「小学生の頃から映画監督になるのが夢だった」と語る柄本佑さんの映画体験とは?

『さんまのスーパーからくりTV』『中居正広の金曜日のスマたちへ』など、数多くの人気番組を手がけてきたバラエティプロデューサー角田陽一郎氏が聞き手となり、著名人の映画体験をひもとく『週刊プレイボーイ』の連載『角田陽一郎のMoving Movies~その映画が人生を動かす~』。

今週は最新主演映画『火口のふたり』が公開中の俳優の柄本佑(えもと・たすく)さんにお話を伺いました。

* * *

──幼少期に見て衝撃を受けた映画はありますか?

柄本 僕、小学生の頃から映画監督になるのが夢だったんですけど、そのきっかけになったのは小3か小4のときに見た三隅研次監督の『座頭市』でした。たまたまうちの親父(柄本明さん)がレンタルで借りてたんです。

見てみたら、すげえ面白かった。とにかく勝新太郎がめちゃくちゃカッコよかったんですけど、そのときの自分は「勝新太郎をこんなにカッコよく撮影する映画監督って職業はきっともっとカッコいいんだろうな」って思って。

──今のお仕事にも直結してますね。

柄本 でも、役者になろうと思ったことは一度もなかったんですよね。

──あ、そうなんですか。

柄本 『美しい夏キリシマ』(03年)という映画に出させてもらって変わったんです。中3の夏休みに撮影したんですが、その後に学校生活に戻ったら、日常生活が思いっきりつまんなく感じちゃって。同級生はガキに見えるし。

──現場の面白さを知ってしまったんですね。

柄本 大人に囲まれながら、日常では感じられない緊張感のなかで芝居をするんですから、そりゃあ中学生には刺激的ですよね。なので、「俳優になりたい」というよりも、「モノ作りの現場に早く戻りたい」という気持ちでした。その点、役者なら身ひとつでやれるから、一番の近道かなと思って本格的に始めました。

──いろんなジャンルの作品に出演されてますが、映画ファンゆえ、いい意味でこだわりがない?

柄本 確かに、こだわりはそんなにないですね。僕は映画好きというところからこの世界に入っているので、例えば好きな監督からお話があれば台本も読まずに即答しますし、共演が岸部一徳さんや石橋蓮司さんだったら同じくすぐ受けます。ミーハーなんですよ(笑)。

──大人になってから見た作品で衝撃を受けたのは?

柄本 僕、ポルトガルのマノエル・ド・オリヴェイラという監督が大好きで、初めて『家路』(01年)という作品を見たときは「映画ってこんなラストシーンでいいんだ」と衝撃を受けました。映画が本来持つ豊かさやおおらかさ、多幸感を多分に含んでいるように感じたんです。

ちなみに彼は106歳まで生きた世界最高齢の監督として知られていて、亡くなったのが4年前の4月2日なんですが、その直前の3月まで新作を撮影していたそうです。

──見たことがなかったので、すぐ見ます! 当時は何歳でしたか?

柄本 14歳くらいかな。同時上映が小津安二郎監督の『東京物語』(1953年)だったんですけど、そっちが先だったので「『東京物語』すげえなあ」って思って見ていたのに、『家路』も「全然負けてねえじゃん」って。よくよく考えると、オリヴェイラって小津の5歳下なんですよね(笑)。

――ほぼ同年代!

柄本 14歳でオリヴェイラを知ることができて、そこから彼が亡くなるまで新作を見続けることができたのは幸せでしたね。映画好きとしては、小津監督と同時代を生きられたようなものですから。

★後編⇒角田陽一郎×俳優・柄本佑「父・柄本明と自宅でピンク映画を鑑賞していたら......」

●柄本佑(えもと・たすく)
1986年生まれ、東京都出身。昨年、映画『きみの鳥はうたえる』など3作品で「キネマ旬報ベスト・テン」主演男優賞を受賞

■『火口のふたり』新宿武蔵野館ほか全国公開中
配給:ファントム・フィルム

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