「週プレNEWS」連載中(毎週月曜更新)の漫画『キン肉マン』(ゆでたまご作)のジャンプコミックス(以下、JC)各巻の中から、ゆでたまご先生ご自身にお気に入りの原画を選んでご紹介いただくシリーズ企画"ゆで原画"第13回。

いよいよスーパー・フェニックスら運命の五王子が登場し、かつてのライバルだったキン肉マンと共闘! 宇宙の彼方から攻めてきた新たなる刺客"オメガ・ケンタウリの六鎗客(ろくそうかく)"との全面抗争に突入した現在連載中シリーズ、その最新JC65巻が現在好評発売中!

ビッグボディがまさかの表紙に! ビッグボディがまさかの表紙に!

その最新刊を読む前に...おさらいを兼ねて今回もその前巻となるJC64巻から、作者・ゆでたまごの両先生に思い入れの深い漫画原稿一枚をそれぞれ理由も添えて選んでもらった。

まずは作画担当・中井義則先生に選んでいただいたのがこの一枚(JC64巻/65ページより)。

ウルフマンとルナイトの闘いが終わり、残された正義超人軍は傷だらけの勝者ウルフマンと駆けつけたキン肉マンのふたりのみ。それに対し、襲い来るオメガ・ケンタウリの六鎗客はまだ多勢待ち構えているという圧倒的不利の中、突然の場面転換で描かれたのは誰もいない夜の超人博物館。そこに浮かぶ怪しげな影の正体は...?

――中井義則先生(ゆでたまご・作画担当)コメント

『キン肉マン』は基本的に試合のシーンが大半を占める作品なので、こういう試合以外の流れがたまに挿入されてくるのが僕にとっては新鮮で、結構、好きなんですよ。特にここまでの流れはハードな試合が多かったですから、その中でふと、こういう静かなシーンが入ってくると「あれ、突然なんだろう?」って思いますよね。

しかも目の前には五王子のマスクのみ。「これから何が一体始まるんだ?」......実はこのページは僕もそう思いながら描いてたんですが(笑)、そういう類のわくわくする感覚は、ただ闘いの場面を描き続けていくだけでは出せないところです。

どんな絵を描いて読者にわくわくしてもらおうか......というのは僕も毎回、常に考えて描いてるつもりですが、そのコマ割りやセリフ配置などの演出方法論も、こういう場面は試合の時とは全く別ものになってきます。その中で普段できないどんな見せ方ができそうか、それを考えるのが僕はとても楽しみなんです。

たとえばこのページだと、夜の館内の静けさを頭でなく感覚として得てもらうために、この前にあえて2枚、音の描写の一切ないページを置いてみたり。本当はこのページも無音のイラスト描写だけでいいかなと思ってたくらいなんですけど、そこは相棒から「さすがにこのページはセリフ入れてくれ」と要望されて、そこは折れましたけどね(笑)。

他にも会話だけで進むシーンとか、超人の登場場面とか、試合のアクション描写だけが『キン肉マン』じゃないというのを、こういうシーンで読者にわくわくして感じてもらえたら、僕としてはうれしいですね!

そしてもう一枚、原作シナリオ担当・嶋田隆司先生に選んでいただいたシーンがこちら(JC64巻/66ページより)。

ここはまさに先ほど中井先生にお答えいただいたページをめくった次のページ! 原稿用紙一枚全面を使って描かれた、博物館内で会話をする4つの超人のシルエット......それらはどう見てもかつてキン肉マンを苦しめたあの彼らを思わせるものだった!?

――嶋田隆司先生(ゆでたまご・原作担当)コメント

このシリーズは五王子が出てくるのを前提として作ってたので、シリーズ開始前からその登場をどう見せるか......というのはひとつの大きな課題でした。それを考えた時に、もう平和になって彼らも試合はしないだろうから、その戦闘用のマスクは博物館にでも飾られているんじゃないかと。博物館って平和の象徴みたいなところもあって、そこに闘いの記録が飾られているというのは、それは過去のことだというサインでもあるんですよね。

でも事情が変わった。彼らもまた闘いに戻らないといけない。それでみんな博物館に集まってきて、展示のガラスケースを自分の手で『バリーンバリーン』と割って、その手でかつて手放したマスクを再び掴みとる。

過去のことじゃない、再び闘うべき時がまさに今、来ているんだいう緊張感と期待感がそれで読者に伝わるかなと思いまして......それでこの博物館というシチュエーションと、そこに4人が集まって会話するというこの場面だけは、シリーズ開始前から決まっていたんです。それだけ長く温めていたものがようやくページという形になったので、やっぱり感慨深かったですね。それでこの一枚を選びました。

あとは4人にしたというのもポイントですね。ソルジャーマスクだけ放置状態になるんですが、そこに引っ掛かりを作ることでまた、読者にあれこれ今後の展開を想像してもらえるかなという思いもありました。ソルジャーのことは僕も知り合いの読者からよく聞かれるんですが、それも今後のお楽しみにしてもらいたいと思ってます。ご期待ください!

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この後、いよいよマリポーサ、そしてビッグボディが世界の名城を舞台にオメガの刺客と大激突! 彼らの新たな側面もたっぷり描かれる、その勝負の行方やいかに!? 今回ゆでたまご先生におさらいしてもらったJC64巻から流れで続く、発売中最新JC『キン肉マン 65巻』での激闘に乞うご期待!

●こちらも好評発売中! 『キン肉マンジャンプ vol.2』

著者:ゆでたまご 定価:550円(+税) 著者:ゆでたまご 定価:550円(+税)

★次回"ゆで原画"第14回はJC『キン肉マン』66巻(2019年3月4日発売予定)の発売直前、2月末頃にお届けいたします。お楽しみに!

★12/4~2019年1/29まで限定オープン!!