月14日(土)に38歳の誕生日を迎える俳優・安達祐実、夫である写真家・桑島智輝撮影による写真集『我我(がが)』(青幻舎刊)を発売する。

2015年11月13日の結婚記念日から、長男の誕生を挟んだ3年間。呼吸するように撮った1万8500枚もの写真から、123枚を厳選して構成された小説のような一冊だ。

そして、彼女の誕生日である9月14日に発売される『週刊プレイボーイ39・40特大合併号』では、同じく桑島氏撮影による表紙、センターカラー16ページのグラビア「超私写真。」を掲載。

12歳から『週刊プレイボーイ』に登場して25年余り。"奇跡の38歳"として女性誌にも特集される今、いつかの少女は何を語るのか?

■時代を超えて、14回目の表紙登場

――ロケ中ずっと気になっていたのですが......髪の毛が青色じゃないですか。その心は?

安達 単純に染めたかっただけですよ(笑)。ひとつの役が終わると、髪型を変えたくなります。終わったぞって、わかりやすく自分に知らせるために。今、青というか紺色が好きなんです。服や雑貨もつい紺色をしたものに目がひかれてしまいます。

――ちょうど5年ぶりとなるグラビアはいかがでしたか?

安達 17歳で写真集を出させていただいてから、週プレさんとは節目節目でご一緒させてもらいました。またこうして北海道でロケができたのは幸せなことです。

――今回が通算14回目の表紙になります。90年代、00年代、10年代。平成のひと桁から令和まで。時代を超えて長いお付き合いになりました。

安達 そんなにやってますか?ちょっとビックリです。グラビアを本職としていない私なのに、どうして14回も? 不思議な縁を感じますね。

――安達さんにとって、グラビアはどんな場所ですか?

安達 時間の流れ方が特別なんです。写真家さんと向き合い、淡々と撮っていく。映像の世界とはまったく違うと思います。自分自身を表現するというより、確認するような感覚です。いまだに過去の撮影現場を思い出すことがあります。ロケ地の風景だったり、現場の空気感だったり。

――今回は夫である桑島智輝さんが撮影を担当されました。

安達 いつもの日常と同じ感覚で、カメラの前にただ立っているだけです。彼はどう考えていたんでしょうね? 事前にこんな感じで撮ろうとか、具体的な話はほとんどしなかったので。私としては日々、写真を撮られる流れと変わらないです。

――おふたりの出会いは、芸能生活30周年記念として制作された写真集『私生活』(集英社、2013年)にさかのぼります。

安達 今とはまったく違う自分が写っている。たまに見返すとそう感じます。あの頃、仕事がうまくいかないことが多くて、現状を打破しなきゃという焦りがありました。同時に、自暴自棄で諦めに似た感情に支配されて毎日を過ごしていました。でも......。

――写真を撮られることで?

安達 少しずつ考え方が変わっていきました。「生きなきゃ」って。あそこから、また新たな安達祐実をゼロから始められた気がします。

――『もののけ姫』が浮かびます。サンとアシタカみたいな。

安達 「生きろ」ですか(笑)。言葉が強いので大げさに聞こえるかもしれませんが、撮影を通して徐々に前向きな気持ちになれたのは確かです。

――『私生活』から6年がたった今はどうですか?

安達 俳優としては、とにかく自由なんです。お芝居でそれは違うと言われても、あぁそうですかって、ある程度はその場で修正できる余裕ができました。キャリアの長さや、38歳という年齢の影響もあるのかもしれません。とにかくマインドが自由で、だからこそ楽しく演じることができています。

――家庭では2児の母でもあります。

安達 ただただ子育ても楽しいです。仕事が前とは比べものにならないくらい忙しかったり、子供も大きいのと小さいので遊び方が違って大変だったり。時間的な余裕はありませんが、気持ちが疲れてないから"楽しい"が常に先にきます。仕事も子育ても、楽しいだけの毎日です。

――その自然体で楽しむ姿からか、女性誌に取り上げられる機会が増えましたね。

安達 メディアは良い部分を広げてくれますから(笑)。ありがたいことなんですが、毎食バランスを考えてご飯を作るとか、ちゃんと毎日掃除をするとか。いい母親を完璧にやれているわけではないのに......そう言いたくなることもありますね(笑)。

■夫婦の記録であり証明になったら

――妻としての話も聞かせてください。

安達 桑島さんはずっと写真を撮るから、「愛されている妻」みたいに思われることが多いじゃないですか? でも、どんな夫婦もいろいろありますよね。ケンカもするし、子供のことで意見が違うこともありますし。

――今は撮らないで、と断りたくなる瞬間はありませんか?

安達 ないです。撮りたいと思った瞬間に撮れないのは、しんどいはずです。写真家の妻である以上は、やっぱり撮りたい瞬間にシャッターを切れる環境を用意してあげたいです。何より、私自身がいい写真を見たいから。ここ数年、桑島さんが撮った写真の中の私を見てきて、自身がどんな人間なのかわかってきました。もう知らない私はいないんじゃないかってくらいに。

――フォロワーが58万を超えるインスタが人気です。桑島さんが撮り続ける写真と、インスタにアップする写真に違いはありますか?

安達 インスタに関しては平気で1週間くらい放置することもあります。自撮りとか小っ恥ずかしくて(笑)。インスタの写真はマネジャーや娘が撮ることが多くて、こちらが見せたいものを撮るから当然、作為的な部分が出てきます。それに対して、私のHPでアップしている桑島さんの写真はありのままだから、のぞき見しちゃった感じでしょうか。「あ、見ちゃった」みたいな。

――そんな「あ、見ちゃった」写真のひとまずの区切りとして、写真集『我我(がが)』(青幻舎)が発売されます。

安達 今回は桑島さんの作品だと思っていて、表紙に私の名前があるのは変な感じで......きっと配慮から名前を入れてもらえたんです(笑)。安達祐実として写るというより、妻として写っている。夫が写真家で妻を撮るという、当たり前の関係が前提にありますから。

――桑島さんの立場を考えると、ハードルの高さを感じます。いくら妻を撮るといっても、誰もが知る俳優さんですから。

安達 あるシチュエーションで写真を撮っても、そのほとんどがフィルムで1枚か2枚です。まとまった枚数になるとアルバムを作って見せてくれます。見返すことはほとんどないかな。たまに桑島さんが整理していて、チラッと一緒に見ることはありますけど。

――被写体である安達さんが考える、『我我』の味わいを教えてください。

安達 夫婦の形はいろいろあるものです。緊張感が走る瞬間もあれば、安心できる空気に包まれることもある。共感してもらえる部分があるならそれはうれしいことで、逆にまったく理解されないシーンもあるかもしれません。こんな夫婦がいるという記録であり、証明になれば幸せですね。

――これまで話を伺ってきて、心地よい雰囲気を感じます。安達さんが言われたように『私生活』の頃とは別人のような。

安達 いまだに昔のことを言われる機会がたまにあります。ただ、本当になんとも思わなくなりました。「まぁ、そうだよね」と受け入れられるようになって。世間のイメージを意識することもなくなりましたね。

――それを聞いて、これからの活躍がますます楽しみになりました。

安達 昔は死ぬまで俳優を続けていきたいと思っていました。今は違います。肩の力が抜けたと言いますか、いつかやめるときが来ても受け入れられるし、今そうなっても笑って日々を過ごせるはずです。だからこそ、私自身もこれから先が楽しみなんです。

――最後に中学生みたいな質問をしていいですか? 桑島さんは多くのグラビアを現在進行形で撮られてるじゃないですか? 嫉妬することは?

安達 昔はちょっとだけありましたけど(笑)。今はないですね。絶対にないです。本屋さんに行ったら桑島さんが撮ったグラビアをチェックすることもありますし、いい写真だなって思うことも。ふーんって(笑)。

●安達祐実(あだち・ゆみ)
1981年9月14日生まれ
〇2歳で芸能界デビュー。以後、子役として活躍。主な出演作に『家なき子』『ガラスの仮面』などがある。写真集『私生活』(2013年)をきっかけに写真家の桑島智輝と出会い2014年に結婚。現在は2児の母でもある。スタイルBOOKの発売や各女性誌のモデルを務めるなど、近年はライフスタイルも注目されている。
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