 2nd BiS 2nd

2016年の再始動後、今年3月から10人組となったBiS。現在はファン投票上位4人による「1st」、そして5位以下の6人による「2nd」に分かれてライブを行なっている。もちろんTIFでも、2組に分かれての出演だ!

BiS 2ndが一発目に選んだのは代表曲『BiSBiS』。哀愁あるギターイントロが流れ、メンバーがステージに現れれば、研究員(BiSファンの意)は盛大な「うりゃおい!!」コールでお出迎え。明るくも切ないこの曲を、6人が全力で歌い踊る。

2曲目のイントロが流れると...また『BiSBiS』だ! 同じ事務所「WACK」に所属するBiSHが毎年TIFで行なっている"1曲リピートセトリ"を、BiSも組んできたのだ。金髪や赤髪、そして白塗り(!)......外見だけをとっても個性的なメンバーが、気持ちをひとつにして同じ曲を繰り返す。こうなったらもう、こちらも"WACKのやり方"に全身でぶつかるしかない。続く3曲目も、当然『BiSBiS』だ!

そしてラスト4曲目は、なんと別のWACK所属グループ・GANG PARADEの『GANG2』。3月まで"ギャンパレ"にトレード移籍していたアヤ・エイトプリンスが、まさかBiS復帰後に歌うことになるとは! まさかのカバーに研究員は大歓声と拳を上げる。1曲リピートだけにとどまらない、BiSなりのTIFを目の当たりにした。

■BiS 1st[HOT STAGE]

BiS 1st BiS 1st

BiS 2ndに続いて登場したBiS 1st。再始動時のメンバーで、いまやグループの大黒柱まで成長したゴ・ジーラや、エース格のパン・ルナリーフィ、今年3月に加入したネル・ネールとトリアエズ・ハナの新メンバー2名で構成される4人組だ。

2nd同様に『BiSBiS』から始まった彼女たちのステージは、2曲目、3曲目、4曲目......と、やはり『BiSBiS』を繰り返していく。3月に卒業したBiSの中心人物プー・ルイの「意志を継ぐメンバー」といわれているゴ・ジーラ&パンの2名が引っ張るさまは、まさにBiSの精鋭。ハナも持ち前の歌唱力を存分に発揮し、ネルも大きな目をひん剥きながら感情を込めて歌う。

メンバーも研究員も汗でドロドロになりながら迎えた5回目の『BiSBiS』を経て、ラスト6曲目は2nd同様、ギャンパレのカバーでキラー曲『Plastic 2 Mercy』。曲中のハイキックを繰り出す振付は、10年以上空手を続けていたゴ・ジーラが最も美しかった。

途中、ハナが「平成最後の夏、盛り上がっていきましょおお!!」と叫ぶ場面があった。解散からの再始動やトレード移籍、中心メンバーの卒業、グループの分裂など、数々の"事件"を超スピードで経験していくBiS。元号が変わっている来年の夏も、BiSやWACKがアイドル界を盛り上げているに違いない。

■AKB48フレッシュ選抜[SMILE GARDEN]

AKB48フレッシュ選抜 AKB48フレッシュ選抜

AKB48の16期生とドラフト2期、3期から結成されたフレッシュ選抜。シングル曲の選抜に抜擢された山内瑞葵を中心にメキメキと力をつけている久保怜音、西川 怜。また16期生公演のセンターだった田口愛佳、鈴木くるみ。ドラフト3期生で人気爆発中の矢作萌夏など。3年後にはきっとAKBの中心となっているであろうメンバーたち。

そんな彼女たちの初ステージを見るべく野外ステージのスマイルガーデンにはたくさんのファンが。1曲目は王道ソングの『会いたかった』。そして今回のメンバーのためにアレンジされた『チームFresh推し!』。それぞれメンバーが紹介されるたびに大きな歓声に包まれる。そして『大声ダイヤモンド』、『さよならクロール』と野外ライブの定番曲。そしてラストは会場全員が踊って盛り上がる『恋するフォーチュンクッキー』。

体感温度は40度もあろうかという灼熱の太陽のもと、AKB48のフレッシュメンバーによる爽やかなパフォーマンスは集まったファンに一時の清涼感を与えてくれたに違いない。

■九州女子翼[SKY STAGE]

九州女子翼 九州女子翼

九州発の少女5人グループ・九州女子翼。週刊プレイボーイ33号の企画「TIFの美少女アイドル・注目グループ」で、HKT48・指原莉乃や、わーすた・廣川奈々聖が"注目すべき美少女"に挙げた実玖(みく)が在籍するグループだ。

彼女たちのステージは、ダイナミックなダンスが印象的な『TAKE WING』からスタート。全員がソロパートをもち、センターを次々に入れ替えていくパフォーマンスからは、メンバー全員の実力の高さを感じられる。真っ赤なワンピースから伸びる白い腕、その背景にはブルーの空......コントラストが眩しい!

その後は、繊細なピアノイントロから始まるクールなダンスナンバー『絶対零度』や、サビで腕を左右に振り上げる『fair wind』を続けて披露し、ステージを締めくくる。"翼"を羽ばたかせるようなその振付を一緒になって踊るファン。スカイステージは、まさにひとつになっていた。

最後に実玖は、「このスカイステージから全国、世界へ飛び立っていきます!」と力強く挨拶。アイドルライブの会場としては最も高い場所であろうこのスカイステージから、彼女たちは大きな翼で羽ばたいていくはずだ。

■PiXMiX[SKY STAGE]

PiXMiX PiXMiX

続いてスカイステージに登場したのは、東宝芸能所属のアイドルグループ・PiXMiX。昨年7月に行なった東京アイドル劇場での初パフォーマンスから1年、TIFは初出場となる。

まず披露したのは『約束』。MISAKIとAIRIのユニゾンから始まる、ポップで可愛らしさが満点の楽曲。そして、ソロパートとユニットダンスが特徴的な『pump it up』へと続いていく。この曲では、KOHIMEの伸びやかな歌声がひときわ目立っていた。綺麗なロングトーンを披露しながらもダンスもしっかりとこなし、もちろんファンへの笑顔も忘れない彼女。デビュー2年目とは思えない実力の高さに、すっかり心を奪われてしまった。

それにしても、直前の九州女子翼が着ていた赤いワンピースとは正反対の、空に溶けてしまいそうなブルーと白を中心にした衣装は、一層彼女たちの純真さを引き立てているようだ。......そうこうしているうちに、ステージは早くもラスト一曲に。

新曲『君に届け』を披露。"これが恋なんだ"という歌詞を聞いた瞬間、なぜだか「そうか、これが恋なのか...」と妙に納得してしまう――そんな甘酸っぱい、幸せなステージであった。

■WACK presents DREAMLIGHTS in TIF[HOT STAGE]

WACK presents DREAMLIGHTS in TIF WACK presents DREAMLIGHTS in TIF

今年のTIFの2日目。それはWACKファミリーの日となった。多くのファンたちがホットステージに入るために並ぶ並ぶ。そんなWACKファンのお目当てのひとつが、この『WACK presents DREAMLIGHTS in TIF』だ。

これには、WACK所属のグループから選抜されたスペシャルユニット「SAiNT SEX」(プー・ルイが卒業したので、代わりにBiSのゴ・ジーラが加入)と「HOLY SHiT」が出演。さらになぜかガングロメイクでソロデビューしたGANG PARADEの「ユイ・ガ・ドクソン」もステージに立った。

それぞれのユニットのパフォーマンスに、パンパンになったホットステージがうねりをあげる。大きな歓声。ユイ・ガ・ドクソンには、ちょっと笑いも。

そしてラストに登場したのは、BiSHのアイナ・ジ・エンド&松隈ケンタ(WACK所属のアイドルの楽曲をほぼ制作する音楽プロデューサー)。昨年の11月に歌舞伎町にある週プレ酒場で行なわれた「アイナ・ジ・エンド・アコースティックソロライブ」を彷彿させる。

「みなさんアイナ・ジ・エンドです。よろしくおねがいします」

そう挨拶した後、BiSHのナンバー『Is this call??』を歌う。アコースティックギターがホットステージ・Zeppダイバーシティに響きわたる。ハスキーな彼女の声に背筋がゾクゾクッとする。週プレ酒場の彼女のアコースティックライブには、2500人の応募があった。65人の当選だった。そのときに多くのファンが言った。「2500人ならZeppが埋まるじゃん。Zeppでやれ!」と。

続く『SMACK baby SMACK』。アイナのハスキーな声とアップテンポが絶妙にマッチする。しゃくるようにコブシを効かす。ソウル&奇声なアイナ流コブシがビッシビシと乱れ飛ぶ。観客は割れんばかりの歓声を送る。

「アイナ・ジ・エンドと、松隈ケンタさんと(パーカッションの)吉岡さん。今日は、TIF史上はじめて、おじさんふたりを引き連れてやってきました」とアイナが紹介すれば、「いや、俺からすると、アイナがメインじゃなくて、俺がメインで、アイナがサポートよ? サポートボーカル(笑)」

と、おじさんギャグを飛ばす松隈ケンタ。それに観客も「フゥー!」と、よくわからない歓声を上げる。そんなあたたかい空気の中、ラストは『屋上の空』。松隈ケンタが13年前にBuzz72+(バズセブンツー)でメジャーデビューしたときの楽曲だ。

尊敬する松隈ケンタの大切な楽曲を大切に歌うアイナ。なんという贅沢な時間だろう。アツくも、心を静かに波打たせてくれる。外の熱気を忘れてしまうステージだった。

■東京女子流 with 大原優乃[SMILE GARDEN]

東京女子流 with 大原優乃 東京女子流 with 大原優乃

現在4人となった東京女子流と元Dream5メンバーで、今やグラビア業界を席巻中の大原優乃が、この日限りのスペシャルユニットを結成! オープニングは東京女子流の『頑張っていつだって信じてる』。金色のボンボンを持った大原は『TIF大好きー!』と叫ぶ! それにこたえる大歓声!

続いてDream5『僕らのナツ!!』をキレッキレのダンスで踊る5人。同じ事務所でほぼ同期という5人、息もピッタリだ。MCでは3年ぶりのTIFに喜びの声をあげる大原。そして中江友梨の「忘れられない日にしましょう!」のかけ声とともに『きっと忘れない、、、』。

そしてラストは『ゆうやけハナビ』。大原が加わることでどうなってしまうのかと思ったが、まったく不安はなく、「この5人で続けていけばいいのでは?」と思わせるほどの出来だった。

■BNK48[SKY STAGE]

BNK48 BNK48

タイ・バンコクを拠点に活動するBNK48がTIFに初参戦! ファーストパフォーマンスは湾岸スタジオの屋上にあるスカイステージから。真夏の屋上ということで体感温度は35度以上! だが彼女たちのステージを見逃すまいとステージ前には多くのファン。中にはバンコクからやってきたという猛烈な追っかけもいたという。注目はAKB48総選挙でランクインしたセンターのチャープランと、可愛さで日本のファンを骨抜きにしているミュージック。

最初の曲は『会いたかった』のタイ語バージョン。自己紹介ではそれぞれが日本語で挨拶。唯一の日本人メンバーであり、BNKの立ち上げに合わせて移籍した伊豆田莉奈(いずた・りな)が教えたというだけあってバッチリ。チャープランの「日本語のニックネームは『しゃぶしゃぶちゃん』」という高度なギャグ(?)もハマっていた。

そしてこれまたタイ語の『大声ダイヤモンド』、ラストはタイでYou Tubeの再生が1億回を突破し、国内で社会現象にもなっている『恋するフォーチュンクッキー』。バンコクでも「おにぎりー」とダンスに合わせて日本語でコールするのが流行っているということで、集まったファンと一緒になって「おにぎりー」コール。わずか15分であったが、記憶に残るステージを終えた。

今年、TIFはバンコクでアイドルフェスを行ない、日本からもアイドルがバンコクへ。3日間で1万5000人ほどのファンが集まったという。日本とタイのアイドルの架け橋としてBNK48にかけられた期待は大きい!

■フィロソフィーのダンス[HOT STAGE]

フィロソフィーのダンス フィロソフィーのダンス

8月6日の結成3周年記念日を直前に控えた"フィロのス"が、ついにHOT STAGEに登場。1曲目に選んだのは、"私の番"を意味するタイトルの新曲『イッツ・マイ・ターン』。初のメインステージに対する意気込みを感じさせるチョイスだ。

続く『アイドル・フィロソフィー』、『アイム・アフター・タイム』やその後のMCでは、佐藤まりあや日向ハルが観客に「皆さん一緒に踊りましょう」「好きに踊って」と、それぞれ呼びかける。しかし、言われなくても踊りたくなってしまうのが彼女たちのライブ。それは彼女たち自身が歌とダンスを、心の底から楽しんでいることが伝わってくるからだ。

直後の『コモンセンス・バスターズ』では、ただでさえ茶目っ気のある振付に"高速まばたき"というエッセンスを加える遊び心を見せる。続く『ライブ・ライフ』では"ずっと歌わせて 生きるってそのことだ"という歌詞を、屈託のない笑顔で歌う。全力で楽しんでいる人のことは、誰だって真似したくなるに決まっている。

その後、「まだまだ踊ろう!」という奥津マリリの言葉のもと『ラブ・バリエーション』を歌い踊り、最後は一番の代表曲『ダンス・ファウンダー』。『イッツ・マイ・ターン』『ライブ・ライフ』の歌詞にもある"新しいダンス"というワードは、昨年リリースしたこの曲から生まれた、今の彼女たちのテーマだ。「新しいダンスとは?」――その答えは、彼女たちのライブで踊ればわかるはずだ。

■アームレスリング大会 Powered by TOWER RECORDS ザ・感謝祭[DOLL FACTORY]

アームレスリング大会 Powered by TOWER RECORDS ザ・感謝祭 アームレスリング大会 Powered by TOWER RECORDS ザ・感謝祭

「アイドル界で誰が一番腕相撲が強いのか? ここで決めたらええんや!」

そんなふうに誰かが言ったのかは知らないが、今年もこの戦いの時間がやって来た。タワーレコードが行っているイベントの名物企画「アイドル腕相撲大会」が今年もTIFにやってきたのだ。

昨年は、"最強"の名をほしいままにしている元アイドリング!!!の酒井瞳が、元王者であるアップアップガールズ(仮)の森咲樹や、ニューヒロイン・ハコイリ♡ムスメの我妻桃実(前回、本戦で森を撃破)を倒し、絶対王者となった。

今回は、酒井を森・我妻が倒せるのか? それとも新しい勢力が現れるのか? 全アイドル界が注目する中、戦いの火ぶたは切って落とされた。さらに酒井は「この戦いでアームレスリングを卒業する」と宣言。勝ち逃げをしようという魂胆だ!

予選会を勝ち上がったメンバーは6人。増田柚那(アイドルカレッジ)、佐保明梨(アップアップガールズ(仮))、夏目みさき(chuLa)、高萩千夏(アップアップガールズ(2))、榎本あやせ(Q-pitch)、関根ささら(放課後プリンセス)というメンバーに、シード枠の森咲樹、我妻桃実という8名でトーナメントを戦うことに。そのトーナメントを制した者が、絶対王者・酒井にチャレンジできるという。

さまざまなベストバウトがあり(省略)、準決勝に残ったのは、森 咲樹と我妻桃実。やはり実力者ふたりの対決に。昨年、我妻に負けてしまった森。気合いが入る。何度も手を握り直し、有利なポジションを取ろうとするが、「レディ、ゴー!」の掛け声がかかった1秒後、なんと瞬殺されてしまった! 「え?」という表情の我妻。

対する森は、昨年と同じように号泣! その様子を見た酒井は「アプガすぐ泣く~」とヒールレスラーのようにカンラカンラと高笑いを見せる。森はあまりの悔しさにボロボロと落涙しながら、爆発しそうな表情。しかし、そのまま奥歯を噛みながら鬼の形相で「ありがどうございばじだぁ!!」と何かを飲み込んだ。

そして、いよいよ迎えた決勝戦。昨年は完敗を喫した我妻は、「アイドリング!!!さんのファンだったので酒井さんと濃厚接触が出来たのでうれしかったです!」と強がっていたが今年は本気だ。このために辛い筋トレや、海での走り込みなど、肉体改造を行なってきた。アイドルなのに。ハコイリ♡ムスメなのに。

そんな我妻を余裕で向かい入れる酒井。しかし、お互いの手が合わさった瞬間、酒井の顔色が変わった。「え? マジ?」という表情。あきらかに焦っている。

「レディーゴー!」その言葉が言い終わるか終わらないか、一瞬で我妻の隆々とした二の腕が勝利を引き寄せた。勝者・我妻! その瞬間、会場は大騒ぎ!「マジか!」「すごい!」「時代が変わった!」と誰もが目の前の事実に歓声を上げた。

負けた瞬間、何が起きたのかわからなかった酒井も、「強くなったな......。もう思い残すことは何もない」と、なぜか上から目線で勝利を認めたのだった。チャンピオンベルトを巻いた我妻は「私が現アイドル界、最強の女です!」と勝利の雄叫び。ハコイリ♡ムスメなのに。

と、いうわけで、まさかの新時代到来! これからアイドルアームレスリング界はどうなっていくのだろうか? 

■GANG PARADE[HOT STAGE]

GANG PARADE GANG PARADE

BiSのパフォーマンスから90分後、1st、2ndがそれぞれ1曲ずつカバーしたGANG PARADEがHOT STAGEに登場。BiSが自身の代表曲を連発するなら、こちらも負けじと代表曲『Plastic 2 Mercy』を連発!

メンバー全員で肩を組み、飛び跳ねながら上手下手を移動すれば、遊び人(ギャンパレファンの意)も負けじと肩を組みジャンプ! 9人+1000人超が飛び跳ねる振動に、ここがライブハウスということを思い出させられる。彼女たちは「まだ足りなぁあい!!」というシャウトを響かせながら、誰ひとりとしてフラつくことなく5回連続で同じ楽曲を演りのけた。

最後の6曲目は、やはりギャンパレによるBiSのカバー。BiS 2nd&1stが計8回披露した『BiSBiS』のイントロが聴こえると、喜びの悲鳴がHOT STAGEを包む。BiSを常にライバル視してきた者、BiSに入りたくてオーディションを受けた者――9人は、それぞれ違う想いを抱えてカバーしたはずだ。

3月までBiSに移籍していたカミヤサキは、彼女のギャンパレ復帰後にBiSを脱退してしまった元メンバー・ももらんどのパートを力強く歌っていた。その歌声には寂しさや悔しさ、「彼女のことを忘れない」という決意......さまざまな感情が乗せられているように思えた。

■EMPiRE[DREAM STAGE]

EMPiRE EMPiRE

日没後のフジテレビ本社正面・DREAM STAGEに姿を現したのは、昨年結成し、今年TIF初出演を迎えたEMPiRE。週刊プレイボーイ33号にも登場した、今年注目のWACK所属グループだ。

「WACK所属ということは、やはり同じ曲をリピートするセットリストで来るだろう」。誰もが予想していた展開を裏切らず、初っ端から『Buttocks beat! beat!』を4回連続で披露。この曲はメンバーがサビでひたすら「お尻ペンペン!」と叫びつつ自分のお尻を叩くのだが、4連発ともなると約180回叩いたことになる。

中盤、メンバーのMiDORiKO EMPiREが「全員(お尻を)真っ赤にしてやるかな!!」と叫んでいたが......その時点でもう真っ赤だよ!

先の3グループにも言えることだが、1曲リピートでも見る者を熱狂に導くことができるのだから驚きだ。プレス席の近くにいた、一見さんであろう他アイドルのTシャツを着たファンですら、2回目のイントロで「来た! これだ!!」と歓喜の雄叫びを上げていた。

最後は予想通り、先輩グループ・BiSHの『BiSH―星が瞬く夜に―』をカバー。互いの曲を歌い合ったBiSとギャンパレ、先輩グループをカバーしたEMPiRE。「ここまで来ると、この日のトリを務めるBiSHも...」「いや、ここで裏切ってくるのが......」。そんなことを考えさせ、EMPiREはステージを終えた。

■PASSPO☆[SKY STAGE]

PASSPO☆ PASSPO☆

TIFがはじまった9年前から、ずっと飛び続けてきたPASSPO☆。9月22日の中野サンプラザで、約9年のフライトを終える。

この1年~2年、多くのアイドルグループが解散・休止をしてきた。しかし、PASSPO☆だけは、そんなことにならない。そう信じていた。「おばあちゃんになるまでPASSPO☆続けるよ!」そう言っていた彼女たちだったが、今年の5月に卒業を発表してしまったのだ。

彼女たちにとって最後のTIF。最後のスカイステージ。一体、どんなステージを見せてくれるのだろう。多くの観客が見守る中、最初に歌ったのは「PASSPO☆最強の"泣きソング"」と呼ばれる『Pretty Lie』だ!

「誰でもきっと~」と、玉井杏奈が歌いだせば、ファンは「あー、あんにゃー!」とこたえる。「コンプレックス抱えて生きている~」と、増井みおと藤本有紀美が歌えば、さらに「みお、ゆっきー!」とコールする。このコール、一体どれだけしてきたのだろう。この曲を聞くたびに何回泣かされてきたことだろう。今日もやっぱり涙が出てくる。

続く『バスタブ』、『Fairy Tale』というファンも大好きな曲が続く。なによりも「アイドルファンのため」「パッセン(PASSPO☆のファンの意)のため」のセットリストだ。なんでだ、なんでこんなにすごい、こんなにカッコイイ、こんなに優しいグループが無くなってしまうんだ? もちろん、彼女たちの気持ちも都合もわかっている。しかし、彼女たちのパフォーマンスを見ていると、そう思わずにはいられないのだ。

PASSPO☆のスカイステージ最後の曲は、『少女飛行』。彼女たちがメジャーデビューでオリコンウィークリー1位を獲得した、最強の武器だ。2011年。アイドル戦国時代に颯爽と現れた彼女たちは、"空中戦"と呼ばれる全力ジャンプや、回転移動でくるくると変わるフォーメーションでファンの心をトリコにしていった。

あの日、彼女たちに夢中になった自分を思いだす。誰もが大好きだったPASSPO☆は、最後の最後まで、最高だった。

■まねきケチャ[SMILE GARDEN]

まねきケチャ まねきケチャ

2日目スマイルガーデンのトリを務めるのは、圧倒的ビジュアルと中毒性のある曲でファンを狂わせているまねきケチャ。週プレ表紙経験もある松下玲緒菜が「みなさん最後なんですけど、盛り上がっていけますかー」とキュートな声でファンをアオる。

1発目はファンと一緒に沸き上がるおなじみの『冗談じゃないね』。そしてそれぞれのメンバーが歌唱力で聞かせる『キミに届け』。2日目最後ということもあり、観客のボルテージが上がりまくる!

ラスト前、盛り上がりすぎたファンに対して運営スタッフから深呼吸をするようアナウンスが。そしてあらためてラストはまねきケチャの最強シングルの『きみわずらい』。「全部全部、君のせいだよ」。そう歌う藤川千愛(ちあい)の声が、あまりにも強く、悲しい。TIFから20日後。8月25日に卒業を発表した彼女。今思えば、心に大きな想いを持って歌っていたのだろう。夜空に響きわたる声に震えた。

9月24日には3周年記念で初の日本武道館でのライブを決行。そこで藤川千愛も卒業する。この先のまねきケチャを思う。そんなステージだった。

■BiSH[HOT STAGE]

BiSH BiSH

思い返せば、伝説は2015年に始まった。3年前、BiSHはTIFの初ステージでいきなり『BiSH―星が瞬く夜に―』を3連発。以来、TIFでは持ち時間の99%をこの曲に費やしてきた。真意はわからないが、彼女たちにとってのTIFとは"この曲でどれだけ盛り上げられるか"を試す場所なのかもしれない。

この記事をここまで読んできた人はご存知のとおり、ほかのWACK所属グループまでをも巻き込む"お家芸"を作り出したのは、紛れもなく彼女たちだ。そんな彼女たちが今年の一発目に選んだのは......『BiSH―星が瞬く夜に―』! TIFやBiSHを知る者は全員、口を揃えてこう言うだろう。「知ってた!」。

それでも熱狂を生むのが彼女たち。結論からいえば今年はこの曲を5回披露したのだが、「好きなように暴れてくれます!?」「この場所にふさわしく、HOTにしようぜ!」「次が何曲目とか数えてんじゃねぇぞ!」と隙さえあれば煽り、4回目以降はファンもろとも全編ヘッドバンギング。ファンの怒号や手拍子は回数を増すごとに大きさを増す。おかしなことに、2階で座っているだけでも汗ばんでくる。

そしてついに、この日5回目――3年間で25回目の『BiSH―星が瞬く夜に―』を終える。残り時間は5分。ラストに選んだのは、後輩グループ・EMPiREの『Buttocks beat! beat!』。彼女たちがお尻を叩くこの光景......予想できていたにもかかわらず、初出場の2015年から見てきた者の胸に謎のカタルシスを生んだ。

4グループの5ステージを合わせて、たった5曲で半狂乱を作り出したWACK。我々はまた、プロデューサー・渡辺淳之介氏とWACKメンバーの手のひらで踊らされていたのだ。

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