いま、多くの美女格闘家がいるなかで、現役『セブンティーン』モデルでありながら、キックボクシングでプロデビューした女子中学生(当時)がいる。それが高橋アリスだ。
高橋は3月に後楽園ホールで行なわれた新日本キックボクシング協会主催「MAGNUM 49」に出場し、15歳で史上最年少勝利。4歳からキックボクシングの名門・伊原道場で練習を積み、魔娑斗の指導でも知られる伊原信一会長も「すごい素質」と太鼓判を押す逸材だ。この春、高校に進学した高橋アリスに、モデルと格闘技との両立から15歳のプライベートまで、いろいろ聞いてみた!
――プロデビュー、そして大会史上最年少勝利おめでとうございます! 4歳からキックボクシングを始めたそうですが、きっかけは?
アリス お父さんが格闘技好きで空手をやっていて、その父に連れてこられたのがきっかけです。あまり覚えてないですけど、最初は「やだ~」って嫌がってましたね。週2日のキッズクラス以外にも毎日のように練習に行っていて、父は自転車なんですけど私はその横を走らされてました。
――まるでロッキーの特訓じゃないですか! その頃からプロをめざしていた?
アリス ぜんぜん考えてなかったです! 練習の終わりに父が買ってくれるジュースだけが楽しみで行ってました。
――食べ物につられて(笑)。それでも続けてきたのは?
アリス うまくなってきた自覚が持てたからかな。最初はミットを蹴っても「ポスッ」って弱い音で「つまんな~」って感じだったんですけど、ここ2、3年ぐらいで「バシーン」っていい音が出るようになって。
――普段はどんな練習をしているんですか?
アリス 体操してから縄跳び、シャドウ、サンドバック、ミットとかで、だいたい2時間半ぐらいです。あとプロの先輩とマス・スパーリング(寸止めで行なう実践練習)もします。
――相手は女性のプロ?
アリス ほとんど男の人です......。でも、アマチュアの女の人とも練習してますし、試合前はずっと(伊原)会長がミットを持って教えてくださって、頑張りました。
――練習がいやになったりはしない?
アリス うまくできない時は落ち込みます。先生に言われたとおりにはなかなかできなくて。キックボクシングはクセみたいなものがつきやすくて、たとえばパンチは脇を締めてしっかり打たなきゃいけないのに体を開いて打っちゃったりとか。忘れないようにノートに書いたりしますけど、難しいです。
――でも続けているということはキックボクシングが好きなんですね。どこに惹かれる?
アリス ひとりじゃなくて、みんなで頑張るところ。このジムにはプロの方もチャンピオンの方もいるし、試合に向けて頑張ってる人とみんなで支え合ってきているので。先輩方がいなかったらここまで来てないと思います。
――周りにもかわいがられてそう!
アリス かわいがってもらってます。ご飯行こうとか誘ってもらうけど、でもみんな減量があるのでなかなかタイミングは合わないです(笑)。
■試合相手のパンチで感動?
――もともとプロは目指していなかったのに、なぜプロの試合に出たんですか?
アリス せっかくやるなら試合に出たいなと思っていたら、会長が「そろそろどうだ?」とプロとしてのチャンスをくださったんです。
――厳しい練習を積んで、後楽園ホールのリングに立った時は感激したのでは?
アリス 興奮しすぎてあんまり覚えてないんです(笑)。格闘技の聖地と言われているし「出たい!」と憧れていたので、ずっと緊張してました。
――試合はやはり練習とは違った?
アリス もう緊張して体も固くなっているので思うように動かなくて、いつものキックができなかったなって。お客さんの声とかもぜんぜん聞こえないし、セコンドについてくださったジムの先輩方の声もあまり聞こえなかったです。でも試合の始まりのゴングが鳴った時は「もうやるしかない」と無我夢中でやりました。
――プロとアマチュアの差は感じた?
アリス アマチュアではヘッドギアを付けるけどプロでは付けないので、パンチをもらった時の感覚が全然違うんです。ダイレクトにほっぺに当たって振動みたいなのが来て......。「おお~」って感動してました!
――感動!? けっこう余裕ですね。
アリス すごーいと思って(笑)。
――プロの試合を振り返っていかがですか?
アリス 自分の攻撃が相手に効いたなって実感したシーンとかあるんですけど、それは達成感というか、毎日キツかったけど生かせたかなって、練習の意味が分かりました。でも、もっと練習で多く蹴っていればもっといい蹴りができたのかなとか、スピードももっと必要だなとか、自分に足りないところが分かりました。
■記念受験でまさかのモデルに
――ストイックですね。しかも中学校生活と両立していたんですよね。
アリス 部活でバスケをやっていたので、授業が終わったらバスケやって、それが18時頃に終わるので、19時ぐらいからキックをやってって感じで、終わるのは21時か22時ぐらい。帰ったらすぐ寝てました(笑)。
――ハードスケジュール! 試合は学校の友達も応援してくれたんですか?
アリス 負けたら恥ずかしいから呼ばなかったです。それに、キックやってるって信じてもらえてなかったんですよ。やってるようには見えないみたいで。たまに足のアザを見て「どうしたの?」って聞かれることはあっても、「だから練習だって」って言っても「また~」って(笑)。プロデビューのニュースで初めて信じてもらえました。
――たしかにキックボクサーには見えない! 昨年からはモデルとしても活躍されていますが、きっかけは?
アリス もともと『セブンティーン』の読者で、中条あやみさんが好きで漠然と憧れていましたけど、それほど強く思ってたわけじゃなくて......。原宿でスカウトされたりもあったけど、そんなに考えてなかったんです。でも中学も最後だし記念にやってみようかなって、軽い気持ちで応募しました。
――それがなんと何千人もの応募の中からファイナリストに残ってしまったと!
アリス 「うそでしょー」ってずっと本を見てました(笑)。ミスセブンティーンに選ばれた時もやっぱり実感はなくて、「夏の学園祭」というショーでお客さんの前で紹介されて、やっと実感が湧きました。お客さんの前で歩いてるって、不思議な感覚でした。
――見る側から見られる側に行ったんですね。初めての撮影はどうでしたか?
アリス 緊張してヤバかったです(笑)。周りにはアイドルのコもいて撮影も慣れているし、ポーズも自分をうまく見せられてすごいなって。でもカメラマンさんとかが優しく教えてくれて、なんとか乗り切れました。
――モデルのお仕事はどうですか?
アリス スタイリストさんが選んでくださった可愛いお洋服をいろいろ着させてもらったり、可愛いメイクしてもらったり、楽しいです! でもやっぱり先輩方はすごいなって。みんな初めての撮影の時から優しくて、周りへの気遣いがすごくて、気を配るのって大切だなって思いました。あとみんな細いし、食生活も頑張ってるんだろうなって。
――アリスさんも食事には気をつけている?
アリス 野菜は嫌いだったんですけど食べるようにしました。塩分は取りすぎないようにしてて、あと糖分も好きなんですけどあまり食べないように......。
――でも中学生だし、お友達とスイーツを食べに行ったりもするのでは?
アリス その時は食べて、後で考えます(笑)。
■素顔は渋めのロック好き?
――プライベートはどう過ごしているのですか?
アリス 今は春休みで、受験も終わったし優雅に過ごしてます。友達と渋谷とかに出かけてお買い物して、何か食べてくだらない話をしたり。あと動物が好きで、飼っている犬と遊んだりお散歩に行ったりしています。
――健全ですね~。今ハマってるのは?
アリス チーズ探しかな。何にでもかけちゃうぐらいチーズが好きなので、いろんなチーズを食べ比べてみたりして理想のチーズを探してます。
――インスタではギターを持っている姿も見かけました。
アリス お父さんがロック好きで、昔からちょくちょく教わってるんですよ。でもけっこう昔の曲で、ビートルズさんの「レット・イット・ビー」とか弾いたりします。あとゲイリー・ムーア(70~80年代に活躍したギタリスト)さんとか。でも友達に言うと「誰?」みたいな(笑)。
――女子中学生なのに音楽の趣味が渋い(笑)。ついでに好きな男性のタイプも聞いていいですか?
アリス うーん、優しい人かな......。あと、かまってくれる人。昔から私"かまっちょ"でずっとしゃべってみんなに「もうやだ」とか言われるぐらいなので、とりあえず話を聞いてくれればいいかな(笑)。あ、でも私も聞いたりはしますよ!
――そこは考えてバランスを取ると(笑)。いろいろ興味が幅広いですし好奇心旺盛なタイプと見ましたが、では最後に今後の目標を教えてください。
アリス 今後はモデルだけじゃなくいずれは演技とかにも挑戦していきたいなって思ってます。キックでは試合もどんどんやりたいし、今のところは「負けない」というのが目標です。闘いたい選手っていうのはまだ意識してないですけど、自分のペースでやっていこうかなって。あと、次の試合には友達も誘おうかなと思ってます!
■高橋アリス(たかはし・ありす)
2003年11月21日生まれ、東京都出身
リングネームは「アリス」。日本人の父とイスラエル人の母を持つハーフ。2018年ミスセブンティーンに一般応募枠から選出され、セブンティーン専属モデルへ。詳細は公式Twitter【@aliceeee1121】または公式インスタグラム【alice.takahashi.official】にて