栗田貫一さん(左)が声優をつとめる「ルパン三世」について、角田陽一郎氏が聞く!

『さんまのスーパーからくりTV』『中居正広の金曜日のスマたちへ』など、数多くの人気番組を手がけてきたバラエティプロデューサー角田陽一郎氏が聞き手となり、著名人の映画体験をひもとく『週刊プレイボーイ』の連載『角田陽一郎のMoving Movies~その映画が人生を動かす~』。

今週も前回に引き続き、「ルパン三世」の声優としてもおなじみの栗田貫一さんが登場。

* * *

──初めてルパンの声をあてたのは『ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス』(1995年)ですよね。当時はどんな気持ちだったんです?

栗田 「できるワケがないじゃない」というのが率直な気持ちでしたね。20秒くらいなら頑張るけど、と。

──ワンシーンまでというか。

栗田 たとえば朝、ルパンが隠れ家で過ごしてるシーンで、次元に新聞を取ってほしいと言うとしますよね。今なら普通に「おい次元、新聞取ってくれよ」と言うんだけど、その頃はやったことがないから、「次~元ちゃ~ん、新聞取ってよ~」になっちゃって。

──あ~、なるほど。

栗田 「ふ~じこちゃ~ん」は全然いいんです。モノマネとして自信あったんで。でも、当たり前だけど映画は、普通の時間のほうが長いワケですよ。

──ずーっと「ふ~じこちゃ~ん」って言ってるワケじゃないですもんねえ。

栗田 それに、作品を録(と)るのって実は、1年のうち2日間だけなんです。つまり、あとの363日は普通の僕が喋って、同じ口から瀬川瑛子さんとか、いろんな人の声を出している。

結果、たったその2日だけ山田さんになろうとして、下手なのがずっと続くんだから、うまくなるワケがない。だから、結局ずっと「せんきゅうひゃくにじゅうなんね~ん」ってやるしかない。

ほんと、作品をぶち壊してるよね。だから、僕には夢があって、もし叶うなら最初の何本かを、自分のとこだけでいいから、録り直させてくれないかなって。劇場公開映画なのに、酷いことしちゃったよね。

──でも僕、『くたばれ!ノストラダムス』を見た記憶がありますけど、スゴイなあって思った記憶があるんですよ。モノマネになっちゃうんだろうなって思ってたんですけど。

栗田 モノマネでしょう。

──でも結局、作品を楽しんじゃってた自分がいて。

栗田 あ、そうなんですか。

──そういう興味で僕も見たと思うんですけど、見てるうちに作品に入っちゃって。意識させないってスゴイなあって記憶が。

栗田 だけど、僕としては本当にやり直したいね。今だったらもうちょっとうまく、ルパンを演じられたかなって思うんです。山田さんに近づくということじゃなくね。

──すごい複雑な感覚ですね。

栗田 でも、最近やっとですよ。前は山田さんを経てルパンを演じていたけど、最近はルパンをそのまま演じられるようになった。

──そんなふうに変わるきっかけってあったんですか?

栗田 銭形警部役の納谷(なや)悟朗さんがお元気だったときに、アフレコで絵が全然入っていなかったことがあったんです。それで出演者のみなさんが「こんなんじゃできない」という感じになって、でも自分は経験が少ないからどう振る舞っていいかわからない。

そうしたら、納谷さんが「これはお前の作品なんだから、お前が決めろ」と言ってくださったんです。その言葉にドカーンときて、初めて責任感みたいなものを感じて。その時から「そうか、僕はルパン三世を自分の作品にしなきゃいけないんだ」って思ってね。

──それ、ルパンと銭形の話でもありますよね。追っかけてないときの銭形って、ルパンに対してそういう感じあるじゃないですか。なんか鳥肌立っちゃいました。

栗田 それと、『LUPIN the Third~峰不二子という女~』(2012年)の経験も大きかった。レギュラーの放送だから、だんだん慣れてくるんだよね。あと、監督の山本沙代さんが「山田さんに寄せてない、悪いルパンをやってくれ」と言ってくれて。

最初は「いいのこんなんで?」と思ったけど、そのルパンをすることで逆に明るいルパンが際立つし、「ギャップが楽しいな」って思うようになって。そうやって、少しずつ自分のルパンができるようになったね。

──さて、5月31日に新作が公開されますが、どうですか?

栗田 これがまたエロイんですよ。うちの娘が8歳になったばかりなんだけど、家で一緒に完成映像を見てたら、おっぱい出したシーンが流れてさ。当然、娘は目が点になって「なんで裸?」って聞いてきて、え、そんなの知らないよって(笑)。劇場でしか見られないルパンだよね。

──テレビで娘さんの前で見るワケにはいかないですよね(笑)

栗田 乳首出ちゃってるんで(笑)。でもね、複雑な、独特なエロさがあるんですよ。

●栗田貫一(くりた・かんいち)
1958年生まれ、東京都出身。タレント・声優。95年公開の映画『ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス』よりルパン三世役を引き継ぎ、以後演じ続けている。小池健監督シリーズでは、トーンを抑えたハードボイルドなルパン三世を現出させた

■『LUPIN THE ⅢRD 峰不二子の嘘』 
新宿バルト9ほか限定劇場公開中
共同配給:ティ・ジョイ、トムス・エンタテインメント
原作:モンキー・パンチ ©TMS

【★『角田陽一郎のMoving Movies』は毎週水曜日配信!★】

kakutasan605_90.jpg