毎週月曜日に、『週刊プレイボーイ』が注目した美少女が登場するこの連載では、撮り下ろし写真とロングインタビューで彼女たちの魅力をお届けする。

第18回目は、7月19日に公開される新海誠監督の劇場アニメ『天気の子』に出演する、17歳の女優・森七菜さん。大ヒットを記録した『君の名は。』から3年。気鋭のアニメ監督待望の最新作で、ヒロインの天野陽菜を演じる。

森さんは2016年にスカウトがきっかけで芸能活動をスタートすると、『やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる』(NHK)や『獣になれない私たち』(日本テレビ系)といったドラマ作品で存在感を発揮。

さらに今年に入ってからは、ドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)への出演で注目度が高まり、今後も『天気の子』のほか、『東京喰種 トーキョーグール【S】』や『最初の晩餐』、『地獄少女』、『Last Letter』といった注目作の公開が控えるなど、現在"もっともブレイクが近い"と言われる女優だ。

今回は『天気の子』の公開を間近に控えたタイミングでインタビュー。記事の前編では、自身が演じた陽菜というキャラクターについて語ってもらった。

――撮影前は曇り空だったのに、いざ外に出てみたら嘘みたいな快晴になりました。

 そこはやっぱり『天気の子』ですから(笑)。

――『天気の子』で森さんが演じた天野陽菜という女のコは、"祈る"ことで空を晴れにできる力を持つ"晴れ女"として描かれていますが、実は森さん自身も"晴れ女"だ、と?

 そうですね。大事なときはけっこう晴れになります(笑)。実は監督の新海さんも、陽菜はわたしと似たところがある女のコだと言ってくれました。ただ、それは"晴れ女"という意味じゃなくて、「天気みたいな女のコ」ってことでしたけど(笑)。

――確かに陽菜は基本明るいんですけど、ちょっとミステリアスなところもあったりと、複雑な性格をしていますよね。森さんもそんな感じなんですか?

 わたしはそんなつもりないんですけど、いろんな人から、「感情がコロコロ変わるよね」って言われます。ただ、自分でもちょっと思い当たるフシもあって。この前、お裁縫をしようと思って、ビーズを買いに行ったんですよ。でも、いざ手に持った瞬間、特に理由もなく満足して「あ、やめよう」という気持ちになりました。お店まで行ったのに結局買わなかったんです。そういうことが多いですね。

――森さんは主人公の森嶋帆高を演じた醍醐虎汰朗さんと共に、2000人を超えるオーディションの中から選ばれたわけですが、そういう性格が、まさにこの作品のヒロインにぴったりだと新海さんに見抜かれたから抜擢された?

 オーディションでは多少は猫をかぶっていると思うので、本当の自分は出していないつもりなんですけど(笑)。でも、最初からわたしに似た女のコですよって説明されていたので、見破られていたんだと思います。新海さんの前では嘘つけないですね。

――では、実際に役を演じたときも、キャラクターを作り込むというより、かなり素に近い感じだった?

 周りの方に助けていただきながらですけど、自分の中から自然に出てくるものを活かして演じていきました。

――新海さんから「こうしてほしい」という演技指導はありました?

 最初に新海さんが作ったビデオコンテ(絵コンテをつないだ映像)を見せていただいたときに、「このシーンの陽菜はこういう気持ちなんだよ」ということをビデオコンテを通して教えていただいたので、余計な遠回りをせずに、素直な状態でアフレコができました。でも、「かわいく」とはけっこう言われましたね。

――その「かわいく」とは、どういう意味だったんでしょう?

 陽菜にはいろんな面があるんですよね。まだ10代の子供だけど、年の離れた凪っていう小学生の弟にはお姉さんで、大人っぽいかわいさと、子供っぽいかわいさがある。だから、わたしとしては場面によっていろんなかわいさを表現してみて、そこから新海さんに一番いいと思えるものをセレクトしてもらおうと思って演じました。

――森さんにとって、陽菜はどんな女のコですか?

 その質問を取材で聞かれることがよくあるんですけど、答えるのが難しいんです。新海さんにも「似ている」と言われましたけど、演じていくうちに、どんどん陽菜とわたしが重なって、まるで自分自身がそこにいるような気持ちになっちゃったので。だから、陽菜の印象を聞かれると、自分の性格を聞かれているような気がして、恥ずかしくてうまく答えられないんです。

――これまで演じてきた役でも、そういう経験があった?

森 いつもそうです。お芝居は段々と役と一体になっていく感じが楽しいです。

――アニメ作品は初出演ですが、声だけで演じることに対する難しさはありましたか?

森 今までと変わらなかったかもしれないです。声優としての技術はまだまだですけど、(演じるうえでの)気持ちをすごく大事にさせていただいたので、特に苦労したという感じはなかったです。

――むしろ、それだけ陽菜がはまり役だったということなのかもしれないですね。

 どうなんでしょう? ただ、新海さんも「陽菜はこういう女のコだ」っていうイメージがあらかじめ固まっていなかったそうで、わたしに決まったときに、「七菜ちゃんだったら、陽菜を教えてくれる気がした」とおっしゃってくれたのは、すごく印象に残っています。だから、わたしとしては自然体で、気張らずにいこうかなって(笑)。実際にそれで良かったかどうかっていうのは......、わたしも新海さんに今どう思っているのか聞いてみたいところです(笑)。

――『天気の子』は主人公の帆高とヒロインである陽菜の恋の行方が物語の中心になっています。帆高は東京に出てきたばかりの家出少年というキャラクターですが、森さんから見てどんな男の子だと感じましたか?

 陽菜の目線で見ると、「かわいいじゃん」って感じですよね。いろんな遠回りをしちゃうけど、常に全力ダッシュで目的地に辿り着こうとするタイプで、そこが魅力的だなって思います。

――陽菜とほぼ同世代という設定ですが、お姉さん的なところがあり、ちょっと大人びている陽菜に対して、とにかく真っ直ぐな性格をしていますよね。

 陽菜は何か問題があったときに、ぱぱっとすぐ決めちゃうタイプなんです。でも帆高は不器用で、そこがかわいいなって。

――陽菜が帆高より大人びているのは、凪という小学生の弟がいることも大きいのかなと思いました。

森 すごく面倒見がいいですよね。あそこはわたしには全然ない部分です。陽菜はいろんな人のお世話をするタイプだけど、わたしは人からお世話をされて生きている人間ですから(笑)。本当、いろんな人に助けてもらわなかったら、今頃はクルマに轢かれて死んでるんじゃないかって思うんですよ。

――どういうことですか(笑)。

 思いつきで生きているような感じなので、誰かに引っ張ってほしいというか。「子供みたいだね」ってよく言われます(笑)。

――私生活でも森さんはお姉さんですよね?

 はい、5歳下の弟がいます。

――弟さんと接するときも、陽菜のようなお姉さんっぽさはない?

 わたしが弟にお世話してもらっています(笑)。この前もわたしが着替えたあと、気が付いたら弟が服を畳んでくれていました(笑)。わたしもそれにすっかり甘えているんですよね。

――その関係性は昔から?

 前までは「七菜!」って怒られていたんですけど、最近は弟が自分の役回りだって思ってきたみたいで、何も言わなくなりました。中学1年生なんですけど、すごく面倒見がいい、かっこいい男の子になってきているんです。

――映画の凪はお姉さんとの距離が近いせいか、小学生なのに女子の扱いがうまくてモテモテという設定ですよね。森さんの弟さんもそうなってくるんじゃないですか?

 えーっ、そうなったら......お姉ちゃんとしては複雑な気持ちになります(笑)。

――デビューから3年、破竹の勢いで躍進し今後も注目作への出演が控える森七菜ちゃん。そんな彼女が女優に対する思いを語った、インタビュー後編は7月15日配信!

(ヘアメイク/佐藤 寛(KOHL) スタイリスト/申谷弘美 衣装協力/RANDA(サンダル))

●森 七菜(もり・なな)
2001年8月31日生まれ 大分県出身 身長154cm
趣味=動画作り 方言=大分弁、関西弁
○2016年の夏に大分県でスカウトされ、行定勲が手がけたWebCMにてデビュー。その後は、女優としてドラマ「やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる」、ドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』など数々の話題作に出演。今後も映画『東京喰種トーキョーグール【S】』や映画『最初の晩餐』、映画『地獄少女』などの出演作が控えるほか、2020年には、岩井俊二が監督を務める映画『Last Letter』への出演も決まっている。
公式Instagram【@morinana_official】

★森七菜ちゃんのアザーカット、そして撮影時のメイキング動画が『週プレモバイル』でご覧いただけます!

★『微熱少女』は毎週月曜日更新!★