(左から)川口典孝プロデューサー、森七菜、新海誠監督、醍醐虎汰朗、川村元気プロデューサー

13日、興行収入250億を超えるメガヒットとなった映画『君の名は。』(16年8月公開)の新海誠監督が、最新作『天気の子』の製作発表会見を都内で行なった。

会場はたくさんの報道陣で埋め尽くされ、新海監督を始めプロデューサーの川村元気氏や川口典孝氏が登壇する際には万雷の拍手。完成前の新海作品としては、過去にない注目度の高さを思わせた。

©2019「天気の子」製作委員会

『天気の子』は、東京にやってきた家出少年・森嶋帆高と、不思議な能力を持つ少女・天野陽菜が、天候の調和が狂っていく時代に、運命に翻弄されながらも自らの生き方を選択する物語。

来夏封切り予定の本作のテーマを着想したきっかけは、『君の名は。』の大ヒットによるものだったと話す新海監督。

「(公開した2016年の夏は)『君の名は。』のプロモーションは辛いし、街中でよくも悪くもいろんな評判が耳に入ってくることもあって、(心身ともに)消耗していたんです。そんなときに見上げた青空に、成長しきって圏界面(頂点付近)で横に広がっている積乱雲を見つけて。その雲の草原でゆっくりできたらいいなと(笑)」

変わらずセンチメンタリズムばりばりな"新海節"のコメントを披露。

さらに、『君の名は。』同様に本作も「現段階ではっきりと"ドエンタメ"の作品だとお伝えできる」と小細工なし宣言も。

「コンテを見たスタッフがボロボロ泣いている」と、川口氏もそのド直球ぶりに自信をのぞかせた。

制作現場では「楽しいことはそんなにない(笑)」(新海)と苦心している様子

しかしながら、ドエンタメとはいっても"単純明快"というわけではなく、「ちょっと複雑なメッセージをアニメーション映画の中に込められた賛否が分かれる要素もあり、その点は新たなチャレンジ」と、新境地的作風になることもほのめかした。

川村氏も、「『君の名は。』にはあまり生かされていなかった『空』『雲』『雨』が、最新作では存分に見られると思うと楽しみ」と映像表現の面からも期待を寄せた。

続いて、声の出演として帆高役の醍醐虎汰朗(だいご・こたろう)と、陽菜役の森七菜(もり・なな)というフレッシュな俳優ふたりが登壇。

オーディションにはなんと約2000人もの応募があったということで、その大役を掴んだ彼らは舞台上で終始緊張気味。それでも、新海監督は「このふたりでよかったと確信している」そうだ。

オーディション合格を聞かされた瞬間は「ニヤニヤが止まらなかったです」(醍醐)、「自分の耳を初めて疑いました」(森)と初々しい主演声優のふたり

新海監督自身は周囲の期待によるプレッシャーはないらしく、「僕らが頑張ればいい映画になると思っているし、興行成績についてはプロデューサーの仕事だから、そっちの面がうまくいかなければ彼らのせいでしょう(笑)」とプロデューサー陣に向かってジョークを放つ余裕も。

最後に、週プレっぽいコメントをもらえないかと、記者が「本作では『言の葉の庭』や『君の名は。』のような思春期男子が興奮するポイントはあるか」と質問を投げかけたところ、「週プレらしい質問ですね(笑)」と笑ってくれたが、「思春期の男女の物語なので、恋愛映画ではないかもしれないけど、ドキッとするシーンはいろいろあります」と煙に巻かれそうになったので「そこにフェチズムは?」と追撃。

すると新海監督は、「105分のビデオコンテを見て、七菜ちゃんはそういうシーンがあったと思う?」と受け流し、話題を振られた森は「帆高は思春期だからいろんなところ凝視しちゃいますよね......」としどろもどろ。

結局、「七菜ちゃんに叱られない範囲でそういうシーンはやろうと思います」と話すに留めた。

まだまだ明かされない部分は多いが、チームひとつとなって鋭意制作中とのこと。『天気の子』は2019年7月19日に公開予定だ。