6日、東京・吉祥寺のアップリンク吉祥寺で映画『左様なら』が公開を迎え、W主演の芋生悠(いもう・はるか)と祷(いのり)キララ、そして平井亜門、こだまたいち、森タクト、石川瑠華、近藤笑菜、田中爽一郎、塩田倭聖、武内おと、日向なつ、石橋夕帆監督が初日舞台挨拶を行なった。
今作は、女子高校生・由紀と、引っ越しを告げた翌日に亡くなった同級生・綾を軸に、クラスメイトたちの関係を描いた青春群像劇。メガホンを取ったのは、これまで数々の映画祭で受賞してきた新進気鋭の若手監督、石橋。本作は3月に行なわれた大阪アジアン映画祭で、インディ・フォーラム部門に入選している。
原作はSNSで人気を集めるイラストレーター・ごめんが描いた同名のマンガ。芋生が石橋監督に紹介したことをきっかけに映画化した。石橋にとって初の長編作となったが、もともと原作は18ページの短編作。そのためその後のストーリーや登場人物を追加したが、芋生は「石橋監督の妄想がすごい」と感嘆した。
W主演を務めるのは、映画界が注目する次世代女優のふたり。今年のNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』にも出演した芋生と、ミスiD2016で選考委員個人賞(市川沙椰賞/東佳苗賞)に選ばれた祷だ。さらに、『イソップの思うツボ』で主演を演じた石川など、期待の若手がそろっている。
出演者たちは10日ほど泊まり込みで撮影したが、成人メンバーはお酒を飲んだり花火をしたり、さながら合宿のような感じで「青春を取り戻した」(平井)というほど濃密な撮影だったそう。
石橋監督も「最終日は何人か号泣していたよね」と振り返ったが、その現場にいた芋生は「私はまだラストシーンが残ってて、しかもそれがウエイト重めだったから、泣けなかった」と暴露。
さらに、祷は「主人公なんですけど登場シーンが意外と少なくて、死んでしまった後の物語だから......。初日でシーンを撮りきって、私だけ帰って。『めっちゃ寝相悪かったね』とかエピソードをあとから聞いて寂しい気持ちでした(笑)」と吐露した。
出演者ら12人も集まり、終始、ステージは和気あいあいとした雰囲気。短い時間ながら、最後に芋生が
「学校や会社ってすごい狭い世界だと思うんです。でも、いろんなところに"籠(かご)の鳥"から抜け出せる道があると思います。外の世界に行ってみたり、いろんなことを知ろうとしたり、人との関りを持って、たくさん自分の道を切り拓いてほしい、そういう作品だと思っています」
と作品のメッセージを訴えると、満席になった観客席から大きな拍手で幕を閉じた。