『さんまのスーパーからくりTV』『中居正広の金曜日のスマたちへ』など、数多くの人気番組を手がけてきたバラエティプロデューサー角田陽一郎氏が聞き手となり、著名人の映画体験をひもとく『週刊プレイボーイ』の連載『角田陽一郎のMoving Movies~その映画が人生を動かす~』。
今週はドラマ『梅ちゃん先生』、映画『不能犯』などの作品で知られ、6月28日には最新主演作『新聞記者』が公開された俳優の松坂桃李(まつざか・とおり)さんが登場!
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──初めまして。僕はもともとTBSでプロデューサーをやっておりまして、『金スマ』とか『さんまのSUPERからくりTV』とか作ってたんですよ。
松坂 「ご長寿早押しクイズ」とかですよね。あれ、大好きでめっちゃ見てました。
──「野球は何人でやるでしょう?」という問題に「6億人」って言ったおばあちゃんがいたりして。もう最高でしたね(笑)。
松坂 あれはもう勝てないですよ。芸人さん含め(笑)。
──この連載では、人生を変えた映画についてのお話をお聞きしたいのですが、松坂さんは俳優になる以前、映画は見るほうだったんですか?
松坂 それが全然見てなかったんです。事務所に入った頃、スタッフさんから好きな映画を聞かれて、散々悩んだ末に『アルマゲドン』(1998年)って答えたんです。ものすごく一般的な作品ですよね。
──でも、『アルマゲドン』ってすごくおもしろいじゃないですか!
松坂 おもしろいんですけど、ものすごく映画好きの方が一周回ってそう答えるのはいいけど、僕の場合は一周も回ってないので......。マネジャーさんも「こいつはヤバい」とズッコけてました(笑)。
──では、この業界に入ったきっかけは?
松坂 男性ファッション誌『FINEBOYS』のオーディションで、グランプリをいただいたのがきっかけです。大学の仲間内で盛り上がってノリで受けることになった結果だったので、当時の自分は「いずれ大学に戻って、サラリーマンになるんだろうな」って考えていたんです。
──ちなみに、その頃は将来の夢ってなんだったんですか?
松坂 サラリーマンです。
──超漠然としてますね。日本に5000万人くらいいますよ(笑)。
松坂 夢とか、これというこだわりが自分の中に何もなかったんです。だから進むべき道もなんとなく世間の流れといいますか、大学もみんな受験するから受けて、入ったのも「就職での窓口が広いから」という理由で経営学部。いわゆる、現代の若者の考え方なんですよね。
──そんな松坂さんが、役者として変わった作品は?
松坂 初めて出演させていただいた映画『僕たちは世界を変えることができない。』(2011年)です。向井理(おさむ)さん主演で、柄本佑(たすく)さんと窪田正孝くんと僕の、男4人のお話なのですが、カンボジアロケがあって。しかも、人生初海外でもあり、とにかく初めて尽くしでしたね。
──初映画で、初海外で、初カンボジアですか。
松坂 それまでは戦隊モノだったので、「こら待て!」とかそういう感じのお芝居をやることが多かったんですけど、そのとき、初めて映画の世界観の中でのお芝居を体験しまして。
現地では「GoPro」という小さいカメラを使って撮影したんです。ただただ僕らがカンボジアを観光しているのを撮る、という感じの。それが当時の僕にはものすごく新鮮で。「こんな撮り方もあるんだ!」って驚いた記憶が鮮明にあります。
──ちょっとドキュメンタリーっぽかったですもんね。ところで先日、SNSでトレンド入りされることがあったじゃないですか。「松坂桃李 結婚」って。
松坂 『櫻井・有吉THE夜会』(TBS系)ですよね。僕もびっくりしましたよ。『夜会』は収録前にアンケートがあるんですが、このときはいつもの3倍くらいの量で。
──ものすごい量ですね(笑)。
松坂 それで、いろんな質問事項に「イエス/ノー/どちらでもない」みたいなチェックをして、「どういうことなんだろう?」と思って、収録当日、打ち合わせに行ったら、台本に『松坂桃李 理想の結婚相手20か条』という文字があって......。「ああ、こういうことね」って(笑)。
──でも、むしろ好印象でしたよね。「手の甲にメモを書いているコ」とか、「くしゃみをするときかわいい音を出すコ」はいやだとかチョイスがおもしろい(笑)。
松坂 そうですか? そんなにおもしろいんですかね?(笑)。
──その反応、『ご長寿早押しクイズ』のご長寿と同じですよ(笑)。松坂さんはバラエティではある意味、「天才」なんですよ。
松坂 ご長寿の皆さんには勝てないですけどね、さすがに(笑)。
★後編⇒俳優・松坂桃李は、意外にもドキュメンタリー系の作品が好き?
(ヘア&メイク/松田 陵[Y's C] スタイリング/丸山 晃)
●松坂桃李(まつざか・とおり)
1988年生まれ、神奈川県出身。2011年に第85回キネマ旬報ベスト・テン新人男優賞を受賞。以後、数多くの映画やドラマに主演
■『新聞記者』新宿ピカデリー、イオンシネマほか全国公開中
配給:スターサンズ/イオンエンターテイメント ©2019『新聞記者』フィルムパートナーズ