2003年4月に結成。後藤淳平(左)は1984年生まれで、大阪府出身。福徳秀介(右)は1983年生まれで、兵庫県出身。ボケ、ツッコミの担当は決まっておらず、ネタによって入れ替わる。昨年2018年に、全国4都市、7公演の全国ツアーを開催。その最終日の模様を収録したDVD『JARU JARU TOWER 2018 ジャルジャルのたじゃら』が発売中

コントも漫才もいい意味で"王道"ではないジャルジャル後藤淳平福徳秀介)。

昨年行なわれた『M-1グランプリ2018』でも「国名分けっこ」という一風変わったネタを披露し話題を呼んだ。その異端さの裏側に迫った!

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■異端児を読み解くキーワードは「即興」

――昨年の『M-1グランプリ2018』で披露された、「国名分けっこ」(福徳が国の名前の前半を言い、それに対して後藤がリズムよく続きを答える、というネタ)に象徴されるように、ジャルジャルのネタには王道っぽくないイメージがあります。これはおふたりは意識している?

福徳 よく言われるんですけど、全然こだわってません。作ったら自然とそうなっているんです。

後藤 僕らのネタの作り方に原因があるんでしょうね。

――どうやってネタを作っているんですか?

後藤 日常でちょっと引っかかる部分があったら、それを起点にして即興でネタを始めてみます。

福徳 例えば相方が赤いセーターを着ててそれが気になったら、「赤いセーター着てるね」と語りかける。

後藤 で、それに対して僕が答える、というのを繰り返してネタを作っています。一応仕掛けたほうはだいたいのプランを考えながら進めるんですけど。

――それはいつ終わる?

福徳 「今オチたな」とお互い納得できたら、やめてタイトルをメモリます。逆にオチないときは、1時間くらいはずっと続けてますね。

後藤 オチるまでは、素の状態には絶対戻らず、根気よく続けます。でも、楽しんでやっているので、全然つらいとも感じないですね。

――そうすると、ネタ作り担当みたいなのも......。

後藤 いないですね。仕掛けるほうはその時々でバラバラなので。

――ということは、「国名分けっこ」も即興からできた?

福徳 そうですね。そもそも別の設定から入って40分くらい即興でやってたら、途中から国名分けっこになりました。最初っから「国名を分ける」という発想で作ったわけではないです。

後藤 「国名分けたら面白いかも」と思ってネタ書き出すって、小学生の発想ですからね(笑)。

――国名分けっことか、ピンポンパンゲーム(福徳の「ピンポンパン」「ピンポン」などのフリに対し、後藤がそれぞれに対応した言葉を即座に返すというリズムネタ。2017年のM-1で披露した)をミスなくやるってけっこう難しいと思うんですけど、相方がアドリブを入れたり順番を間違えたら大変では?

福徳 そもそも台本をきっちり作っていないんで、「アドリブかましてきよった!」みたいな感覚もそもそもないです。本番も即興でやってますから。

後藤 慣れれば反応できるようになりますね。

福徳 M-1直前はそのネタをよく劇場でやっていたので本番もミスはゼロでしたが、最近久しぶりにやると全然ミスります。

■ジャルジャルが思う漫才とコントの差

――周囲から変わったことをやっていると思われて、焦りや抵抗感はなかった?

後藤 僕らは「ヘンなことをやってやろう」という意識はなくて、「自分らにとって面白いことをやろう」と思ってたんです。ただブレイク前に(所属事務所の)社員さんに「本気で賞獲(と)ろうと思ってるの? あんたらは賞とか絶対無理やで」とか言われたときはショックでしたけど(笑)。

福徳 デビュー当時、全員笑ってくれるだろうと思ってましたね。思ったよりウケへんから、びっくらこきました。

――デビューするまでは、ネタを学校の友達に見せたりしたこともない?

福徳 ないです。「どうせ同級生のやつらに見せてもわからんやろ」って尖ってました。

――学校では面白いことをする存在だったんですか?

後藤 全然違います(キッパリ)。

福徳 友達がいなくて、所属していたラグビー部のやつらだけでつるんでましたね。

後藤 部活の中ではよくしゃべるけど、クラスに戻ると静か。

福徳 最近高校の学年全体のグループトークができたんですけど、ラグビー部以外友達いないんで招待断りましたね。

後藤 えっ何それ。俺そもそも招待来てないです。

――......(笑)。次にいきますが、ネタ数も一般的な芸人さんと比べて多い印象です。

福徳 そうですね。昨年だけで400本くらいは作りました。

――1日1個以上のペース! トータルのネタ数は?

福徳 この前数えてみたら、8000くらいありましたね。

――最近は、この膨大なネタのストックを生かして、毎日ネタ動画を投稿する「ジャルジャルタワー」という試みを始められました。これは始めてみていかがですか?

福徳 以前は女のコのファンが多かったんですけど、この視聴者を見てみたら95%男子で。そこからライブに来てくれるお客さんも半分近く男性になりました。

――ちなみに、いわゆる正統派の漫才をやってみたいという気持ちはあるんですか?

後藤 何をもって正統派というかですよね。別に邪道をやっているという意識もないし。

――例えば、M-1のネタは「漫才らしくない」という意見がありましたが。

福徳 ホンマに冷静に見てほしいと思うんですよね。

後藤 表面的な意見かなと思います。僕らは漫才は漫才でしかできないこと、コントはコントでしかできないことをやっているつもりです。

――漫才とコントの違いはどこにあるとお考えですか?

福徳 漫才は出てきておしゃべりをするものですよね。一方コントは、役に入る。例えば「俺コンビニの店員やってみたいんだけど」「ほな俺客やるわ」みたいな漫才がたまにありますが、ならコントでそれやればええやん、と思いますね。

国名分けっこもピンポンパンゲームも漫才らしくないと言われましたが、あくまで舞台に出ていって、役に入らずにおしゃべりする、という点では僕らは漫才だと考えているんです。

――最後に、昨年でM-1のラストイヤーが終わりましたが、今年の抱負は?

後藤 M-1が終わったからこそ、ネタとちゃんと向き合いたいですね。

福徳 自分らも驚くネタを作りたいですね。たまに驚くんで。

――それが実際大ウケする割合は?

福徳 それは......そんなにですね(笑)。