イベントに登壇した(左から)高橋正典、河森正治、降幡愛、水瀬いのり、逢坂良太、今泉潤

14日に行なわれた『劇場版 誰ガ為のアルケミスト』の初日舞台挨拶に、主人公・カスミを演じた水瀬いのり、エドガー役の逢坂良太、リズベット役の降幡愛、河森正治総監督、高橋正典監督、今泉潤プロデューサーが登壇した。

原作は、全世界で900万DLを突破したスマホゲーム。総監督を務めたのは、人気アニメ『マクロス』や『アクエリオン』シリーズで有名な河森正治。主人公・カスミは映画のオリジナルキャラクターで、普通の女子高生だったカスミが異世界に召喚されることで物語は始まる。

カスミを演じた水瀬は「カスミは"普通の女の子代表"。観客に一番近いキャラクターなので、ナチュラルに演じるようしていて、成長がみられるキャラクターになればいいなと思いました」と話すと、河森は「(カスミは)自分に自信がない、かといって根暗なわけじゃないキャラクターで、絶妙なニュアンス。でも本当にひと声を聴いた瞬間、"イケる!"と確信できた」と回顧。さらに今泉は水瀬を「化け物みたいなコ、すごく上手くて」と評価し、会場を笑わせた。

プロデビュー40周年を迎えた河森にとって、原作モノの公開は初だ。プロデューサーの今泉は公開初日と同じ2年前の6月14日に映画化を依頼したことを懐かしんだが、「河森さんは日本を代表する才能。でも、いきなり『僕は原作モノを完成させたことがない』って。ハンパねーな、河森さん」とそのときの様子を暴露。

今泉(右端)に裏話を明かされ、爆笑する河森(左端)

そして制作が進んでいくなか、イレギュラーな事態が頻出したことも発覚。今泉は「魂の作品にしてくれと頼んだ」ものの「本当は90分で終わる予定の映画だったんですけど、尺を見たら120分。どうするんですか、ホントは2月公開ですよ。じゃあ延ばしましょう、やりきりましょうということで出来上がりました」と漏らし、河森を爆笑させた。

さらに今泉の裏話はイベントが終わるまで続き、「これは過ぎたことだからいいのかな」と切り出すと、「5月24日に(完成披露プレミア上映で)公開したんですけど、そこからさらによくなっています。流した後でも直すという」と河森のこだわりを称賛。

最後には、「(スタッフ向けの)初号試写でも、あの河森正治がですよ、『この作品を作らせてくれて、ありが......』って泣き始めて、ここに魂の作品が出来上がったんだなと思った」と河森のうれし泣きまで暴露した。

そんな河森は「完成するまですごくヒヤヒヤしましたが、こうしてついに公開できることがすごくうれしいです」と安堵。そして「スタッフ一同、いろんな力を合わせて錬金術のように作れたと思います。新たな代表作が完成したと思います」と自信の笑み。自身の40周年を機に初めて完成させた原作映画で、新境地を開いた。