13日、興行収入250億を超えるメガヒットとなった映画『君の名は。』(16年8月公開)の新海誠監督が、最新作『天気の子』の製作発表会見を都内で行なった。
会場はたくさんの報道陣で埋め尽くされ、新海監督を始めプロデューサーの川村元気氏や川口典孝氏が登壇する際には万雷の拍手。完成前の新海作品としては、過去にない注目度の高さを思わせた。
『天気の子』は、東京にやってきた家出少年・森嶋帆高と、不思議な能力を持つ少女・天野陽菜が、天候の調和が狂っていく時代に、運命に翻弄されながらも自らの生き方を選択する物語。
来夏封切り予定の本作のテーマを着想したきっかけは、『君の名は。』の大ヒットによるものだったと話す新海監督。
「(公開した2016年の夏は)『君の名は。』のプロモーションは辛いし、街中でよくも悪くもいろんな評判が耳に入ってくることもあって、(心身ともに)消耗していたんです。そんなときに見上げた青空に、成長しきって圏界面(頂点付近)で横に広がっている積乱雲を見つけて。その雲の草原でゆっくりできたらいいなと(笑)」
変わらずセンチメンタリズムばりばりな"新海節"のコメントを披露。
さらに、『君の名は。』同様に本作も「現段階ではっきりと"ドエンタメ"の作品だとお伝えできる」と小細工なし宣言も。
「コンテを見たスタッフがボロボロ泣いている」と、川口氏もそのド直球ぶりに自信をのぞかせた。
しかしながら、ドエンタメとはいっても"単純明快"というわけではなく、「ちょっと複雑なメッセージをアニメーション映画の中に込められた賛否が分かれる要素もあり、その点は新たなチャレンジ」と、新境地的作風になることもほのめかした。
川村氏も、「『君の名は。』にはあまり生かされていなかった『空』『雲』『雨』が、最新作では存分に見られると思うと楽しみ」と映像表現の面からも期待を寄せた。
続いて、声の出演として帆高役の醍醐虎汰朗(だいご・こたろう)と、陽菜役の森七菜(もり・なな)というフレッシュな俳優ふたりが登壇。
オーディションにはなんと約2000人もの応募があったということで、その大役を掴んだ彼らは舞台上で終始緊張気味。それでも、新海監督は「このふたりでよかったと確信している」そうだ。
新海監督自身は周囲の期待によるプレッシャーはないらしく、「僕らが頑張ればいい映画になると思っているし、興行成績についてはプロデューサーの仕事だから、そっちの面がうまくいかなければ彼らのせいでしょう(笑)」とプロデューサー陣に向かってジョークを放つ余裕も。
最後に、週プレっぽいコメントをもらえないかと、記者が「本作では『言の葉の庭』や『君の名は。』のような思春期男子が興奮するポイントはあるか」と質問を投げかけたところ、「週プレらしい質問ですね(笑)」と笑ってくれたが、「思春期の男女の物語なので、恋愛映画ではないかもしれないけど、ドキッとするシーンはいろいろあります」と煙に巻かれそうになったので「そこにフェチズムは?」と追撃。
すると新海監督は、「105分のビデオコンテを見て、七菜ちゃんはそういうシーンがあったと思う?」と受け流し、話題を振られた森は「帆高は思春期だからいろんなところ凝視しちゃいますよね......」としどろもどろ。
結局、「七菜ちゃんに叱られない範囲でそういうシーンはやろうと思います」と話すに留めた。
まだまだ明かされない部分は多いが、チームひとつとなって鋭意制作中とのこと。『天気の子』は2019年7月19日に公開予定だ。