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週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回は、アニメ好きの彼女が今クールのおすすめ作品について語る!

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今回は、数ヵ月ぶりに新作アニメのお話です。コラム掲載時には夏クールの後半に入ってしまっていますが、今はほとんどの作品が配信サイトで見れるので、気になったものがあれば1話から見ていただきたいです。

まず、私が今一番ハマっているのが『ハイスコアガール』です。これは『ストリートファイターⅡ』をはじめとする格闘ゲーム華やかなりし90年代を舞台にした、マンガ原作のアニメなんですが、当時のゲームの本物のプレイ映像が取り込まれているなど、再現度がすごいんです。

"投げハメ"や『ファイナルファイト』の"錬金術"などの裏テクも丁寧に解説してくれる上に、音楽をゲーム音楽の大家である下村陽子さんが担当していたり、ちょっと世代が下の私でも「わかるわかる!」と懐かしめるつくりです。

当時の殺伐(さつばつ)としたゲームセンターの雰囲気もよく出ていて、私も昔、ゲーセンで筐体(きょうたい)に置いていた硬貨を盗られたことを思い出しました(苦笑)。

このアニメがすごいのは、ゲーセンあるあるや懐古(かいこ)に終わらず"青春もの"をしているところです。特に最初のヤマ場であるヒロインとの別れのシーンには涙しました。正直、絵柄としてはかわいいと思えないヒロインも、すごくかわいく見えてきます。新作のアニメでこんなに泣いて笑ったのも、次週がこんなに楽しみになったのも久々ですね。

ギャグ系でオススメなのは『Back Street Girls―ゴクドルズ―』。こちらもマンガ原作なんですが、内容は「ヘタを打った極道が性転換・全身整形手術を受けさせられてアイドルになる」というくだらないもの(笑)。よくネタ切れしないなと感心しながら笑ってます。

『ゴクドルズ』と同じ裏社会ものが「カイジ」シリーズのスピンオフ『中間管理録トネガワ』。横暴な上司を喜ばせるために、部下たちと信頼関係を築きながら"悪魔的余興"を考えるという、中間管理職の悲哀を描いた恐ろしくもなんともない作品です(笑)。

黒服の部下たちの声を石田彰さんや小山力也さんなど大御所が担当していたり、「ざわ...」を芹澤優(せりざわ・ゆう)さんや花澤香菜(かな)さんら、名前に「ざわ」のつく方が担当していたりと、変なところにこだわりがあるのも楽しいですね。

そして、謎めいた設定が魅力のロボットアニメ『プラネット・ウィズ』。水上悟志(さとし)さんが描き下ろしたマンガのネームを元にした作品なんですが、「こうなるだろう」という予想がことごとく裏切られます。

まず、世界を守る7人のヒーローがいるんですが、主人公はこのヒーローたちと戦うんです。この時点で「どっちが悪なの?」と混乱させられますが、以後もすごいスピードで予測できない展開が続きます。

それだけに、例えば"主人公が肉を食べさせてもらえない"というちょっとした不思議にも何か謎が隠されているんじゃないかと、考察欲をかき立てられます。

また、私の大好きなP.A.WORKSと安藤真裕(まさひろ)監督のタッグ最新作『天狼 Sirius the Jeaper』は、さすがの作画クオリティで、特に昭和初期の舞台設定が好きな方にはオススメです。今期の新作アニメは豊作なので、ぜひチェックしてください。

●市川紗椰(いちかわ・さや)
1987年2月14日生まれ。アメリカ人と日本人のハーフで、4歳から14歳までアメリカで育つ。現在、モデルとして活動するほか、J-WAVE『TRUME TIME AND TIDE』(毎週土曜21:00~)、MBSラジオ『市川紗椰のKYOTO NOTE』(毎週日曜17:10~)などにレギュラー出演中。『BANANA FISH』のアニメ版は、なぜスマホの普及した現代を舞台にしてしまったのか、理解に苦しむ

『市川紗椰のライクの森』は毎週金曜日更新!