30代独身OLの婚活をリアルに描く映画『美人が婚活してみたら』が、3月23日(土)より全国公開となる。
今作は、人気漫画アプリ「Vコミ」で累計1000万PVを突破した同名のエッセイコミックを映画化。大ヒット映画『勝手にふるえてろ』の大九明子が監督を務め、脚本はお笑いコンビ「シソンヌ」のじろうが担当。臼田あさ美、中村倫也、田中圭のほか、個性派キャストがそろうことでも注目されている。
そんな注目作の主演を務めるのは、昨年、30歳を記念して制作されたデジタル写真集『30×30』を発売した女優・黒川芽以だ。
今年は映画の公開が続いている彼女を直撃。この映画の魅力のほか、婚活や結婚についてまで、30代女優のリアルな本音を語ってもらった。
――昨年、デジタル写真集『30×30』や週プレNEWSのエッセイ連載ではお世話になりました。
黒川 お久しぶりです。なんか改まっちゃいますね(笑)。
――映画『美人が婚活してみたら』で演じる役は、32歳で独身のWEBデザイナー・タカコ。最初は、"美人"を演じることに戸惑ってましたけど。
黒川 プレッシャーを感じてましたね。それで監督に相談したら、「私は黒川さんのナチュラルさが美人だと思ってるから、そこは気にしなくていい」って言ってくださって。確かに、台本を読んでもこの作品は美人だからってことよりも婚活や恋愛、女友達との関係性、人生や自分探しなどが強く描かれていたんです。だから、撮影の途中からは"美人"に囚われなくていいんだなとわかって。
――性格的にも可愛らしくて、これまで演じてこなかったような明るい役ですね。
黒川 この役は、大九監督の性格が反映されてると思っていて。撮影のときに「だってこんなとき、こう思うじゃん」って監督から言われることがわりとあったので、演じていくうちに「このコは、大九さんなんじゃないかな」って思い始めたんですよ(笑)。
――大九監督をイメージして演じてた?
黒川 大九監督って、とてもチャーミングな人なんです。後半のシーンを撮るときなんて、モニターを見ながら泣いちゃっていて。そのイメージが全てだとは思わないんですけど、そんな可愛らしい人がいるってことも意識しながら。今までやったことのない演出をやったら自分はどう映るんだろうっていう、ドキドキとワクワクみたいなものがありましたね。
――物語は、不倫体質の主人公・タカコが「死にたい......」ってつぶやくところから始まりますけど、そんなふうに思ったことあります?
黒川 ありますよ(笑)。でも、強く思ってるというより、ポロッと言葉が出ちゃった感じですよね。「今日は1日中ひとりだな......」ってときとか、タカコみたいに孤独を感じることはありますよね。
――タイトルにもあるように、この映画は"婚活"がテーマになっています。
黒川 婚活のことをいろいろ調べたんですけど、ちょっと興味ありますね。合コンすら行ったことがないので、1回くらい体験してみたかったなっていうのもあって。実際、撮影で使った婚活バーに行かせていただく予定だったんですけど、風邪で行けなかったのがすごいショックで......。
――婚活バーなんてあるんですね。
黒川 「予想以上にキレイな人が多かった」って、監督がおっしゃってました。婚活してる女性って、女子力が高いと思うんですよ。ちゃんと自分を磨いてるんでしょうね。"婚活"って言葉を重く捉え過ぎてしまうかもしれないけど、今は身近なことなんだと思います。そもそもいろんな人と出会うことは自分にとっての財産になるわけですから、マイナスになることもないですし。
――劇中ではいろんなタイプの婚活男性が登場しますけど、実際はどんな人がモテると思います?
黒川 10代20代の頃のモテると、今思うモテるは違っていて。危なっかしい人はモテましたよね。私も学生の頃は、ちょっと不良っぽい人に憧れましたもん。なぜかドキドキしちゃうんですよね。でも、そんな危うさに惹かれてる時間はないぞって年齢になってきて(笑)。だから今は、自分自身がしっかりしていて余裕のある男性がモテるかなと思います。彼女という存在を入れる隙間がちゃんとある人、性格イケメンの人がいいですね。
――結婚するなら性格イケメンがいい?
黒川 結婚相手としては、理想的ですよね。居心地の良さは大事ですし、外見だけで「かっこいい」とは判断しなくなってきたので。ルックスがどうというより、私は目を見て人を好きになります(笑)。目は心を映すと思っているので、目がまっすぐで攻めてるような人が。アツい会話をしてるのに目がチラチラ動いちゃうような人には、惚れないと思います。
――そもそも結婚願望はあるんですか?
黒川 学生時代から結婚願望は強いですし、今も全然諦めてないです(笑)。30歳までにと言っていても、その年齢過ぎたら次は35歳が目標になるので、この問題は尽きないでしょうね。この映画でも思ったんですけど、婚活してる人は生き急いでるわけでもなくて、結局はチャンスとタイミング。
「次はこんな人」という理想は、出会った相手や周りの友達の影響で変わってしまうと思うんです。今の自分自身が求めてるような人が現れるタイミングが大事なので、そのチャンスを見つけるために婚活をするんですよね。そう考えると、婚活って重々しいことじゃないなって。
――楽しそうですよね。劇中では歌にも挑戦されて。
黒川 自分でも歌うとは思ってなかったです(笑)。でも今回は、歌というより言葉をという感覚に近いような気がしていて。歌詞も大九監督が作っているので、メッセージ性が強いんです。
――ストーリーの流れですもんね。
黒川 そうなんです。どうしたらほっこり気持ちよくなるのかなっていうのを想像しながら、優しい気持ちで歌いました。でも普段は、この映画とは違うテンションなので、もっと声が太いですよ。中島みゆきさんのモノマネが十八番ですし、椎名林檎さんを巻き舌で歌うのが好きなわけですから(笑)。
――そんな太い歌声も聴いてみたい(笑)。ところで、30歳記念で制作した写真集『30×30』発売から1年ちょっと経ちました。心境などに変化は?
黒川 クリエイティブなことを発信する同世代の方が周りに増えてきて、自分も何かを提案したり作ったりしてもいいんだなと思うようになりました。映画『21世紀の女の子』では、監督と一緒に台本作りから参加させていただいたんです。そうすると、その作品や役をより愛してしまうんですよ。そういう新しいことへの意欲もわいてますし、いい意味で変わっていく時期なのかな。
――30代って楽しいですよね。
黒川 楽しいです! 20代にいっぱい吸収してトゲトゲして、30代はそれを削っていく作業だと大人たちから聞いていて。ただ削るだけかと思ってたんですけど、最近は「まだまだこんなに楽しいことがあるんだ!」と発見することばかりなんですよ。
その先に新しいエッセンスを加える時期がくるのも感じていて、解放された感がありますね。6歳の頃から仕事一点張りだったからこそ、今までできなかったことをしてみたいと思うようになっていて。プライベートでは旅行もするようになったし、まだ見たことのない景色をできるだけ見ておきたいんです。
――カメラが趣味ですが、旅行先や現場にも持ってくんですか?
黒川 最近は、GoPro(ゴープロ)にハマってます。舞台のときとか、みんなの楽屋に入ってカメラを回して、思い出をひとつの映像にまとめてプレゼントするんですよ。舞台のメイキングみたいな感じが楽しくて(笑)。クリエイティブなことにも挑戦したいですね。
――2019年は、出演映画の公開が続いてますね。
黒川 また来年も映画が公開できるように、今年もいろいろな作品に参加したいです。だからといって急ぐわけはなく、作ることの楽しみをゆっくりと感じながら仕事に取り組めたらうれしいなと思います。
■黒川芽以(くろかわ・めい)
1987年5月13日生まれ。東京都出身。97年に10歳でNHKドラマ『鏡は眠らない』に出演して以降、映画やドラマ・舞台と数々の作品に出演。2019年は、映画『21世紀の女の子-セフレとセックスレス-』、『はずれ家族のサーヤ』など公開作品が続く。主演映画『美人が婚活してみたら』は、3月23日(土)より全国公開。そのほか、5月10日(金)公開予定の映画『僕に、会いたかった』、夏公開予定の『ダンスウィズミー』にも出演。最新情報は、Twitter【@mei_kurokawasan】にて